2008年12月17日に大阪を出発、マラソンとヨットで世界一周「アースマラソン」に挑戦しているお笑いタレントの間寛平(はざま・かんぺい)。

今年1月に前立腺がんと診断され、経口と注射によるホルモン治療を行いながらマラソンを続けていた。
しかし、体調が思わしくなく、トルクメニスタンで一時中断し、米国サンフランシスコで放射線治療を受けている。
もちろん“完走”するため。
担当医師によると、腫瘍の程度は5段階の4と高いが、2カ月程で完治しそう。
再スタートの時期は様子を見て判断する。

アースマラソンは「山あり谷あり」。
間寛平は治療とトレーニングを並行し、一日も早く日本に着けるように頑張りたいと語った。
ブログには連日、激励のメッセージが届いている。
間寛平が病魔と闘いながらゴールを目指す姿は、ファンに大きな勇気と感動を与えよう。

人はだれしも“老い”を迎える。
行く末を考えれば不安が膨らみ、来た道を振り返れば悔いが残る。
さまざまな思いに苦しめられ、心が揺れ動く。
それでも間寛平はひょうひょうとして生きる。

私がやりたくてできないことを、間寛平は代わりにやってくれている。
セカンドライフに誇りと喜びを見出せなくて元気を失いがちな団塊の世代や60代の憧れでもあろう。

「地球を走って一周する」。
ここまで壮大でなくても、一生のうちにこれといった目標を掲げられ、なおかつ実行へ移せる人はどれだけいるだろう。
私たちは何となく歳月を過ごし、気づけば夕暮れにたたずみ、すぐに朽ちていく。

間寛平のチャレンジは、困難そのもの。
入念な準備は当然として、それまでの不断の鍛錬、それに基づく実績の積み重ねがあってこそ可能性が芽生えるし、支援者も現れる。
私には絶対に無理と承知しつつ、うらやましいと思う気持ちがどこかにある。

自然は美しい。
そして厳しい。
吹きすさぶ砂漠、荒れ狂う海原、降り注ぐ太陽…。
行程の大半は過酷極まりないのかもしれない。

間寛平は、人生の地平線をどこまでも走っている。
胸に時折去来する思いは何なのだろう。

還暦間近の私は思う。
垢で汚れてしまった心を空っぽにできたら…。
広辞苑によれば、還暦とは「60年で再び生まれた年の干支に還るからいう、数え年の61歳の称」とある。

                      ◇◆◇

私は以前、たまたま見た報道番組で深い溜め息をついてしまった。
自分の境遇とのあまりに大きな隔たり…。
そこには大海原を背景に、こぼれるような笑顔の間寛平が映し出されていた。
以下に、「大西洋上で還暦を迎える幸せ!」と題する2009年8月18日のブログを収める。

テレビ報道によれば、「アースマラソン」に挑戦しているお笑いアスリート・間寛平が大西洋上で還暦を迎えた。
このアースマラソンは、マラソンとヨットで世界を一周する、人類初の冒険。
輝かしいマラソン歴の集大成らしい。

私は2年弱で満60歳に達する。
ヨットでの航海中に還暦を迎えられたら、最高の気分だろう。
人生の幾多の苦労も吹き飛ぶに違いない。

これまで間寛平が走っている番組をついつい見てしまった。
もともと不思議な味わいを持つ芸人なのだが、マラソンとの取り合わせはきわめて魅力的。

                      ◇◆◇

以下に、「旅人・関口知宏」と題する2008年3月2日のブログを収める。
旅人に対する私の憧れを素直に綴ったもの。
それと、「リヤカーマン」を思い浮かべた。

きのう、BS2で「関口知宏スペシャル 全部見せます! 日中欧鉄道大紀行」という長時間番組を放映していた。
過去の番組の総集編か。
私は、「日本列島縦断最長片道切符の旅」の、しかもごく一部のみ視聴。

すべてがゆったりと流れる…。
途中、各地の自然や風物、文化や風土、暮らしや人情などに触れる。
うらやましい。

関口知宏は、どこにでも自然体で溶け込んでいけるし、だれからも温かく迎え入れられる。
それに絵も描けるし曲もつくれる。
これ以上の旅人はそうそういない。
タレントのジャンルとして「旅人」が成り立つのではないかと思わされる(あ、兼高かおるというあまりにも偉大な先人がすでに存在した)。
このシリーズに限らず、街道を徒歩で旅する番組もあったのでは…。
それとバイクで旅する番組も…(こちらは二人連れ)。

この手の紀行番組の登場は、チャネルの増加と無関係でない。
制作コストを低く抑えられ、しかも放映時間を長く稼げる。
そうしたテレビ局の思惑がある。

紀行番組は、筋書きも演出も限られる。
それ以前に、スタジオもセットも、脇役もエキストラも要しない。
主役の旅人一人。
結果として素朴な内容になり、そこに新鮮な面白さがある。
ストーリーを追わなくてよいので、“ながら視聴”の私にぴったり。
関口知宏のキャラクターとあいまって、心が癒やされる。

多忙な現代人にとり、時間の消費そして忘却こそが最高の贅沢なのかもしれない。

自分の限界に挑み、生命の危険にさらされながら旅を続ける「リヤカーマン」にさえ、憧れの気持ちを抱く人は少なくない。

                       ◇

将来の夢。
腰や背中が悲鳴を上げなければ、私は鈍行(各駅停車)による「日本一周の旅」を楽しんでみたい。

これまで幾度かつまずきながら、しかし走るようにして生きてきた。
そう、私は前しか見たことがない。
気の遠くなるくらいのんびりとした日々を、一生にたった1度でも送れるなら…。

                      ◇◆◇

⇒2009年8月18日「大西洋上で還暦を迎える幸せ!」はこちら。

⇒2008年3月2日「旅人・関口知宏」はこちら。

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