わが家は全面禁煙。
ルーフバルコニーに出てタバコを吸うには寒い季節になってきた。
しかも風の通り道ときている。
やれやれ…。

私が暮らすのはセンター北の大規模団地。
確か3万平米ほどの敷地に、分譲、賃貸、官舎を合わせ、十数棟のマンションが建ち並ぶ。

私は夜間、周囲に目をやりながらタバコをくゆらすのが好き。
ここからは数棟の数百の「窓」しか見えない。
それでもさまざまな形の窓にさまざまなカーテンがかかり、照明の色味と相まって、さまざまな明かりが灯る。

一つ一つの窓の向こう側にそれぞれの家族の暮らしがある。
それは喜怒哀楽のうねり、人生のドラマ…。
皆が懸命に生きていることは間違いない。
両親や子どもたちとこの団地に暮らしていた頃、私はいつも窓が気になっていた。

ときに夫婦が怒鳴り合う声が聞こえる。
親子が罵り合う声が聞こえる。
建築から15年ほど経ち、乳児や幼児がすっかり減った。
ここに引っ越してきた頃の笑い声や泣き声がほとんど聞こえてこなくなった。
一家団欒の様子もあまり伝わってこない。
年々、子どもの親離れが進み、家族の解体が起こりつつある。

あっ、カレーの匂いが運ばれてきた…。

私ははたしていつまでここに住みつづけることができるのだろうか。

Copyright ©2008 by Sou Wada

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