1カ月程前に「著作権侵害につきまして」と題するメールが寄せられた。
多忙な立場にもかかわらず、こうした報告をくださるとは、よほど腹に据えかねたのだろう。
穏やかな記述だが、行間に憤りが感じられる。
私は感謝しつつ、忙しさに紛れて失念してしまった。
ところが、先日、年輩の方から電話がかかってきた。
「和田さんのパクリでないですか」。
私はこのところ立てつづけに「提案営業」の公開セミナーを行い、幸い高い評価をいただいて大勢と名刺を交換した。
そのお一人。
この受講者はセミナーをきっかけに提案営業に目覚め、インターネットで情報を集める過程でほとんど同じような内容に遭遇して驚いたという。
私はそれを承知している。
長年放っておいたが、このブログで取りあげることにした。
ほかにも大きな理由はあるが…。
以下にメールを紹介しよう。
私はまったく手を加えていない。
完璧な文章である。
◇
いつも大変お世話になっております。
5〜6年程前のことになりますが、和田先生のセミナーに参加させていただきました。
当時の衝撃と感動はいまだに忘れられません。
一時期営業職を離れておりましたが、最近再び営業の仕事に就くことになり、当時を思い出すべく「提案営業」をキーワードとしてネットを調べていましたところ、あまりにも和田先生の提案営業に酷似したサイトを見つけました。
検索結果の上位に表示されるので、すでにご存知かもしれませんが一応ご報告いたします。
本サイトに書かれていることは、論理展開や言葉遣いまで、当時のセミナーを思い出すくらいにそっくりで、最初は和田先生の書かれたサイトかと思ったほどです。
ご確認いただければと思います。
◇
以上。
メールの文中のセミナーとは、公開セミナーでなく「企業研修」のことでなかろうか?
さて、同様の指摘をずいぶん前からいろいろな機会にいろいろな手段(メール、FAX、口頭ほか)でいただいてきた。
私は十余年「提案営業」一筋でやってきたため、講演や公開セミナー、企業研修の受講者は膨大である。
なかには私の著作やブログの読者も含まれるが、たいていは受講者の方々だ。
いずれにしろ私の主張に強く共感してくださったわけで、ありがたい。
ファンみたいな存在である。
例の情報は大手サイトに公開されている。
驚くかもしれないが、現在の原稿は当初の原稿とこれでもずいぶんと変化している。
大幅に内容の改定と拡充が図られた。
なのに、先のメールのような指摘が寄せられる。
最初は、私の著作『提案営業成功の法則』のほとんどそのまんまである。
むろん、いまも下敷きはこれなので、基本となる精神や思想、骨格となるセオリーやノウハウを濃厚に引きずっている。
ゆえに、「論理展開や言葉遣いまで、当時のセミナーを思い出すくらいにそっくり…」という声につながる。
それにしても最初はひどかった。
『提案営業成功の法則』の要約でさえなく、抜粋だけでまとめていた。
彼はこれを自分の原稿として発表した。
私はとても勉強になったので、この原稿をデータで保存した。
現在の原稿は、私の第2弾の著作『提案営業成功の極意』の内容のほか、「和田創ブログ」の内容などが補強されている。
さらに、提案営業に関わりの深い他人の主張なども加味されている。
彼は講師としてそれなりに活躍しているが、当時は駆け出しで何とかきっかけをつかもうと必死だった。
そこで、私は知らんぷりをした。
そのうちに改めるだろうと…。
しかし、彼は一向に変わらない。
私は、この人間の本質だと悟った。
同業者としてあまりに次元が低く、私は怒るよりも悲しくなってしまう。
この件については、日本を代表するビジネスセミナー会社の部長やスタッフがやはり嘆いている。
そもそもこうした人間が講師面をして社員を指導していることが恐ろしい。
一番よく分かっているのは自身であり、本人がどう考えるかだ。
おそらく、これは何も私の著作に限らないのでなかろうか。
他人の著作のエッセンスなど、これは使えると思ったものを寄せ集め、つぎはぎし、さまざまなコンテンツをつくっている。
実際、彼はデビューし、短期間に驚くほど多くのセミナー(メニュー)を品揃えした。
そのなかに「提案営業」も含まれる。
私は、彼が企業研修で用いている教材を見てみたい。
以前、彼がつくったものでないが、著作権侵害のテキストが私宛に送られてきた。
『提案営業成功の法則』の抜粋で構成されており、ほとんどそのままだった。
