私・和田創が講師を務める九州生産性大学「提案営業実践コース」。
カリキュラムは「2日間×7カ月=14日間」の本格派、しかも2度の合宿を含む。
毎年恒例の人気講座であり、主催は九州生産性本部。
ほとんど知られていないが、提案営業とは営業活動における生産性向上の取り組みである。
したがって、かならず収益の大幅伸長がもたらされる。
提案営業で数字が冴えないとしたら、そのレベルにまったく達していないと考えよ。
本コースは、実案件(仕事)がベースになっており、最大の課題は提案書の作成である。
むろん、大手など有力企業の決定権者など上層部に対してプレゼンテーションを行うことが大事だ。
先だって、私の手元に今年の受講者の提案書が届き、土曜日と日曜日を費やして評価を下した。
過半数が力作であり、優劣をつけるのは骨が折れた。
どこに重きを置くかにより、審査結果は大きく異なる。
私は悩みながら、最優秀賞と優秀賞を各1名選び、それぞれに入念なコメントを添えた。
きょうは、最優秀賞に対するそれを紹介したい。
ただし、提案先と提案者について、会社名や個人名、商品名など、すべてを伏せた。
まして提案書(受賞作)は載せられない。
製粉会社の40代半ば近い営業マンが行った提案営業の事例である。
最高レベルだ。
◆総評
私が営業マンを見る際に最重視する尺度は至ってシンプルである(社長が社員を、上司が部下を見る尺度も同じ)。
すなわち、数字が伸びる「動き」になっているかどうかだ。
提案書の表紙の写真に接した瞬間、同氏がいかにダイナミックな働きかけを行っているかが伝わってきて圧倒された(私は足もとにも及ばない)。
突出した営業マンが持つ、広い意味の「政治力」を感じた。
営業として最高のレベルに達している。
同時に、顧客にもたらそうとする「役立ち」のスケールの壮大さが伝わってきた。
本提案は、受け入れが出発点にすぎず、実施に寄り添っていくことになる。
これから膨大な時間とエネルギーを注ぎながら、渾身の案件を成功へ導いていかなくてならない。
◆内容
商品による差別化は至難である。
そこで、「貢献のテーマ」を前面へ押し出し、多方面の有力な関係者に果敢に切り込み、粘り強く巻き込みながら提案内容を固めようとしている。
私が感動を覚えるのは、生産関係者(流通関係者を含む)はもとより消費関係者など、すべての顧客を絶対に豊かにする、幸せにするというひたむきな姿勢と努力である。
その“熱”の大きさにおいて、今回の参加者で図抜けていた。
「内容」の欄は、関係者との“協同”を持ちかけており、具体的な商品の販売や仕事の受注を目論んだわけでない。
したがって、提案時における骨格に留まる。
その代わり、顧客に信頼を置かれるパートナーとして“取り組み”を提案しているため、決まってからが本番になる。
「方法」の欄が命だ。
自社を含め、関係者が担うべき役割、踏むべき段取り(手順)を示した。
◆表現
表紙のタイトルは泥臭く、それが貢献のテーマにマッチしている。
あくまでも取り組み提案なので、具体的な内容は今後の進行につれて固めていくというのは分かる。
しかし、現時点でもう少し丁寧にまとめることはできるはずだ。
「内容」と「方法」の欄が項目の列挙に留まっており、いくらか説明を補いたい。
また、肝心の「効果」の欄があまりに淡泊である。
案件の実施はこれからだとしても、掘り下げに欠ける。
結果として、他の欄と内容(言葉)の重複がひどくなった。
「参考資料」は新聞記事を中心に構成している。
おそらくプレゼンテーションのシナリオのなかに位置づけられている。
関係者にどうしても役立ちたいとの強い思いが反映されているのは確かだが、点数は絞ったほうがいい。
「提案書」の出来という観点からは、改善の余地をおおいに残す。
私がとくに気になったのは、同じような言葉(記述内容)があちこちの欄に見受けられ、論理の整理がしっかりとできていないことだ。
流れが悪く、プレゼンテーションで支障を来す。
本コースは実案件(仕事)をベースにしているが、学習の機会でもある。
提案書作成が課題になっており、“まとめ方”という尺度に限ればこれをしのぐ提案書が数多くあった(今年はレベルが高かった)。
◆今後
営業活動の軸足が自社の側から顧客の側へシフトしていて、一民間企業の「営業マン」として働いていない。
先に述べた広範な顧客の「購買コンサルタント」として働いている。
現在もそうだが、今後はさらに農業と農村の「再生コーディネーター」として活躍していくと思われる。
それは素朴で真っ正直で情熱的な人柄にも合っている。
近い将来、営業活動が「地域おこし」に深く関わっていくのでないか・・・。
日本は、なかでも地方は人口減少が一気に加速し、衰退が深刻になる。
地元の活性化に貢献してほしい。
同氏はすべての関係者を笑顔にする、豊かさと幸せのプロデューサーである。
「提案営業実践コース」責任指導 和田創研 和田 創
◇
⇒2010年11月16日「どうしてもお礼を伝えたい…地獄の提案営業研修」はこちら。
⇒2010年11月30日「提案書優秀作…九州生産性大学提案営業コース」はこちら。
⇒2011年3月23日「受講生の胴上げが始まった…提案営業コース」はこちら。
Copyright (c)2012 by Sou Wada
