「全日本女王」のプライドと責任感

四大陸フィギュアスケート選手権の女子シングル。
坂本花織にとり「全日本女王」として臨む初の主要国際大会でした。
おのずとファンの期待、国民の期待が高まります。

大会連覇を狙う坂本花織は、中野園子コーチ同門の三原舞依、優勝候補本命の紀平梨花に対してライバル心をあらわにし、「二人には勝ちたい」と口にしていました。
全日本女王のプライドと責任感がそう言わせているように思えます。

坂本花織は練習で上々の滑りを見せており、リンクの感触が合っていると語っていました。

ショートプログラム(SP)が行われ、坂本花織はノーミスの演技で 73.36点の自己ベストを記録し、「出来は98%」と笑顔を見せました。

冒頭の3回転フリップ―3回転トウループのコンビネーションは出来栄え点(GOE)1.82点を引き出しました。
続くダブルアクセル(2回転半ジャンプ)はGOEを得ました。
後半の難しい入りからの3回転ループは審判員9人中3人が満点の5点をつけており、GOE2.10点を得ました。
スケーティングが滑らかであり、それに融合するようにジャンプを軽々と跳びました。
ステップもスピンもレベル4を得ており、「さすが」という滑りでした。

坂本花織はフリースケーティング(FS)で得意とする最終滑走になっています。
SP1位の全米女王、ブレイディ・テネルとないに等しい0.55点差です。
「精一杯を出して自己ベストを更新したい」と語りました。

坂本花織は国際試合を連覇した経験がありません。
また、四大陸選手権で連覇を果たした日本選手は男女を通じていません。
報道陣に重圧を問われ、「ないです」と即答しました。
「米国はいつも成績がいい」と前向きでした。

私の印象では坂本花織は緊張を「力」に変えられます。
メンタルが強いと思います。

坂本花織は涙があふれて止まらない

フリースケーティング(FS)が行われ、坂本花織は133.43点と伸ばせず、合計も206.79点で4位に落ちました。

冒頭の3回転フリップ−3回転トウループ、続く単独のダブルアクセル(2回転半ジャンプ)、さらに3回転ルッツを決めました。
しかし、中盤のダブルアクセルからの3連続ジャンプがシングルアクセルとなり、残りを跳べないという痛恨のミスを犯しました。
後半の懸命のリカバリーも及びませんでした。

坂本花織は演技直後に手で顔を覆い、キス・アンド・クライでもうなだれました。
覚悟はしていたようですが、表示されたスコアを見てがく然としました。
勝利への気負いからか、うまく眠れなかったようで午前の公開練習でミスを連発していました。

坂本花織は取材エリアで後悔とともに涙があふれて止まりませんでした。
「きょうは何点出せたら勝てると考え、集中できていなかった」と心に乱れがあったと語りました。
おそらく滑り終えていた紀平梨花の高得点も重圧になりました。

同門の三原舞依がFSで会心の演技で自己ベストを更新し、SP8位から坂本花織を0.33点上回って3位に食い込んでいます。
二人は切磋琢磨を続けてきた仲良しです。
それでも、一緒に日の丸を背負った紀平梨花と三原舞依の表彰式を祝福できなかったと率直な胸の内を明かしました。
私も自然な気持ちだと思います。

坂本花織は史上初の連覇どころか表彰台までも逃しました。
昨シーズンまで全日本選手権を4連覇した宮原知子の「重圧」が実感として分かったでしょう。
そういうこともあるわけで、貴重な経験を積みました。

3月に自国さいたまで行われる世界選手権では緊張を力に変えて表彰台に上ってください。

もう一度言いますが、この選手はメンタルが強い。
やってくれるはずです。

category:坂本花織ブログはこちら。

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坂本花織に関するブログは以下のとおり。

⇒2019年1月31日「カオちゃん、それを言っちゃあ、おしまいよ」はこちら。

⇒2019年1月30日「日本女王・坂本花織は四大陸と世界選手権で勝つ」はこちら。

⇒2019年1月29日「坂本花織はぎゃあぎゃあ騒ぎすぎ」はこちら。

⇒2019年1月27日「坂本花織の演技は世界選手権で通用するのか」はこちら。

⇒2019年1月26日「坂本花織、「転ぶから見ていろよ」のド迫力」はこちら。

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