上から目線で審判に睨みを利かす
目力で点数の上積みを図る暴挙へ

坂本花織は一番シャイな女子選手

フィギュアスケート女子シングルの坂本花織。
私は日本の上位選手のなかで、彼女が一番シャイと思っていました。
(だれとも接したことがなく直観にすぎません。)
おそらく粗野で落ち着きのないがらっぱちな言動はその裏返しです。
根は繊細で恥ずかしがり屋でしょう。
ところが、全日本選手権でこうした「殻」を見事に突き破りました。

坂本花織は平昌五輪の切符をもぎ取った前回同様、フリースケーティング(FS)では最終滑走でした。
ただし、前回はショートプログラム(SP)1位、今回は2位です。
自分が滑る前に紀平梨花、宮原知子、三原舞依の3選手が 220点台というハイスコアを出していました。
今シーズンは世界選手権の代表枠が「3」に増えましたが、坂本花織が確実に選ばれるためには3位以内に入っておかなければなりません。
自己ベストと照らしても、ちょっとしたミスが出たらお仕舞いという展開でした。
猛烈なプレッシャーがかかったはずです。

「死ぬ気でやるしかない」と気合

中野園子コーチから同門の三原舞依とともに「死にものぐるいでいこう」と発破をかけられました。
すでに先輩はそれに応えました。
坂本花織は「死ぬ気でやるしかない」と気合を入れてリンクへ向かいました。

ややぐらついたジャンプもありましたが、すべて着氷しました。
今シーズンの自己ベストを約10点上回る152.36点を叩き出しました。
本人は「一瞬、計算ミスかなと思った」と正直に明かしており、私もそう感じた一人ですが、順位は変わらなかったでしょう。
会心の演技で「日本女王」に輝きました。

「跳ぶから見ていろよ」のド迫力

その坂本花織が試合後、勝因に挙げたのが「目線」でした。
審判に視線を送るという意識を強烈に持って演技に臨みました。
これまではフィニッシュポーズ以外は目を合わせませんでした。
とりわけジュニア時代は目を合わせるのが恥ずかしく、また怖く感じたそうです。

勝負のFSではジャッジに「跳ぶから見ていろよ」と、上から目線で睨みを利かせました。
つまり、目力で点数の上積みを図る暴挙に出たのです。
してやったりと、演技後に不敵な笑みを浮かべました。
ジャンプが決まったからよかったものの、しくじったら「転ぶから見ていろよ」になったところでした。
どちらにしろ審判はド迫力に圧倒されますので、そろばんを弾く手が震えて当然です。

⇒2018年12月24日「坂本花織、計算ミスで全日本初優勝の珍事」はこちら。

審判をがっつりノックアウトする

シャイな自分を変えるきっかけになったのは、4位に終わったグランプリ(GP)ファイナル後に振付の手直しを受けたフランスのアイスダンスの元選手、ブノワ・リショーの言葉でした。
「視線が大事。ジャンプを跳ぶ前にしっかりとジャッジを見なさい」と諭されました。

坂本花織が大接戦を制した要因の一つに表現力などを示す「演技構成点(PCS)」が大きく伸びたことを挙げられます。
宮原知子に次ぐ2位であり、3位の紀平梨花を上回っています。
紀平梨花は技術要素点(TES)が高いだけでなく、PCSでもロシアの平昌五輪女王、アリーナ・ザギトワと肩を並べています。
坂本花織がいかに点数を稼いだか分かります。
その表現を補完したのが「がっつりノックアウトする」つもりで審判に送った視線でした。

国際スケート連盟(ISU)の公認大会でこの手が通用するか分かりませんが、坂本花織は味を占めました。
私は演技のステージが明らかに一段上がったと感じており、全日本女王として出場する世界選手権に期待してしまいます。
「転ぶから見ていろよ」にならないことを皆で祈りましょう・・・。

(1月22日執筆)

category:坂本花織ブログはこちら。

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坂本花織に関するブログは以下のとおり。

⇒2019年1月25日「坂本花織の顔のアップは危険・・・」はこちら。

⇒2018年12月24日「坂本花織、計算ミスで全日本初優勝の珍事」はこちら。

⇒2018年12月18日「坂本花織は自分の特色を強く押し出せ」はこちら。

⇒2018年11月8日「坂本花織は「トラウマ」から死ぬ気で「カモメ」へ」はこちら。

⇒2018年10月31日「坂本花織、初のGPファイナルへフィンランド大会2位」はこちら。

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