年間約18億食の袋麺市場に異変が起きている。
半世紀、日清食品の「チキンラーメン」とサンヨー食品の「サッポロ一番」の二大ブランドが君臨していた。
そこに、東洋水産が「マルちゃん正麺」で揺さぶりをかけた。
「マルちゃん正麺」の最大の特徴は、生麺の食感だ。
これが消費者(生活者)に受け入れられた。
2011年11月の発売時に年間 100億円とした販売目標を 200億円に上方修正し、製造ラインの増設で対応した。
飲料を除く加工食品全体で見ても、「マルちゃん正麺」は十年に1度の大ヒットである。
東洋水産はラーメン店の麺を再現しようと、袋麺改革に取り組んだ。
そして、従来のフライ麺とノンフライ麺のいずれにも属さない新製法を5年がかりで開発した。
同社は、切り出した生麺を蒸しあげる工程を省き、そのまま乾燥させる「生麺うまいまま製法」を編み出した。
「正麺」のネーミングには、同社が考える理想のラーメンの完成形という自負がこめられる。
その結果、ノンフライ麺のもちもちとした食感と、フライ麺の香ばしい風味を楽しめるようになった。
東洋水産はCMで役所広司に「麺がうまい」と連呼させた。
絶対の自信を持つ麺の魅力をひたすら訴求した。
「マルちゃん正麺」は、ダウントレンドに諦めムードだった業界に「マルちゃんショック」と呼ばれる衝撃を与えた。
袋麺は1958年、日清食品が「チキンラーメン」を発売したのが始まり。
1966年、サンヨー食品が「サッポロ一番」、明星食品が「明星チャルメラ」をヒットさせ、袋麺市場として確立した。
1972年、年間37億食のピークを迎えた。
しかし、その前年に登場したカップ麺が利便性や味のバリエーションの豊富さで次第に袋麺のシェアを奪っていった。
かたや袋麺は草創期のヒット商品で固まり、活性化が難しくなった。
やがて無風状態になり、市場が縮む・・・。
「マルちゃん正麺」の大ヒットがライバルを強く刺激した。
東洋水産の独走を、指をくわえて眺めるわけにいかない。
カップ麺1位で袋麺2位の日清食品は8月末に「日清ラ王」を発売した。
カップ麺の「日清ラ王」の袋麺展開。
もともと生麺感覚を訴求しており、ブランド力は絶大だ。
袋麺1位のサンヨー食品は9月に「サッポロ一番 麺の力」を発売した。
麺の口当たりや喉ごしのなめらかさを訴求する。
生麺感覚を売りにした袋麺戦争の幕開けである。
三つ巴で混沌としそうだ。
しかし、消費者は飽きやすい。
袋麺市場に新商品(新ブランド)はまったくといっていいほど定着していない。
私は袋麺に半世紀、親しんできた。
20代前半はどうかすると1日2回食べた。
すぐにカップ麺の時代がやってきたが、私は袋麺を好んだ。
いかにも袋麺というチープな趣が気に入っている。
フライ麺に特有の食感と味わいだ。
私に言わせれば、生麺感覚の袋麺は袋麺でない。
このブームは長く続かないと思う。
私は「マルちゃん正麺」と「サッポロ一番 麺の力」を食べた。
麺自体が進化したのは分かるが、うまいかと聞かれれば微妙である。
麺が生麺に近くなると、無意識でラーメン店のラーメンと比べてしまう。
スープに深みが欠け、しかも麺とスープの絡みが出ていない。
麺だけを食べている感覚が残る。
私はラーメン店のラーメンと大きな差があると思う。
価格は5分の1〜10分の1なので仕方ないといえば、それまでだが・・・。
◆書き加え1(11月21日)
誤解が生じるといけないので、言葉を補いたい。
私は、生麺感覚を売りにした新商品を否定したかったわけでない。
大変な企業努力の結果ということは分かっている。
一消費者として率直な感想を述べた。
私は、妻が買い置きしてくれた「マルちゃん正麺」と「サッポロ一番 麺の力」をたまたま食べた。
「麺」を前面に押し出している商品だけに、従来の袋麺の麺の水準をはるかに超えている。
麺がよくなると、不思議なことにスープの深み、さらにスープと麺の絡みのほうが気になってしまった。
しかし、素人で味音痴の私がそう感じるくらいだから、商品開発の専門家は承知しているはずだ。
今後、ブラッシュアップが図られるだろう。
また、私が食べたのは、いずれもしょうゆ味である。
濃厚な味も存在すると知らされ、それならスープと麺の絡みも違ってくるのでないかと思った。
いまインターネットで調べた。
すると、東洋水産は、「マルちゃん正麺 醤油味(中太麺)」「マルちゃん正麺 味噌味(太麺)」「マルちゃん正麺 豚骨味(細麺)」「マルちゃん正麺 塩味(中太麺)」の4種類。
麺の太さをわざわざ謳っている。
かたや、サンヨー食品は、「サッポロ一番 麺の力 中華そば」「サッポロ一番 麺の力 ちゃんぽん」の2種類。
このなかで「マルちゃん正麺 味噌味(太麺)」「マルちゃん正麺 豚骨味(細麺)」「サッポロ一番 麺の力 ちゃんぽん」はスープと麺が馴染むのかもしれない。
そんな気がした・・・。
