日本最大の人口を持つ横浜市の顔として大規模開発が進む「みなとみらい21地区」。
その一角に「キヤノン・キャッツ・シアター」が誕生し、2009年11月11日にこけら落とし公演を行った。
劇団四季はミュージカル「キャッツ」の上演専用の仮設劇場として「キャッツ・シアター」を各地に設けてきた。
横浜のそれは、東京・五反田/大崎公演の後を受けてつくられた。
ところが、横浜公演が2012年11月11日に千秋楽を迎えるという。
昨今の経済情勢で一番人気の「キャッツ」といえども集客が容易でないことは察しがつくが、それにしても唐突・・・。
実は、「キヤノン・キャッツ・シアター」の土地利用に関する横浜市との契約は期間限定だった。
11月に契約が切れるため、それに合わせて横浜公演を閉じる。
施設を取り壊して更地の状態に戻し、横浜市に土地を返却するとのこと。
それを前提につくられていたわけだ。
劇団四季のミュージカル「キャッツ」は地方に拠点を移すので、首都圏ではしばらく見られない。
私は、私のようにミュージカルに縁のない家庭にぜひとも足を運んでいただきたい。
脚本も舞台(演出)も分かりやすく、予備知識なしに十分に楽しめる。
満足度がきわめて高い。
余談・・・。
こうしたミュージカルなどの興行は、観客による口コミの広がりを大切にするものだろう。
劇団四季はそれに加え、横浜市営地下鉄などの車内で広告というかPRを打った。
個人的な感想を述べれば、劇団四季の地元なのだからもっと泥臭いプロモーションが仕込まれてよかった。
泥臭いという表現が適切でないなら、地域密着、住民密着。
横浜市民は何事にもクールなのは確かだが、「キャッツ」横浜公演は地元の盛り上がりを欠いた。
以下に、「エレイン・ペイジが歌うキャッツ・メモリーの感動と感銘」と題する2011年9月19日のブログを収める。
◇◆◇
先日、コンテンツの作成に行き詰まった明け方、なぜかミュージカル「キャッツ」の「メモリー」を無性に聞きたくなった。
私は、ユーチューブで、エレイン・ペイジが演じるグリザベラが歌う動画を見つけた。
そして、ドラマチックな歌唱に大きな感動と感銘を受けた。
私がしびれたのは、圧倒的な表現力!
歌声は高いのに深く、枯れていながら響く。
ときに語るように歌い、それが心に染み入ってくる。
サビでは、空気を切り裂き、時間を突き抜けた。
演技力もなかなか。
私はすっかり魅了されてしまった。
おそらく図抜けている。
これぞミュージカル女優!
キャッツ(CATS)は、詩人T.S.エリオットが猫を擬人化した詩に、アンドリュー・ロイド=ウェバーが曲をつけたミュージカルである。
グリザベラ(Grizabella)は昔、美貌で売れっ子の娼婦猫だった。
いまや醜く老い、皆が忌み嫌う。
彼女が最後に登場し、自身の生まれ変わりを夢見てメモリー(Memory)を熱唱する。
先入観を持たない純真な子猫のシラバブが導くように、寄り添うように歌う。
観客は「お願い 私にさわって…」のクライマックスで、心が震える。
やがて皆がグリザベラの幸せを願いながら天上へ送り出し、永遠の命を祝福する。
エレイン・ペイジ(Elaine Paige)は、イギリスを代表するミュージカル女優、ポップシンガー。
事故に遭遇した主演の代役として、「エビータ」の主演に続いて起用された。
そして、彼女の歌うメモリーが世界的なヒットになった。
それがキャッツを一躍有名にしたといっても過言でない。
エレイン・ペイジが歌うキャッツ「メモリー」はこちら。
ユーチューブで早水小夜子の「メモリー」を見つけた。
声楽を本格的に学んだのだろう、素晴らしい。
高音も低音もよく通り、しっかりと歌い込むという印象。
触るのも汚らわしいボロのコートをまとっているのに、歌唱はもちろん全身から「気品」が溢れる。
みすぼらしさを感じさせない。
かなり立派なグリザベラだ。
違和感の残る人がいるかもしれないが、歌は見事。
シラバブは谷口あかり。
滅茶苦茶かわいい。
日本では劇団四季が1983年(昭和58年)11月11日に初演。
現在、11月11日は「キャッツの日」になっている。
私が暮らす横浜市にキャッツ専用の上演劇場「キヤノン・キャッツ・シアター」があり、家族と昨年楽しんだ。
