2012年「はやぶさ 遙かなる帰還」瀧本智行監督 ★★★★☆

日本の小惑星探査機「はやぶさ」が打ち上げから帰還までに直面する幾多のトラブル。
それを乗り越えようとするプロジェクトメンバーの苦闘と衝突が生々しく描かれています。
原作は、山根一眞の「小惑星探査機 はやぶさの大冒険」。

はやぶさは総距離60億キロ、約7年の歳月を経て「サンプルリターン」という歴史的偉業を成し遂げました。
帰還にフォーカスしており、はやぶさが燃え尽きるシーンは魂を揺さぶられます。

個性的なメンバーをまとめ、プロジェクトを引っ張るマネジャーを渡辺謙が演じています。
新聞の取材記者を夏川結衣、その父である町工場の社長を山崎努が演じています。
キャスティングの意図に、出演者が見事な役づくりで応えています。
ほかの役者も実在の人物が登場しているかのようです。

脚本は全体の組み立て、そして登場人物の掘り下げがとても素晴らしい。
演出も考え抜かれています。
壮大なプロジェクトに対する科学技術者一人ひとりの思いはもとより、生きざまさえも伝わってきます。
辻井伸行の音楽も感動をじわじわと増幅してくれます。

宇宙探索が映画作品になってしまったことに驚くとともに映画館で観なかったことを後悔しました。
「名作」という言葉を贈ります。

・・・私はこの映画を観て、理系の人間に対する誤解が解けました。
視野が狭く、オタッキーでロマンを持たないという根拠のない偏見。
申し訳ありません。

◇◆◇

以下は、和田創の映画評価に共通する趣旨とあらましです。

私が観てよかったと感じた映画について「★」を付します。
正確に述べれば、作品の評価というより、自分が繰り返して観るかどうかの手がかりです。
(私はすぐに忘れてしまいますので・・・。)
好き嫌いはおのずと反映されますが、といってそれだけでもありません。
作品の価値に対する感想も込めています。

実は、huluが5月17日に全面リニューアルを行った際、私が覚えのつもりで残してきた視聴作品の★がすべて消えました。
(この変更は改悪でした。)

このブログで幾度も述べていますが、仕事人間の私はパソコンの画面の片隅で流すという“ながら視聴”になります。
映画ファンに叱られてしまう接し方です。
しかし、ちゃんと観ようとしたら、おそらく永久に映画を楽しめません。

それゆえ、ストーリーが単純でないと厳しい。
また、語学がさっぱりなので邦画でないと厳しい。
★はいい加減な直観にすぎず、次に観たときには変わるかもしれません。
それでも、皆さまの鑑賞にいくらか参考になれば幸いです。

★は普通、★★★★★は最高、☆は★の半分。
(★はわりとよい。★★はかなりよい。★★★はとてもよい。★★★★はおおいによい。★★★★★は素晴らしい。)

⇒「黄金のアデーレ 名画の帰還|映画感想評価★★★☆」はこちら。

⇒「バッド・ルーテナント|映画感想評価★★☆」はこちら。

⇒「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト|映画感想評価★★☆」はこちら。

⇒「ガールズ・ステップ|映画感想評価☆」はこちら。

⇒「舟を編む|映画感想評価★★★★」はこちら。

⇒「アメイジング・グレイス|映画感想評価★★★」はこちら。

⇒「ローマの休日|映画感想評価★★★★★」はこちら。

⇒「深夜食堂|映画感想評価★★☆」はこちら。

⇒「霧の旗|映画感想評価★★★☆」はこちら。

⇒「新しい人生のはじめかた|映画感想評価★★☆」はこちら。

⇒「好きだ、|映画感想評価★★」はこちら。

⇒「君が踊る、夏|映画感想評価★★☆」はこちら。

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