坂本花織はSPで完璧なパフォーマンス
世界選手権で高い出来栄え点(GOE)

世界フィギュアスケート選手権女子シングル。
シーズン締め括りの大会に坂本花織が初出場しました。
全日本選手権で宮原知子の5連覇を阻止し、日本女王として臨む最重要の試合です。
しかも会場がさいたまスーパーアリーナですので、高い注目度が格段に高まります。
生中継のテレビ視聴率も跳ね上がります。
自分の成長を大勢に示す最高の機会となりました。

坂本花織は持ち前のパワフルでダイナミックな滑りに柔らかさと伸びやかさが加わり、大人の女性の雰囲気も備わり、素晴らしいフィギュアスケーターに育ちました。
調子のいいときはジャンプの幅(飛距離)も高さも申し分なく、とくに着氷後の流れが美しい。
私は見ていて「おーっ」と思います。

ショートプログラム(SP)が行われ、坂本花織はルール改定後の自己ベストとなる 76.86点をマークし、2位という好位置につけました。
冒頭の3回転フリップ−3回転トウループのコンビネーション、続くダブルアクセル(2回転半ジャンプ)、後半の3回転ループをクリーンに着氷しました。
ステップもスピンも最高評価のレベル4を得ています。
すべての要素に出来栄え点(GOE)がつく完璧なパフォーマンスです。
演技後は両手を突き上げ、喜びを爆発させました。
昼の公式練習からジャンプに乱れがなく、表情に自信がみなぎっていました。

ジャンプがプログラムに溶け込んでいて、なぜ演技構成点(PCS)があんなに低いのか疑問を感じました。
得点がもっと伸びていいはずで、気の毒です。

坂本花織は四大陸選手権のSPで首位と0.55点差の2位から逆転優勝を狙ったフリースケーティング(FS)でミスが相次ぎ、中野園子コーチ同門の先輩・三原舞依にも及ばず、4位と表彰台を外しました。
連覇への「欲」で集中力を欠いてしまい、自身も想定しなかった結果に涙を流しています。
ちなみに、グランプリ(GP)ファイナルでも4位に留まりました。
帰国後は落ち込み、中野園子コーチとの対話を経て気持ちを立て直したようです。
悔しさをバネに「平昌五輪前より練習した」という成果をいかんなく出せました。

世界選手権はSPを終えて首位のアリーナ・ザギトワと5.22点差でした。
圧倒的な優勝候補だった紀平梨花はSP冒頭のトリプルアクセルが0点となり、この時点で初制覇の夢がほぼ消えていました。
期待はおのずと坂本花織に集中しました。

審判員に認められ、演技構成点は70点台

中1日空いてFSが行われ、坂本花織は145.97点を記録して合計222.83点となり、5位に終わりました。
FSも合計も自己ベストでしたが、表彰台に0.97点届きません。
約2点の間に2位から5位まで4選手がひしめく大混戦でした。

冒頭の3回転フリップ−3回転トウループのコンビネーションを決めました。
しかし、スピードが出すぎるリンクの状態に違和感を覚えながら滑ったとのこと。
中盤の3回転サルコウでややバランスを崩し、後半のコンビネーションの最初の3回転フリップが1回転で単発になる痛恨のミスを犯しました。
終盤にリカバリーを見せましたが、取り返せませんでした。
しかし、スピンもステップもすべてレベル4を得ています。
特筆すべきは、演技構成点で国際大会初の70点台( 73.26点)に乗せたことです。
大舞台の審判員にようやく認められつつあります。

坂本花織はSP後のどや顔から一転し、FS後は頭を抱え込んで苦笑いしました。
試合後に「練習でやってきたことができなかったのが一番悔しい」と嘆き、涙をこぼしました。

悲観する必要なし、かなり伸び代がある

雪辱を誓った世界選手権は四大陸選手権に続いて表彰台さえ逃すという残念な結果になりましたが、演技そのものに日本女王の風格が漂いはじめました。
私はSPを見て、凄い選手に育ったものだと感嘆しました。
悲観する必要はなく、大学進学後の成長を楽しみにしています。
(感情の起伏の大きさもこの選手の魅力の一つですが、もうちょっと抑えたほうがいい。)
まだかなり伸び代があり、北京五輪代表選考に絡んでくるはずです。

来シーズンはトリプルアクセル挑戦を視野に入れていますので、うまくいけばさらなる飛躍を果たすことができます。
日本女子のエースです。

category:坂本花織ブログはこちら。

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坂本花織に関するブログは以下のとおり。

⇒2019年3月18日「坂本花織は滑りがやわらか、大人の女性の魅力が備わる」はこちら。

⇒2019年3月5日「坂本花織は世界選手権で緊張を「力」に変えられる」はこちら。

⇒2019年1月31日「カオちゃん、それを言っちゃあ、おしまいよ」はこちら。

⇒2019年1月30日「日本女王・坂本花織は四大陸と世界選手権で勝つ」はこちら。

⇒2019年1月29日「坂本花織はぎゃあぎゃあ騒ぎすぎ」はこちら。

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