グリザベラは佐渡寧子。
シラバブは五所真理子。
やはり滅茶苦茶かわいかった。
メイクも関係しているのか…。
早水小夜子が歌うキャッツ「メモリー」はこちら。
◇
キャッツに“主役”という設定はない。
が、実質的に名曲メモリーを歌うグリザベラ。
世界でも日本でもグリザベラを務める出演者は選び抜かれている。
ダンスよりも歌唱のほうに重きが置かれる。
皆が素晴らしいはずだが、かなりの違いがあるようだ。
個性も持ち味(得手)も異なるから当然だ。
また、表情を含めた演技についても…。
メモリーは難曲でなかろうか。
深くて激しい「哀愁」を帯びたメロディー。
幸せを求めて生きてきた老いた娼婦猫が抱く複雑な思いやせめぎ合う感情を歌に塗り込めなくてならない。
華やかさと楽しさ、誇りに彩られた過去の回想。
悔いと悲しみに暮れ、孤独に苦しむ現在の境遇。
そして天上への希望・・・。
グリザベラが公演で大勢の観客の共感や納得を引き出すのは大変な苦労だろう。
◇◆◇
ミュージカル「キャッツ」に関するブログは以下のとおり。
⇒2010年10月30日「何か変、キヤノン・キャッツ・シアターの感動」はこちら。
⇒2010年10月31日「たわいない…劇団四季『キャッツ』の感想」はこちら。
⇒2010年11月2日「ミュージカル・キャッツ・キャスト・ヒップ」はこちら。
⇒2010年11月4日「キャッツ・メモリーを歌う…佐渡寧子グリザベラ」はこちら。
⇒2011年9月19日「エレイン・ペイジが歌うキャッツ・メモリーの感動と感銘」はこちら。
⇒2012年9月10日「キャッツ横浜公演、2012年11月11日千秋楽」はこちら。
⇒2012年9月12日「『ジェリクルキャッツ』を選ぶ舞踏会に集まったネコたち」はこちら。
⇒2012年9月14日「劇団四季ミュージカル『キャッツ』首都圏見納め」はこちら。
⇒2012年9月18日「キャッツといえばメモリー、グリザベラの熱唱」はこちら。
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その一角に「キヤノン・キャッツ・シアター」が誕生し、2009年11月11日にこけら落とし公演を行った。
劇団四季はミュージカル「キャッツ」の上演専用の仮設劇場として「キャッツ・シアター」を各地に設けてきた。
横浜のそれは、東京・五反田/大崎公演の後を受けてつくられた。
ところが、横浜公演が2012年11月11日に千秋楽を迎えるという。
昨今の経済情勢で一番人気の「キャッツ」といえども集客が容易でないことは察しがつくが、それにしても唐突・・・。
実は、「キヤノン・キャッツ・シアター」の土地利用に関する横浜市との契約は期間限定だった。
11月に契約が切れるため、それに合わせて横浜公演を閉じる。
施設を取り壊して更地の状態に戻し、横浜市に土地を返却するとのこと。
それを前提につくられていたわけだ。
劇団四季のミュージカル「キャッツ」は地方に拠点を移すので、首都圏ではしばらく見られない。
私は、私のようにミュージカルに縁のない家庭にぜひとも足を運んでいただきたい。
脚本も舞台(演出)も分かりやすく、予備知識なしに十分に楽しめる。
満足度がきわめて高い。
余談・・・。
こうしたミュージカルなどの興行は、観客による口コミの広がりを大切にするものだろう。
劇団四季はそれに加え、横浜市営地下鉄などの車内で広告というかPRを打った。
個人的な感想を述べれば、劇団四季の地元なのだからもっと泥臭いプロモーションが仕込まれてよかった。
泥臭いという表現が適切でないなら、地域密着、住民密着。
横浜市民は何事にもクールなのは確かだが、「キャッツ」横浜公演は地元の盛り上がりを欠いた。
以下に、「エレイン・ペイジが歌うキャッツ・メモリーの感動と感銘」と題する2011年9月19日のブログを収める。
◇◆◇
先日、コンテンツの作成に行き詰まった明け方、なぜかミュージカル「キャッツ」の「メモリー」を無性に聞きたくなった。
私は、ユーチューブで、エレイン・ペイジが演じるグリザベラが歌う動画を見つけた。
そして、ドラマチックな歌唱に大きな感動と感銘を受けた。
私がしびれたのは、圧倒的な表現力!
