戦後、小さな会社が次々と産声を上げた。
職場と仕事がなかったからだ。
自らつくるほかに、飢え死にを避けられなかった。
それらは高度経済成長をけん引し、ごく一部は今日の有力企業に育った。
この間、国民を食べさせてきた。

日本を豊かにしたい。
国民を幸せにしたい。
そうした創業者の「志」を否定することはできないが、起業の主因は就職先がなかったこと。

4年制大学を卒業しても就職先を見つけられない。
就職活動(就活)は地獄だ。
しかし、こうした社会情勢は入学前から分かり切っている。

大学は旧態依然とした「就職相談室」「就職支援室」を設けている。
たいした成果を上げていない。
就職先を見つけるという発想が限界なのだ。
環境変化にまるで対応できていない。
なぜ「起業相談室」「起業支援室」を設けないのか。
大学の怠慢以外の何物でもない。
それ以前に、経済・経営系の学部や学科でもっとも大事なのは「起業教育」である。
21世紀に入ってからの就職難を踏まえれば当然。
にもかかわらず、講義体系も授業体制もほとんど整っていない。

政府の長年にわたる経済運営の失敗などにより、就職先がなくなった。
私たちは幸い、職場や仕事をつくらざるをえない。
老後の備えがこれからの私も、むろん。
皆が会社をどんどん立ちあげることだ。

ところが、独立(自営業)を含めた起業が一向に活発にならない。
日本人に「ハングリー精神」がなくなったからだ。
厳しいとはいえ、昔と比べればはるかに豊かであり、恵まれている。
行くところへ行ったり、手続きを取ったりするなら、それなりの食事にありつける可能性がある。
何かのテレビ番組で、私がよく食べるオーケーストアの 290円弁当より立派な食事が支給されている様子が映し出されていた。
がっくり・・・。
これでは切迫感が乏しく、就職先を死に物狂いで探そうとしない。

新卒学生の就職率はこの先もたいして改善しない。
私は、トレンドとして悪化すると考える。

自分で会社をつくるか。
他人の会社に入るか。
このいずれかにより職場と仕事が得られる。
学生が就活にエネルギーを注ぐのはよい。
しかし、猛烈に頑張ってもうまくいかなければ、しがみつくことをやめよ。
就職先がないと嘆くだけでは、あまりに無気力である。

今日、学生の起業を強力に促進したり後押ししたりする手立てが欠かせない。
在学中に「起業」に近い経験を積んでおくなら、踏み切りに抵抗感が薄れる。
大学はそうした取り組みに単位をどっか〜んと認定せよ。
例えば、30〜60単位、ジョーカーみたいな性格を付与。
また、企業は起業経験者を圧倒的に優先して採用せよ。
社内に「新規事業募集」のポスターを貼り出しても、ろくなプランが集まらないのだから…。
政府が音頭を取れば即座に実現可能!

いまや大学は全入だ。
学生の数が多いので、これしきのことで日本の起業がかなり活発になる。
膨大の母数のなかから、国民の将来の生活を支える有力企業が育つ。

⇒2010年8月24日「起業へ挑戦、そして失敗…職業人生の財産」はこちら。

他人にリスクを負わせ、自分はリスクを避ける。
そうした働き方が通用しなくなった。
苦しい時代に、虫のいい話などない。
これは若者が21世紀に生き抜くうえで、どうしても知っておくべき基本認識である。
大学は授業でこうしたことを学生に本気で伝えているか。
くその役にも立たない知識を覚えさせていないか。
私は経営者の端くれだったが、必要なのは小学校で習った足し算と引き算、掛け算と割り算だった。
ほかは何一つ使っていない。
明治大学を中退してホント、よかった。

「平穏無事」は昔物語。
自らの人生において、挑戦や勝負を幾度か試みるのは絶対。

失うものが少ない学生時代はチャンスである。
なかでも就職先の見つからない学生は怖いもの知らずだ。

Copyright (c)2010 by Sou Wada

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