私はここ2週間ほどがとくに苦しかった。
日中はおもに中堅・中小企業での収益改善・伸長に関する営業コンサルティング。
スタイルは社長への直接指導、役員クラスへのコーチング、精鋭主体の変革プロジェクトの推進指導、ミーティング(営業会議)への立ち会い指導などさまざま。
講演や研修と異なり、私は立ちっ放し、しゃべりっ放しということはまったくない。
が、くたくたになる。
これはこれで大変さの性格が違う。
おそらく世の中にらくな商売などない。

そして連日、重い疲労を引きずり、夜間から深夜まで、ときに早朝まで、締め切り(開催)の迫った新講演や新セミナーのコンテンツ作成に取り組んだ。

もともと悪い頭。そこに睡眠不足も重なり、さっぱり動かない。
限界まで考えているつもりなのだが、どうしても整理をつけられない。
ほとほと悲しくなり、「負けるな」と言い聞かせる。
それでも仕事が進まないと、いよいよつらくなり、「負けるな」と声に出してみる。
幾度も頭が変になるのではと思った。

これが自室(書斎)だと、アメショー(アメリカンショートヘア)「フウ」が反応する。
高齢の♀(メス)。
私のつぶやきに、「あに?」と顔を起こす。
寝ぼけ眼(真名子に非ず)。

私が遅くまで(早くまで)デスクワークを行っているときに限るが、彼女はなぜかデスクトップパソコンのキーボードとモニター(ディスプレー)の間の狭いスペースに収まりたがる。
パソコンと照明(スタンド)は熱をかなり持つはずだ。

私が家族を食べさせるために必死で働いていようと、フウはお構いなし。
伸びきって気持ちよさそうに眠っている。
ときどきイビキをかく。
数十年せかせか働きつづけてきた私は、身勝手でマイペースな愛猫に癒やされる。

                       ◇

ところで、再建系のコンサルタントとしてやっていくうえで一番重大なことは、結果を出せる会社と契約することである。
相手が中小・零細企業だと、社長の見極めがすべて。
なぜなら、業績はコンサルタントが立て直すわけでない。
かならず、社長が立て直す。
自分がほとんどの会社を立て直せるなど、うそか、おごりか、いずれかだ。

コンサルタントは顧問先で目に見えた結果(実績)を残せるなら、仕事にそれほど困らない。
したがって、プロとして食べていくには「仕事を断る」という姿勢と判断がカギになる。
再建系の講師の仕事も同じ。

コンサルタントは駆け出しの頃、食べていくためにしゃにむに仕事を受けてしまいやすい。
専業はそれに生活がかかっている。
私はその気持ちが分からないわけでない。
が、最初が肝心という思いもある。

仕事は多いに越したことはないが、焦りを押さえ、クライアントに確たる貢献を果たせるかどうかを自問自答すべきだ。
仕事(相手)を選ぶ。
そのほうが結局、早く軌道に乗せられる。
当然、実力もつく。
地域密着型のコンサルタントなら、いい評判も広がる。

なるべく分野や領域を絞り、さらにテーマを尖らせ、得意なメソッドを築くことに尽きる。
「あれこれできる」というよりも「これならできる」というほうが断然強い。
値段も断然高い。
業務を遂行するという観点からも圧倒的に効率的である。

そもそもコンサルタントに、狭い意味の営業活動は不要なのである。
仕事、少なくともそのきっかけはおのずと降ってくる。

しかし、私はへそ曲がりで、向こうからやって来る仕事に冷淡である。
素っ気ない。
貧乏性なので、仕事は地獄を味わいながらつくるものという気持ちが抜けない。
営業活動で苦労して取りにいくのが好きだ。
講師の仕事も同じ。
著者の仕事も同じ。

時代は変わった。
コンサルタントは腐るほどいる。
自分が経営する会社で好業績を残し、そこで積みあげたノウハウを土台にコンサルティングを行うのがいいのかもしれない。
クライアントに対する説得力も増し、自らの社会貢献欲求も満たされる。
理想的だ。

Copyright (c)2011 by Sou Wada

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