当然ながら、新しいテーマで自分ならではのカリキュラムを構築するには、気の遠くなるような情熱、そして労力と時間を要する。
それ以前に、人を指導するのだから、自らやってみる必要があろう。
経験も踏まえずに借り物の知識を伝えているのか。
それも無断なので借用でなく盗用。
彼は頭がよく、小器用さでこの業界を巧みに渡り歩いている。
教育者の風上に置けない。
講師としてはもちろん、人間としてどうなのか。
クズは相手にしない。
私がこの問題をいつかブログで取りあげようと思った真のきっかけは、もう少し前にある。
9月の公開セミナーだった。
参加者が休憩時間の喫煙ルームで、私に対して疑念を向けてきたのだ。
不愉快だった。
けれども、冷静に考えれば、例の情報は膨大なアクセスを得ており、こうした事態が起こっても不思議でない。
若い世代を中心に、提案営業に関する予備知識を仕込んでいる人も少なくない。
私は話が逆になりかねないと、このときに危機感を持った。
ふと思い出した。
昔、若者が和田創研にファクスを送ってきた。
著作権侵害の抗議文である。
当時その分野で鳴らしていた人物のファンからだった。
「企画」に関する私の論考が、それに酷似しているとの指摘である。
私が発表した時期のほうが早かったとすぐに分かった。
彼は直後、私が講師を務める日経ビジネススクール(日本経済新聞社)だったか日経イベント(日経BP社)の「企画力養成講座」に参加してくれた。
また、私が主宰する「営業実践大学」の会員に登録してくれた。
読者は、後で見たほうが著作権を侵害していると思い込む。
◇
笑えない笑い話だが、私が知らないところで、和田創が「提案営業講座」を数回にわたり連載していた。
それも社団法人が発行する立派な機関誌である。
私は絶句。
このときも指摘が寄せられた。
すべて、『提案営業成功の法則』からそのまま引用。
つまり、転載。
数十ページに及ぶ。
さすがに放っておけなくて申し入れを行った。
相手は即座に始末書を送ってきた。
確信犯。
しかし、これは「和田創」が連載をやっているので、むしろ良心的なケース?
笑ってはいけないが、かなり笑える。
著作権侵害は目に余る。
それを平気でやるのが、大勢の指導に当たる立場の人間だから深刻だ。
私の著作を刊行してくれた出版社の編集長などからもときどき「著作権侵害」で訴えましょうと水を向けられる。
私は訴訟手続きが面倒で、ついつい笑ってすませてしまう。
きちんと行動を起こさないといけないのかもしれない。
それなりの舞台で講師を務めている人の大多数は、大変な苦労を経てコンテンツをつくり込んでいるはずだ。
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穏やかな記述だが、行間に憤りが感じられる。
私は感謝しつつ、忙しさに紛れて失念してしまった。
ところが、先日、年輩の方から電話がかかってきた。
「和田さんのパクリでないですか」。
私はこのところ立てつづけに「提案営業」の公開セミナーを行い、幸い高い評価をいただいて大勢と名刺を交換した。
そのお一人。
この受講者はセミナーをきっかけに提案営業に目覚め、インターネットで情報を集める過程でほとんど同じような内容に遭遇して驚いたという。
私はそれを承知している。
長年放っておいたが、このブログで取りあげることにした。
ほかにも大きな理由はあるが…。
以下にメールを紹介しよう。
私はまったく手を加えていない。
完璧な文章である。
◇
いつも大変お世話になっております。
5〜6年程前のことになりますが、和田先生のセミナーに参加させていただきました。
当時の衝撃と感動はいまだに忘れられません。
一時期営業職を離れておりましたが、最近再び営業の仕事に就くことになり、当時を思い出すべく「提案営業」をキーワードとしてネットを調べていましたところ、あまりにも和田先生の提案営業に酷似したサイトを見つけました。
検索結果の上位に表示されるので、すでにご存知かもしれませんが一応ご報告いたします。
本サイトに書かれていることは、論理展開や言葉遣いまで、当時のセミナーを思い出すくらいにそっくりで、最初は和田先生の書かれたサイトかと思ったほどです。
ご確認いただければと思います。
◇
以上。
メールの文中のセミナーとは、公開セミナーでなく「企業研修」のことでなかろうか?