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半世紀、日清食品の「チキンラーメン」とサンヨー食品の「サッポロ一番」の二大ブランドが君臨していた。
そこに、東洋水産が「マルちゃん正麺」で揺さぶりをかけた。
「マルちゃん正麺」の最大の特徴は、生麺の食感だ。
これが消費者(生活者)に受け入れられた。
2011年11月の発売時に年間 100億円とした販売目標を 200億円に上方修正し、製造ラインの増設で対応した。
飲料を除く加工食品全体で見ても、「マルちゃん正麺」は十年に1度の大ヒットである。
東洋水産はラーメン店の麺を再現しようと、袋麺改革に取り組んだ。
そして、従来のフライ麺とノンフライ麺のいずれにも属さない新製法を5年がかりで開発した。
同社は、切り出した生麺を蒸しあげる工程を省き、そのまま乾燥させる「生麺うまいまま製法」を編み出した。
「正麺」のネーミングには、同社が考える理想のラーメンの完成形という自負がこめられる。
その結果、ノンフライ麺のもちもちとした食感と、フライ麺の香ばしい風味を楽しめるようになった。
東洋水産はCMで役所広司に「麺がうまい」と連呼させた。
絶対の自信を持つ麺の魅力をひたすら訴求した。
「マルちゃん正麺」は、ダウントレンドに諦めムードだった業界に「マルちゃんショック」と呼ばれる衝撃を与えた。
袋麺は1958年、日清食品が「チキンラーメン」を発売したのが始まり。
1966年、サンヨー食品が「サッポロ一番」、明星食品が「明星チャルメラ」をヒットさせ、袋麺市場として確立した。
1972年、年間37億食のピークを迎えた。
しかし、その前年に登場したカップ麺が利便性や味のバリエーションの豊富さで次第に袋麺のシェアを奪っていった。
かたや袋麺は草創期のヒット商品で固まり、活性化が難しくなった。
やがて無風状態になり、市場が縮む・・・。
「マルちゃん正麺」の大ヒットがライバルを強く刺激した。
東洋水産の独走を、指をくわえて眺めるわけにいかない。
カップ麺1位で袋麺2位の日清食品は8月末に「日清ラ王」を発売した。
カップ麺の「日清ラ王」の袋麺展開。
もともと生麺感覚を訴求しており、ブランド力は絶大だ。
袋麺1位のサンヨー食品は9月に「サッポロ一番 麺の力」を発売した。
麺の口当たりや喉ごしのなめらかさを訴求する。
生麺感覚を売りにした袋麺戦争の幕開けである。
三つ巴で混沌としそうだ。
しかし、消費者は飽きやすい。
袋麺市場に新商品(新ブランド)はまったくといっていいほど定着していない。
私は袋麺に半世紀、親しんできた。
20代前半はどうかすると1日2回食べた。
すぐにカップ麺の時代がやってきたが、私は袋麺を好んだ。
いかにも袋麺というチープな趣が気に入っている。
フライ麺に特有の食感と味わいだ。
私に言わせれば、生麺感覚の袋麺は袋麺でない。
このブームは長く続かないと思う。
私は「マルちゃん正麺」と「サッポロ一番 麺の力」を食べた。
麺自体が進化したのは分かるが、うまいかと聞かれれば微妙である。
麺が生麺に近くなると、無意識でラーメン店のラーメンと比べてしまう。
スープに深みが欠け、しかも麺とスープの絡みが出ていない。
麺だけを食べている感覚が残る。
私はラーメン店のラーメンと大きな差があると思う。
価格は5分の1〜10分の1なので仕方ないといえば、それまでだが・・・。
◆書き加え1(11月21日)
誤解が生じるといけないので、言葉を補いたい。
私は、生麺感覚を売りにした新商品を否定したかったわけでない。
大変な企業努力の結果ということは分かっている。
一消費者として率直な感想を述べた。
私は、妻が買い置きしてくれた「マルちゃん正麺」と「サッポロ一番 麺の力」をたまたま食べた。
「麺」を前面に押し出している商品だけに、従来の袋麺の麺の水準をはるかに超えている。
麺がよくなると、不思議なことにスープの深み、さらにスープと麺の絡みのほうが気になってしまった。
しかし、素人で味音痴の私がそう感じるくらいだから、商品開発の専門家は承知しているはずだ。
今後、ブラッシュアップが図られるだろう。
また、私が食べたのは、いずれもしょうゆ味である。
濃厚な味も存在すると知らされ、それならスープと麺の絡みも違ってくるのでないかと思った。
いまインターネットで調べた。
すると、東洋水産は、「マルちゃん正麺 醤油味(中太麺)」「マルちゃん正麺 味噌味(太麺)」「マルちゃん正麺 豚骨味(細麺)」「マルちゃん正麺 塩味(中太麺)」の4種類。
麺の太さをわざわざ謳っている。
かたや、サンヨー食品は、「サッポロ一番 麺の力 中華そば」「サッポロ一番 麺の力 ちゃんぽん」の2種類。
このなかで「マルちゃん正麺 味噌味(太麺)」「マルちゃん正麺 豚骨味(細麺)」「サッポロ一番 麺の力 ちゃんぽん」はスープと麺が馴染むのかもしれない。
そんな気がした・・・。
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