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カリキュラムは「2日間×7カ月=14日間」の本格派、しかも2度の合宿を含む。
毎年恒例の人気講座であり、主催は九州生産性本部。
ほとんど知られていないが、提案営業とは営業活動における生産性向上の取り組みである。
したがって、かならず収益の大幅伸長がもたらされる。
提案営業で数字が冴えないとしたら、そのレベルにまったく達していないと考えよ。
本コースは、実案件(仕事)がベースになっており、最大の課題は提案書の作成である。
むろん、大手など有力企業の決定権者など上層部に対してプレゼンテーションを行うことが大事だ。
先だって、私の手元に今年の受講者の提案書が届き、土曜日と日曜日を費やして評価を下した。
過半数が力作であり、優劣をつけるのは骨が折れた。
どこに重きを置くかにより、審査結果は大きく異なる。
私は悩みながら、最優秀賞と優秀賞を各1名選び、それぞれに入念なコメントを添えた。
きょうは、最優秀賞に対するそれを紹介したい。
ただし、提案先と提案者について、会社名や個人名、商品名など、すべてを伏せた。
まして提案書(受賞作)は載せられない。
製粉会社の40代半ば近い営業マンが行った提案営業の事例である。
最高レベルだ。
◆総評
私が営業マンを見る際に最重視する尺度は至ってシンプルである(社長が社員を、上司が部下を見る尺度も同じ)。
すなわち、数字が伸びる「動き」になっているかどうかだ。
提案書の表紙の写真に接した瞬間、同氏がいかにダイナミックな働きかけを行っているかが伝わってきて圧倒された(私は足もとにも及ばない)。
突出した営業マンが持つ、広い意味の「政治力」を感じた。
営業として最高のレベルに達している。
同時に、顧客にもたらそうとする「役立ち」のスケールの壮大さが伝わってきた。
本提案は、受け入れが出発点にすぎず、実施に寄り添っていくことになる。
これから膨大な時間とエネルギーを注ぎながら、渾身の案件を成功へ導いていかなくてならない。
◆内容
商品による差別化は至難である。
そこで、「貢献のテーマ」を前面へ押し出し、多方面の有力な関係者に果敢に切り込み、粘り強く巻き込みながら提案内容を固めようとしている。
私が感動を覚えるのは、生産関係者(流通関係者を含む)はもとより消費関係者など、すべての顧客を絶対に豊かにする、幸せにするというひたむきな姿勢と努力である。
その“熱”の大きさにおいて、今回の参加者で図抜けていた。
「内容」の欄は、関係者との“協同”を持ちかけており、具体的な商品の販売や仕事の受注を目論んだわけでない。
したがって、提案時における骨格に留まる。
その代わり、顧客に信頼を置かれるパートナーとして“取り組み”を提案しているため、決まってからが本番になる。
「方法」の欄が命だ。
自社を含め、関係者が担うべき役割、踏むべき段取り(手順)を示した。
◆表現
表紙のタイトルは泥臭く、それが貢献のテーマにマッチしている。
あくまでも取り組み提案なので、具体的な内容は今後の進行につれて固めていくというのは分かる。
しかし、現時点でもう少し丁寧にまとめることはできるはずだ。
「内容」と「方法」の欄が項目の列挙に留まっており、いくらか説明を補いたい。
また、肝心の「効果」の欄があまりに淡泊である。
案件の実施はこれからだとしても、掘り下げに欠ける。
結果として、他の欄と内容(言葉)の重複がひどくなった。
「参考資料」は新聞記事を中心に構成している。
おそらくプレゼンテーションのシナリオのなかに位置づけられている。
関係者にどうしても役立ちたいとの強い思いが反映されているのは確かだが、点数は絞ったほうがいい。
「提案書」の出来という観点からは、改善の余地をおおいに残す。
私がとくに気になったのは、同じような言葉(記述内容)があちこちの欄に見受けられ、論理の整理がしっかりとできていないことだ。
流れが悪く、プレゼンテーションで支障を来す。
本コースは実案件(仕事)をベースにしているが、学習の機会でもある。
提案書作成が課題になっており、“まとめ方”という尺度に限ればこれをしのぐ提案書が数多くあった(今年はレベルが高かった)。
◆今後
営業活動の軸足が自社の側から顧客の側へシフトしていて、一民間企業の「営業マン」として働いていない。
先に述べた広範な顧客の「購買コンサルタント」として働いている。
現在もそうだが、今後はさらに農業と農村の「再生コーディネーター」として活躍していくと思われる。
それは素朴で真っ正直で情熱的な人柄にも合っている。
近い将来、営業活動が「地域おこし」に深く関わっていくのでないか・・・。
日本は、なかでも地方は人口減少が一気に加速し、衰退が深刻になる。
地元の活性化に貢献してほしい。
同氏はすべての関係者を笑顔にする、豊かさと幸せのプロデューサーである。
「提案営業実践コース」責任指導 和田創研 和田 創
◇
⇒2010年11月16日「どうしてもお礼を伝えたい…地獄の提案営業研修」はこちら。
⇒2010年11月30日「提案書優秀作…九州生産性大学提案営業コース」はこちら。
⇒2011年3月23日「受講生の胴上げが始まった…提案営業コース」はこちら。
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