紀平梨花が世界選手権優勝候補の大本命
どんぐりの背比べロシア代表は入れ替え

ロシアフィギュアスケート連盟は2月27日、3月20日からさいたまスーパーアリーナで行われる世界選手権2019の女子シングル代表3枠目を平昌五輪銀メダリストのエフゲニア・メドベージェワ(19歳)に入れ替えたことを発表しました。

前日26日に欧州選手権1位のソフィア・サモドゥロワ(16歳)、平昌五輪金メダリストのアリーナ・ザギトワ(16歳)、欧州選手権4位のスタニスラワ・コンスタンチノワ(18歳)の3選手を発表していました。
エリザベータ・トゥクタミシェワ(22歳)、エフゲニア・メドベージェワは補欠です。

しかし、議論を尽くす時間を取れず、代表選手の変更もありえることを示唆していました。
ロシアのトップ選手は世界的に眺めれば高いレベルに位置しますが、それでも今シーズンについては「どんぐりの背比べ」の状態です。

国内外から批判噴出、緊急評議会で決着

直近のロシアカップ・ファイナルでは、エフゲニア・メドベージェワがエリザベータ・トゥクタミシェワに1.71点の僅差ながら優勝を収めています。
スタニスラワ・コンスタンチノワは4位に終わったため、代表選出に対してロシアの内外で批判が噴出していました。

緊急開催されたコーチ評議会で27人中19人がエフゲニア・メドベージェワを支持しました。
対抗馬と見られていたエリザベータ・トゥクタミシェワはわずか7票に留まりました。
ちなみに、スタニスラワ・コンスタンチノワを推す票はゼロでした。

エリザベータ・トゥクタミシェワは紀平梨花に対抗するトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳びます。
グランプリ(GP)シリーズのスケートカナダで1位、GPファイナルで3位に入りましたが、その後に肺炎を発症してロシア選手権、欧州選手権を欠場せざるをえませんでした。
代表漏れは健康面が不安視されたことも一因です。

それに対し、日本勢は全日本選手権終了時に1位の坂本花織、2位の紀平梨花、3位の宮原知子がすんなり選出されています。

今年の世界選手権はこれまでどおり日本勢対ロシア勢の構図になります。
が、このブログで幾度も記したように、日本勢が表彰台を独占する可能性があります。
私は女子シングル史上、最強の布陣だと思います。

メドベージェワは復調の兆しがいくらか

エフゲニア・メドベージェワはGPシリーズのスケートカナダで3位、フランス杯で4位と表彰台の頂点に立てませんでした。
ロシア選手権は原則として世界選手権の代表選考会を兼ねています。
205.90点を記録しながら7位に終わり、欧州選手権の出場も逃していました。

演技に精彩がなく、表情に生気がありません。
絶対女王の時代を知る私としては、見るのも気の毒なくらいの惨敗です。

しかし、新しい練習環境とブライアン・オーサーコーチの指導にいくらか慣れたせいか、ロシアカップ・ファイナルで222.90点を記録しました。
ようやく復調の兆しが見えてきたところです。

ちなみに、エフゲニア・メドベージェワはジャンプが決まれば演技構成点が安定していますので、表彰台に届く可能性がないわけでありません。

ジャンプ崩壊のザギトワはマサルと貢献

アリーナ・ザギトワは急激な体形変化にともないジャンプが壊れてしまいました。
回転不足が相次いでおり、ロシア勢ではもっとも厳しい戦いが予想されます。
すぐに立て直すのは不可能であり、5〜6位になれれば上出来です。

アリーナ・ザギトワはエフゲニア・メドベージェワと並んで日本に大勢のファンがいます。
二人はモデル並みのスタイルとルックスで大会の盛りあげにも一役買ってくれるでしょう。

現在の関心はアリーナ・ザギトワが秋田犬「マサル」と一緒にやってくるかどうかに寄せられています。
オリンピックシーズンを除けば最大のイベントですので、話題は豊富なほどいい。

シニア1年目、勢いに乗るサモドゥロワ

ソフィア・サモドゥロワは紀平梨花と同様、今シーズンがシニア1年目です。
5種類の3回転ジャンプを跳び、3回転のコンビネーションジャンプを持ちます。
勢いが増しており、ロシア代表の3選手で一番の高得点を出しそうです。

GPシリーズはスケートアメリカが宮原知子、坂本花織に次ぐ3位、ロシア杯が2位という成績でGPファイナルへ出場しました。
5位に留まっていますが、204.33点を記録しています。
欧州選手権ではミスのない演技を披露して213.84点を叩き出して優勝しています。
得点がかなり伸びています。

しかも、この選手はもともと演技に安定感があります。

私は紀平梨花のライバルは濱田美栄コーチ同門の宮原知子、日本女王の坂本花織になると考えていますが、ロシア勢で名前を一人挙げるとしたらソフィア・サモドゥロワです。

紀平梨花は演技点・GEOでも群を抜く

紀平梨花はジャンプを中心とした技術要素点(TES)に加え、表現を中心とした演技構成点(PCS)でもおそらく世界一です。
ステップやスピンが、ダイナミックでありながらナチュラルな「スケーティング」に融合しており、それを土台とした出来栄え点(GOE)もきわめて高い。
トリプルアクセルはせいぜい2本で十分であり、優勝候補の大本命です。

⇒2019年3月3日「消音動画同時再生で分かる紀平梨花のぶっちぎり」はこちら。

紀平梨花に不安があるとすれば、自国開催ならではの「プレッシャー」がかかることです。
ファンはもちろん国民の期待が16歳に集中します。
それと全日本選手権以降、ずっとうまくいっていないスケートシューズの調整の失敗です。
私は紀平梨花が世界女王の戴冠を逃す理由をほかに思いつきません。

ロシアフィギュアスケート連盟も今大会については優勝を諦めているように感じます。
来シーズンは4回転ジャンプを跳べる複数のジュニア選手がシニアに上がってきます。
そちらを心待ちにしていることでしょう。

⇒2019年3月8日「紀平梨花のジャンプ基礎点にライバルは戦意喪失」はこちら。

世界選手権でロシアのフィギュアスケートファンが楽しみにしているのは、アリーナ・ザギトワとエフゲニア・メドベージェワの対決です。
新旧女王がプライドの火花を散らし、気迫に満ちた滑りを見せてくれるはずです。

初出場となる紀平梨花が2014年の浅田真央以来となる世界の頂点に立つ日が迫っています。

category:紀平梨花ブログはこちら。

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紀平梨花に関するブログは以下のとおり。

⇒2019年3月8日「紀平梨花のジャンプ基礎点にライバルは戦意喪失」はこちら。

⇒2019年3月7日「紀平梨花が描く世界女王の青写真、浅田真央超え3冠達成」はこちら。

⇒2019年3月6日「世界ランキング上昇、紀平梨花が不利な滑走順を回避」はこちら。

⇒2019年3月4日「紀平梨花は4回転サルコウで女・羽生結弦を目指す」はこちら。

⇒2019年3月3日「消音動画同時再生で分かる紀平梨花のぶっちぎり」はこちら。

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