歌声は高いのに深く、枯れていながら響く。
ときに語るように歌い、それが心に染み入ってくる。
サビでは、空気を切り裂き、時間を突き抜けた。
演技力もなかなか。
私はすっかり魅了されてしまった。
おそらく図抜けている。
これぞミュージカル女優!
キャッツ(CATS)は、詩人T.S.エリオットが猫を擬人化した詩に、アンドリュー・ロイド=ウェバーが曲をつけたミュージカルである。
グリザベラ(Grizabella)は昔、美貌で売れっ子の娼婦猫だった。
いまや醜く老い、皆が忌み嫌う。
彼女が最後に登場し、自身の生まれ変わりを夢見てメモリー(Memory)を熱唱する。
先入観を持たない純真な子猫のシラバブが導くように、寄り添うように歌う。
観客は「お願い 私にさわって…」のクライマックスで、心が震える。
やがて皆がグリザベラの幸せを願いながら天上へ送り出し、永遠の命を祝福する。
エレイン・ペイジ(Elaine Paige)は、イギリスを代表するミュージカル女優、ポップシンガー。
事故に遭遇した主演の代役として、「エビータ」の主演に続いて起用された。
そして、彼女の歌うメモリーが世界的なヒットになった。
それがキャッツを一躍有名にしたといっても過言でない。
エレイン・ペイジが歌うキャッツ「メモリー」はこちら。
ユーチューブで早水小夜子の「メモリー」を見つけた。
声楽を本格的に学んだのだろう、素晴らしい。
高音も低音もよく通り、しっかりと歌い込むという印象。
触るのも汚らわしいボロのコートをまとっているのに、歌唱はもちろん全身から「気品」が溢れる。
みすぼらしさを感じさせない。
かなり立派なグリザベラだ。
違和感の残る人がいるかもしれないが、歌は見事。
シラバブは谷口あかり。
滅茶苦茶かわいい。
日本では劇団四季が1983年(昭和58年)11月11日に初演。
現在、11月11日は「キャッツの日」になっている。
私が暮らす横浜市にキャッツ専用の上演劇場「キヤノン・キャッツ・シアター」があり、家族と昨年楽しんだ。
グリザベラは佐渡寧子。
シラバブは五所真理子。
やはり滅茶苦茶かわいかった。
メイクも関係しているのか…。
早水小夜子が歌うキャッツ「メモリー」はこちら。
◇
キャッツに“主役”という設定はない。
が、実質的に名曲メモリーを歌うグリザベラ。
世界でも日本でもグリザベラを務める出演者は選び抜かれている。
ダンスよりも歌唱のほうに重きが置かれる。
皆が素晴らしいはずだが、かなりの違いがあるようだ。
個性も持ち味(得手)も異なるから当然だ。
また、表情を含めた演技についても…。
メモリーは難曲でなかろうか。
深くて激しい「哀愁」を帯びたメロディー。
幸せを求めて生きてきた老いた娼婦猫が抱く複雑な思いやせめぎ合う感情を歌に塗り込めなくてならない。
華やかさと楽しさ、誇りに彩られた過去の回想。
悔いと悲しみに暮れ、孤独に苦しむ現在の境遇。
そして天上への希望・・・。
グリザベラが公演で大勢の観客の共感や納得を引き出すのは大変な苦労だろう。
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ミュージカル「キャッツ」に関するブログは以下のとおり。
⇒2010年10月30日「何か変、キヤノン・キャッツ・シアターの感動」はこちら。
⇒2010年10月31日「たわいない…劇団四季『キャッツ』の感想」はこちら。
⇒2010年11月2日「ミュージカル・キャッツ・キャスト・ヒップ」はこちら。
⇒2010年11月4日「キャッツ・メモリーを歌う…佐渡寧子グリザベラ」はこちら。
⇒2011年9月19日「エレイン・ペイジが歌うキャッツ・メモリーの感動と感銘」はこちら。
⇒2012年9月10日「キャッツ横浜公演、2012年11月11日千秋楽」はこちら。
⇒2012年9月12日「『ジェリクルキャッツ』を選ぶ舞踏会に集まったネコたち」はこちら。
⇒2012年9月14日「劇団四季ミュージカル『キャッツ』首都圏見納め」はこちら。
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