私は長年、営業立て直しと業績テコ入れのための講演や研修を行ってきた。
もっとも多く伺ったのは、広い意味での物流(関連)業界であり、ついで素材・部品メーカーである。
先日、初めてJR京葉線・潮見駅で下車し、江東区新砂に足を運んだ。
明治通りに沿って歩いていくと、そこはエリア全体が巨大な物流拠点だった。
さながら「日本通運村」。
ほかに、福山通運、アイロジスティクス、新潟運輸、コクヨロジテム、佐川急便、日本郵便、西濃運輸、リコーロジスティクス・・・。
私が講師を務める「提案営業」の公開セミナーにもこうした会社から受講者がずいぶんと派遣された。

物流関連業界は「爪に火を点す」ようにして売り上げを立てている。
1円、ときに1銭の単位。
利益率が低い。
しかも、顧客の「合理化欲求」は年々エスカレートするばかり。
それは個々の商品(サービス)については値引き要請となり、物流会社には利益圧迫要因として作用する。
ゆえに、これだけを眺めれば、合理化欲求はいまいましい。

しかし、物流関連業界はもともと合理化欲求を背景に急成長を遂げてきた。
大所・高所から眺めれば、それは大きなビジネスチャンスである。
新たな業務受託、ときにフルアウトソーシング(業務の一括委託)の引き受けにつながり、物流会社には収益(売り上げ・利益)伸長要因として作用する。

私はさまざまな業界で「提案営業研修標準講座(8日間スタンダードコース)」を行ってきた。
なかでも物流業界はレベルが高い。
講師が驚くほど高度で緻密な「営業提案書」を作成する受講者が現れる。
適正な利益を保てる仕事の受注が困難を極めるため、おのずと営業力が養成されたのだろう。
しかし、物流営業(ロジスティクス営業)はいったん契約にこぎ着けると、つきあいが継続しやすい点は恵まれている。
わりと長期にわたり安定的な売り上げが見込める。
それはたいてい、無形のサービス、それもこまごまとしたものを複合して一連の“仕組み”として顧客へ投げかけることになる。
私が指導する、「コンサルティングマインド」と「ソリューションスキル」を2本柱とする「提案営業」が必須となる。

私が先日、江東区新砂の物流関連会社で行った2日間の講演(研修)では、ロジスティクス営業の基本中の基本をすり込んだ。
午前9時半から午後5時半まで機関銃のようにしゃべりつづけ、疲労と酸欠で頭も体もくらくらした。
受講者の一部から感想が寄せられており紹介したい。

1人目。
30代・男性、物流、営業開発・マネジャー。
「率直に、楽しかったです。
あれだけ話を続けられる方を見たのは初めてです。
懐が深い!!」。
一番印象に残った言葉は「営業の重大な仕事の一つは、わがままな顧客に対する教育・啓蒙である」。

2人目。
30代・男性、物流、営業開発・サブマネジャー。
「正直なところ、古い営業から脱却できていない自分が写し出されました。
時代のニーズに柔軟に対応できるよう、自分の成長に日々努めていきたいと思いました。
講義の内容は非常に分かりやすく丁寧で、受講すればするほど聞き入っていました。
また、機会がありましたらよろしくお願いします。
ほんとうにありがとうございました」。
一番印象に残った言葉は「収益は、金持ちとの密着度で決まる」。

3人目。
30代・男性、物流、営業。
「非常にためになりました。
ただし、実行するのは容易でないと思いました。
まずは“お金持ち”のリサーチ(顧客理解)から始めます。
時間を費やすに値するか、提案を投げかけるに値するか、それを的確に判断するには経験が必要かと思いました。
このたびはありがとうございました」。
一番印象に残った言葉は「金持ちとつきあえ」。

以上。
まことにありがとうございます。
受講者の感想に出てくる「金持ち」とは、ポテンシャルの大きい顧客における決定権の大きい人物のこと。

ほかに二人からアンケート用紙にびっしりと記された感想も寄せられており、後日のブログで紹介したい。

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