演技構成点は「感動」を評価できない
紀平梨花の真骨頂は技術でなく「表現」

スケーターとしての完成度は群を抜く

フィギュアスケート女子シングルの紀平梨花。
GPシリーズ第4戦「NHK杯」のフリースケーティング(FS)とGPファイナルのショートプログラム(SP)で見せた「スケーティング」は絶品です。
あまりの美しさに、私は魂が揺さぶられるような感動を覚えました。

採点競技で勝利を収めようとすれば基礎点の高いジャンプをプログラムに組み込まなければなりません。
彼女の代名詞とされる「トリプルアクセル」は有力な選択肢の一つです。
が、私自身は「ジャンプは二の次」です。
音をとらえた全身や四肢の動き、ステップに胸が躍ります。
スピンもむろんきれいです。
紀平梨花はフィギュアスケーターとしての「完成度」が群を抜くと思います。

GPファイナルのFSでは8点台の「つなぎ(つなぎのフットワークと動作)」を除いて演技構成点が9点台でした。
この要素で9点を取ろうとすると、とりわけジャンプの後がせこくなります。
彼女のランディングに際立つ凛とした「余韻」が台無しになります。
ジャンプそのもので高いGOE(出来栄え点)を取れれば十分です。

だれかに教わったという印象を受けない

紀平梨花はここまでの演技ができるようになるまでにスケートは当然として、さまざまな指導を受けてきたことでしょう。
しかし、彼女の滑りを見ていて、「だれかに教わった」という印象を受けません。
(こうしたところは荒川静香にも通じます。)

何かのレッスンの要素が演技に現れるのはスケーティングが未熟だからです。
フィギュアスケートを楽しむ立場からすれば邪魔です。
(私はバレエを見たければバレエを見ます。)

紀平梨花はそうした素養が見事にこなれており、スケーティングがとてもナチュラルです。
だから、演技全体からこの上ない「質感」が立ち昇ってくるのだと思います。
意図した表現に点数を与えるのは簡単であり、意図しない表現に点数をつけられないようでは審判員として失格です。

紀平梨花の「演技構成点」は低すぎます。
私は技術要素点(TES)を排し、全員が演技構成点(PCS)だけで争っても1位だったと思います。

そもそも「感動」を評価できない演技構成点はナンセンスです。
(表現を持ち味とする高橋大輔が被った不利は気の毒でした。)
紀平梨花の真骨頂は技術でなく「表現」です。
トリプルアクセルは決して多くないとはいえ、過去にも現在にも跳べる女子選手がいます。

ちなみに荒川静香が金メダルを獲得できたのは表現が評価されたからであり、荒川静香が現役を引退したのは技術でしか金メダルを獲得できなくなると察知したからです。
(高橋大輔は荒川静香の約4年後に生まれています。)

私は平昌五輪の金メダリストはアリーナ・ザギトワでなく、エテリ・トゥトベリーゼコーチ同門の先輩、エフゲニア・メドベージェワだったと考えています。

浅田真央と宮原知子は憧れの選手か?

紀平梨花は憧れの選手に、トリプルアクセルに競技人生を捧げた「浅田真央」と濱田美栄コーチコーチ同門の「宮原知子」を挙げています。
私の推察ですが、敬愛するのが浅田真央、尊敬するのが宮原知子といったニュアンスでしょう。
どちらも紀平梨花とは異質であり、厳密な意味での「憧れの対象」でないと考えます。
(彼女がうそをついているということでありません。)

オリンピックはその時点でピークを迎えた選手が勝ちます。
成長期の只中にいる紀平梨花が今後どうなるかは不明です。
しかし、いまは世界一です。
「自分は自分」で十分だと思います。
身体能力の高さを生かしたスケーティングをどこまでも磨いていってほしい。

(2018年12月10日執筆)

category:紀平梨花ブログはこちら。

◆書き加え(12月14日)

2006年トリノ五輪金メダリストの荒川静香が紀平梨花への期待を語りました。
「世界に誇れる選手がまた日本から誕生したことに驚くとともに、ここから成長していく段階の選手というのが楽しみです」「どんなふうに大成していくのか、限界を追い求めての頑張りが目標に届くように応援したい」とエールを送りました。
自身はGPファイナルでは2位が最高でした。

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紀平梨花に関するブログは以下のとおり。

⇒2018年12月11日「紀平梨花TV視聴率はスターの証、女・羽生結弦へ」はこちら。

⇒2018年12月10日「紀平梨花に夢中、応援疲れで本日閉店」はこちら。

⇒2018年12月9日「紀平梨花、ビューティフル・ストームの生命力」はこちら。

⇒2018年12月8日「紀平梨花、メンタルとGOEであっさりと世界最高得点」はこちら。

⇒2018年12月7日「紀平梨花とザギトワ、GPファイナル2018直接対決」はこちら。

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