フィギュアスケートの現実は過酷
女子は成長期の壁、減量の苦しみ

優雅な印象と異なり、フィギュアスケートの現実はとても過酷です。
世界のトップクラスで戦う選手はけがや病気が絶えません。
なかでも女子は得点源となる高難度ジャンプを跳ぶために「減量」が必須となります。
「食欲」という自然な欲求に強いブレーキをかけて「摂食障害」に陥り、それが悪化して「うつ病」を発症する選手が出てきます。

実際、十代半ばの選手(日本では中学2年生から高校1年生まで)が高得点を叩き出しやすく、シニアデビュー直後と成長期がおおよそ重なります。
個人差はありますが、女性特有の体形変化と体重増加が起こります。

したがって、オリンピックシーズンにシニア1年目の選手が表彰台(頂点)に立つ可能性があり、その直後から高難度ジャンプを跳べなくなって姿を消すことが珍しくありません。
期待を裏切られるファンもそうですが、一番落ち込むのは当人です。
(私自身はオリンピックの出場資格を1〜2歳遅らせたほうがいいと考えます。)

絶対女王とされたロシアのエフゲニア・メドベージェワはオリンピックシーズンにシニア2年目を迎え、1年目の後輩、アリーナ・ザギトワに2018年平昌五輪の金メダルをさらわれました。
そのアリーナ・ザギトワが2年目を迎え、1年目の紀平梨花に地位を脅かされました。

ロシアの2選手は成長期と減量の困難に直面し、ジャンプが崩壊したのです。
年齢が上がり演技構成点(PCS)が下がることはありませんが、技術要素点(TES)ががた落ちになります。
そして、TESが落ちるとPCSも引きずられて下がるという関係です。
主要大会で勝てるわけがありません。

米国のグレイシー・ゴールドも大きな注目を集めた選手でした。
女優並みの容姿を持っています。
ところが、摂食障害やうつ病などに苦しみ、2018年平昌五輪出場は叶えられませんでした。
昨年11月のグランプリ(GP)シリーズ第5戦「ロシア杯」で復帰しました。
順調な歩みを始めたように見えましたが、2014年、2016年と2度優勝している全米選手権を欠場します。

グレイシー・ゴールドはインスタグラムを更新し、2022年北京五輪出場を目指すと心に決めたことが最良の選択だったと思えるようにしたいと綴っています。

ロシア選手権が行われましたが、世界選手権の代表選手は確定していません。
まもなく開幕する欧州選手権にはアリーナ・ザギトワ、スタニスラワ・コンスタンチノワ、ソフィア・サモドゥロワの3選手が出場します。

補欠1番手、肺炎で欠場したエリザベータ・トゥクタミシェワの出場が濃厚となりました。
さらに、補欠2番手のエフゲニア・メドベージェワの出場の可能性が急浮上しているようです。
欧州選手権での結果次第ですが、世界選手権では2選手が入れ替わるかもしれません。

こうした混乱が生じるのもこの年代の女子選手が不安定だからです。
不確かですが、エフゲニア・メドベージェワは減量に苦しんでいました。
おそらくアリーナ・ザギトワも身長が伸びるとともに体重が増えていました。
ちょっとしたバランスの変化でも高難度ジャンプは跳びにくくなります。

極寒の地で命を守るには脂肪をため込むしかないせいか、ロシア選手はとくに苦しんでいるように思えます。

(1月13日執筆)

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