皆さま、お久し振りです。
先ごろ「営業OJT−AI(商談DXナビ)」の実証実験がスタートしましたのでご報告いたします。

とくに営業部署や営業社員がつくる数字が業績を決定づける業種や企業に有効です。
すでに大手企業数社が実証実験の参加に踏み切り、さらに数十社が関心を寄せています。
このところ、お問い合わせに勢いがついてきました。

また、次年度以降の「中期経営計画」の柱として、最先端のセールステックツールを用いた営業社員育成の全自動化を目指す企業と接点が広がりつつあります。
ありがたいことです。

この営業OJT−AIは「データ(知見)×テクノロジー(AI)」で成り立ちますが、私・和田創が代表を務める和田創研では前者を担当してきました。
技術に傾斜すると追随・模倣企業がすぐに現れて窮地に陥りますが、ローテク・アナログで頑張ると競争そのものをかなり避けられます。

私がトップセールスと呼ばれる上位3%の成績優良者がこだわる最良ナレッジを抽出し、汎用性を重んじながら標準化に努めて世界初の「営辞峰全6巻=営業辞書」にまとめました。
いまは翻訳ソフトの精度が格段に向上しているので主要言語を用いる海外市場も対象にできます。

いわゆる大規模言語モデル(LLM)は公開情報を使っています。
それに対して、営業辞書はすべての原稿を泥臭く執筆していますので、社員の教育指導のためのコンテンツ、すなわち商談でのAIによるアドバイス(助言)に著作権侵害や誤謬発生の懸念がありません。

振り返れば辞書編纂は気の遠くなるような地味で地道な作業であり、愚直な執念だけが拠りどころでした。
社員やボランティアに支えられても膨大な歳月を要しました。
1日8時間、年間240日労働換算なら百年を超えています。
例えば、私が愛用する岩波書店の「広辞苑(新村出編)」の初版の編集作業も恐ろしく大変だったと思います。

その日の食べ物にさえ困る極貧生活の出口が見えず、わずかばかりの老後の備えを使い果たし、私にとって最後の資産であり、なおかつ愛着がもっとも強い横浜の自宅まで手放して糊口を凌いできましたので、営業OJT−AIの実証実験の開始は感無量といえます。
27年以上にわたって住み慣れた家を離れる際には子や親との暮らし振りが一気に頭のなかを駆け巡りました。
途中で自分がやり始めたタスクがいかに壮大で無謀であるかに気づきましたが、そのときはもう道を引き返せませんでした。

本プロジェクトの推進には生成AIによる営業社員育成の全自動化を叶えるほかに、成熟市場でもがき苦しむ既存企業の事業転換のモデルケースにしたいとの願いがあったのは確かです。
延命では経営再生を果たせません。
スタートアップを増やすことは日本経済を元気にするうえで大切ですが、もっと重要なのは既存企業をよみがえらせることでしょう。

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