さて、同様の指摘をずいぶん前からいろいろな機会にいろいろな手段(メール、FAX、口頭ほか)でいただいてきた。
私は十余年「提案営業」一筋でやってきたため、講演や公開セミナー、企業研修の受講者は膨大である。
なかには私の著作やブログの読者も含まれるが、たいていは受講者の方々だ。
いずれにしろ私の主張に強く共感してくださったわけで、ありがたい。
ファンみたいな存在である。
例の情報は大手サイトに公開されている。
驚くかもしれないが、現在の原稿は当初の原稿とこれでもずいぶんと変化している。
大幅に内容の改定と拡充が図られた。
なのに、先のメールのような指摘が寄せられる。
最初は、私の著作『提案営業成功の法則』のほとんどそのまんまである。
むろん、いまも下敷きはこれなので、基本となる精神や思想、骨格となるセオリーやノウハウを濃厚に引きずっている。
ゆえに、「論理展開や言葉遣いまで、当時のセミナーを思い出すくらいにそっくり…」という声につながる。
それにしても最初はひどかった。
『提案営業成功の法則』の要約でさえなく、抜粋だけでまとめていた。
彼はこれを自分の原稿として発表した。
私はとても勉強になったので、この原稿をデータで保存した。
現在の原稿は、私の第2弾の著作『提案営業成功の極意』の内容のほか、「和田創ブログ」の内容などが補強されている。
さらに、提案営業に関わりの深い他人の主張なども加味されている。
彼は講師としてそれなりに活躍しているが、当時は駆け出しで何とかきっかけをつかもうと必死だった。
そこで、私は知らんぷりをした。
そのうちに改めるだろうと…。
しかし、彼は一向に変わらない。
私は、この人間の本質だと悟った。
同業者としてあまりに次元が低く、私は怒るよりも悲しくなってしまう。
この件については、日本を代表するビジネスセミナー会社の部長やスタッフがやはり嘆いている。
そもそもこうした人間が講師面をして社員を指導していることが恐ろしい。
一番よく分かっているのは自身であり、本人がどう考えるかだ。
おそらく、これは何も私の著作に限らないのでなかろうか。
他人の著作のエッセンスなど、これは使えると思ったものを寄せ集め、つぎはぎし、さまざまなコンテンツをつくっている。
実際、彼はデビューし、短期間に驚くほど多くのセミナー(メニュー)を品揃えした。
そのなかに「提案営業」も含まれる。
私は、彼が企業研修で用いている教材を見てみたい。
以前、彼がつくったものでないが、著作権侵害のテキストが私宛に送られてきた。
『提案営業成功の法則』の抜粋で構成されており、ほとんどそのままだった。
当然ながら、新しいテーマで自分ならではのカリキュラムを構築するには、気の遠くなるような情熱、そして労力と時間を要する。
それ以前に、人を指導するのだから、自らやってみる必要があろう。
経験も踏まえずに借り物の知識を伝えているのか。
それも無断なので借用でなく盗用。
彼は頭がよく、小器用さでこの業界を巧みに渡り歩いている。
教育者の風上に置けない。
講師としてはもちろん、人間としてどうなのか。
クズは相手にしない。
私がこの問題をいつかブログで取りあげようと思った真のきっかけは、もう少し前にある。
9月の公開セミナーだった。
参加者が休憩時間の喫煙ルームで、私に対して疑念を向けてきたのだ。
不愉快だった。
けれども、冷静に考えれば、例の情報は膨大なアクセスを得ており、こうした事態が起こっても不思議でない。
若い世代を中心に、提案営業に関する予備知識を仕込んでいる人も少なくない。
私は話が逆になりかねないと、このときに危機感を持った。
ふと思い出した。
昔、若者が和田創研にファクスを送ってきた。
著作権侵害の抗議文である。
当時その分野で鳴らしていた人物のファンからだった。
「企画」に関する私の論考が、それに酷似しているとの指摘である。
私が発表した時期のほうが早かったとすぐに分かった。
彼は直後、私が講師を務める日経ビジネススクール(日本経済新聞社)だったか日経イベント(日経BP社)の「企画力養成講座」に参加してくれた。
また、私が主宰する「営業実践大学」の会員に登録してくれた。
読者は、後で見たほうが著作権を侵害していると思い込む。
◇
笑えない笑い話だが、私が知らないところで、和田創が「提案営業講座」を数回にわたり連載していた。
それも社団法人が発行する立派な機関誌である。
私は絶句。
このときも指摘が寄せられた。
すべて、『提案営業成功の法則』からそのまま引用。
つまり、転載。
数十ページに及ぶ。
さすがに放っておけなくて申し入れを行った。
相手は即座に始末書を送ってきた。
確信犯。
しかし、これは「和田創」が連載をやっているので、むしろ良心的なケース?
笑ってはいけないが、かなり笑える。
著作権侵害は目に余る。
それを平気でやるのが、大勢の指導に当たる立場の人間だから深刻だ。
私の著作を刊行してくれた出版社の編集長などからもときどき「著作権侵害」で訴えましょうと水を向けられる。
私は訴訟手続きが面倒で、ついつい笑ってすませてしまう。
きちんと行動を起こさないといけないのかもしれない。
それなりの舞台で講師を務めている人の大多数は、大変な苦労を経てコンテンツをつくり込んでいるはずだ。
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