浅田真央は今季のフリー「蝶々夫人」を強い意志と切ない情感を込めて滑った。
復帰初戦としては上出来である。
(浅田真央はシーズンの立ち上がりがあまりよくなかった。)

私が目を見張ったのは表現である。
もともと高い技術と合わさり、観衆を惹きつけた。
内面の成長が表現の向上をもたらした。
高橋大輔のように円熟の域に達していないが、成熟の域に入っているのは確か。
が、もっと深みがほしい。
(蝶々夫人なら、凄みが感じられてもいいはずだ。)

浅田真央が次に出場するのは、グランプリシリーズ2015(GPシリーズ2015)である。
彼女の真価が問われるのはこの大会と年末の全日本選手権2015になる。
緊張の高まる個人戦で、浅田真央が世界選手権2014の水準に戻っているかどうかが明らかになる。
それには復帰初戦と変わらない「平常心」を保てるかどうかも大きく関わる。

私は技術におけるブランクの影響をほとんど感じなかった。
おそらく速さと強さ、切れはこれから増していく。
ならば、得点もついてくる。

浅田真央は日本のフィギュアスケート人気の盛りあがりに絶大な貢献を果たした。
立派な実績も残した。
私としては、選手生活の最終段階を楽しむ精神的なゆとりを大切にして滑ってほしい。
そのほうが結果がいいはずだ。

ステップアップからブラッシュアップへ。
自分を追い詰めてきたやみくもな上昇志向を捨て、内面の充実と演技の掘り下げを図ってこそ、1年の休養が望ましい方向に働いたといえる。

               ◇◆◇

浅田真央に関する最近のブログは以下のとおり。

⇒2015年10月5日「浅田真央、勝負師の宿命」はこちら。

⇒2015年10月7日「浅田真央はピョンと跳び、チャンと降りる」はこちら。

⇒2015年10月9日「浅田真央、現役続行の条件」はこちら。

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