巷では講演やセミナーが大ブームである。
ちょっと前までは考えられないようなテーマまで登場しており、しかもかなりの参加者で賑わっている。
先だってもテレビ番組でその盛況ぶりが映し出された。
講演やセミナーのテーマも多彩になったが、参加者の顔触れも多彩になった。
価値観や関心の多様化、可処分時間の増加、交流志向の高まりなどが背景だろう。

今日、無料講演や低価格セミナーは当たり前である。
自分が営む会社や事業のPR、自身の知名度・認知度向上の機会、社会への貢献(ボランティア)、自身の趣味(楽しみ)として行う講師が珍しくない。
いや、むしろこちらが主流…。

かたや、1日3万円前後のビジネスセミナーは集客が困難を極め、主催者が採算を取りにくい。
いわゆる「職業講師(プロ講師)」の大半はここ数年で淘汰された。
また、一時的に脚光を浴びたとしても、長期にわたり評価を得られる講師が激減した。

きのう、三菱UFJグループのセミナー会社から連絡が入っていた。
2週間以上先の私のセミナーがすでに定員をオーバーしたとの報告。
電話の向こうの事務局(担当者)の声が弾んでいたらしい。
失礼な言い方になるが、三菱UFJはセミナー会場そのものが不便な場所に移転したため、私は参加者(受講者)が集まるか疑問を感じていた。
それが早々と「満員御礼」。
不安が吹き飛び、胸をなで下ろした。

やはりきのう、みずほグループのセミナー会社から連絡が入っていた。
来週開催の私のセミナーがそれなりの申し込みを得ているとの報告。
ここ数年、「営業セミナー」は深刻な状態だ。
なかでも「営業管理者」を対象としたものは壊滅に近い。
にもかかわらず、かなり健闘している。
私が今年になって開発した新テーマであり、正直どれくらいの参加者(受講者)が集まるか、大きな不安を感じていた。
最悪の場合には“開催中止”もありうると…。
電話の向こうの事務局(担当者)の声が明るかったらしい。

                       ◇

乱暴な言い方になるが、講演やセミナーは参加費(受講費)が10倍になると、参加者(受講者)の評価は10倍厳しくなる。
それに堪えられる講師が少なくなった。

従来のビジネスセミナーのマーケットサイズ(市場規模)が年々急速にしぼんでいる。
それにともない、「講師料」も猛烈な価格破壊が起こっている。
私を含め、職業講師(プロ講師)は近い将来、すべて消える運命なのかもしれない。

オーバーだと笑わないでほしい。
この仕事に命を懸けるという気持ちがないと、ゆとりを持って食べていけない。
それくらい厳しい。

ブログで幾度か述べたとおり、私は「百倍ルール」を自らに課している。
人前でしゃべる時間の少なくも百倍の時間を準備に費やすこと。
具体的には、講演やセミナーのコンテンツの作成である。
したがって、休日はゼロ、睡眠は極少になる。
つくづく、地獄の商売を選んでしまったと思う。
還暦を迎えた私はいまさら道を引き返せない。
後の祭・・・。

倒れるまで突っ走るのみ!

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