昭和26年(1951年)生まれの私は63歳になっている。
知人の訃報に接する機会が増えた。
また、同級生は一握りの経営者や自営業者を除いて仕事を離れた。
サラリーマンは長くてもたいてい62歳までである。

私は新年や新年度を迎えるたび、誕生日を迎えるたび、後どのくらい現役を続けられるだろうとの思いが頭をかすめる。
自分の意思と健康もさることながら、世の中に私の力を必要とする人がいることが前提である。
講師やコンサルタントという職業は、こちらの目論見で仕事を得られるほど甘くない。

私は還暦の頃から、一年一年を大切にする気持ちが強くなった。
むろん、これまで粗末にしてきたわけでない。
むしろ、周囲に異常と映るほど頑張ってきた。
しかし、「生産性」の概念を欠いていた。
私は父から譲り受けた頑丈な体に任せ、無理を重ねてきた。
こだわりの世界で生きたがる職人気質(かたぎ)なので、納得のいく仕事を限界まで追い求めた(誤解が生じないように説明を補うと、自分のためだけにそうしたということでない)。

近年、がむしゃらに働くと反動がひどく、しかも長く尾を引くようになった。
老いを痛感させられる。
再婚後の妻と子がおり、まだ命を落とせない。
仕事の効率を意識するという、昔の自分に考えられない変化が現れた。

また、困ったことに、職業人生の残りが短くなるにつれ、やりたいこと(テーマ)が次々と出てきた。
おもに「マネジメント」と「マーケティング」に関わる教育や指導である。
私が当時、私立で唯一だった明治大学経営学部を選んだのはマネジメントに関わりたかったからだ。
また、職業として認知されていなかったプランナーとして生計を立てようとしたのはマーケティングに関わりたかったからだ。

私は晩年に達し、「原点回帰」の情熱が湧いてきた。
それを叶えたくて一年一年、さらに一日一日をいとおしんでいる。
夏以降に開催した「理念経営」「戦略経営」「理念採用」「社員採用」「社長の態度力」「上司の態度力」「管理者の報連相」「新事業・新商品開発」などのセミナーはその成果の一端である。
コンテンツの練磨に精魂を傾け、心血を注いできた。
3年間で30テーマ前後のリリースを予定しており、ラインアップがかなり充実する。

私は、かつては大手企業とのつきあいが大半だったが、このところは中小企業、それも内需型の地方企業とのつきあいに力を入れている。
収入は前者がはるかに勝るが、やりがいは後者が断然大きい。
自分が得意とする「教育指導」の側面から、低迷や衰退に苦悩する企業の業績回復・拡大に貢献したいのだ。

私は、両親ともに深刻なアルツハイマーの家系なので、ボケがいつ始まるのかも気がかりである。
避けられない宿命と腹を括っている。
老いは深まるばかりだが、心身が元気なうちは精一杯、中小企業の社業発展を支援したい。
なかでも地場企業が成長することは「地方創生」の観点からも不可欠である。
私にとっての喜びもひとしおだ。

とはいえ、「志」を実現するには、私はあまりに微力…。
そこで、地方の中核都市に根を張る中小企業と連携し、教育指導の機会や拠点を整備していきたい。
人材育成に本気のオーナー経営者の協力がなくては成し遂げられない取り組みである。
並行して、私の後継者の育成にもそろそろ着手したい。
第一級のインストラクターやトレーナーである。

私は職業人生を徐々に仕上げ、最良の状態で引き継ぎたいと考えている。

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