野球賭博問題のさなかの大相撲七月(名古屋)場所。
ファンが離れ、スポンサーが去り、テレビ中継が消え、表彰が取りやめられ…。
異例づくめの開催だった。
横綱白鵬は記者会見で、「千人近くの力士を引っ張っていかなくてならない…」などと語った。
責任感の優勝である。
いや、使命感か。
昭和の大横綱大鵬の45連勝を抜き、47連勝中。
15日制のもとで、初の3場所連続全勝優勝の快挙だ。
一人横綱になった春場所から一度も土がついていない。
横綱白鵬は美しい。
日本の心を持っている。
千秋楽、土俵際の優勝インタビューで涙を見せた。
天皇賜杯を受け取れなかったのだ。
表彰状と優勝旗が授与されたのみ。
九月(秋)場所では、千代の富士の53連勝に挑む。
その先に見据えるのは、双葉山の69連勝…。
以下に「大嶽親方の代償と大相撲の危機…野球賭博」と題する2010年7月1日のブログを収める。
◇◆◇
野球賭博問題が相撲界を揺るがせている。
日本の伝統国技は存亡の危機に立つ。
賭博に関わったのは幕内力士が多く、親方まで含まれる。
情けないかぎり。
相撲界の腐敗は、構造的な問題が大きい。
日本相撲協会もさることながら相撲部屋についても「閉鎖性」が強い。
部屋は親方個人の財産(所有物)となっており、周りから実態を窺い知ることが難しい。
また、その経営は日本相撲協会からの分配とタニマチからの支援により成り立つが、不況で優良なタニマチが減っている。
台所事情が苦しいなど、好ましくない援助が入り込む余地が生じる。
さらに、相撲界はしきたりや慣習が厳しく、力士は「ストレス」が強い。
社会と切り離され、相撲部屋に閉じ込められがちだ。
時代は変化したが、弟子は自由を制限されたまま…。
さて、野球賭博問題でもっとも悪質だったのが、大嶽(おおたけ)親方である。
NHKのインタビューに応じ、日本相撲協会のどのような処分も受け入れると心境を語った。
そして、賭博に関わった力士に再起のチャンスを一度だけ与えてほしいと涙を流した。
大関琴光喜(ことみつき)も“追放”は免れそうにない。
私は大相撲に詳しいわけでないが、第46代横綱朝潮と並んで元関脇貴闘力(大嶽親方)は大好きな力士の一人だった。
愚直かつ不器用な取り口で、ひたすら前へ。
気合十分の仕切り、回転の速い突き押しが特徴。
朝潮と異なるのは、闘志を体全体で表したこと。
そこに熱い人間味も感じられた。
本人が語ったところによれば、もともと賭け事が好きだった。
野球賭博は次第に回数が増え、金額が大きくなった。
順調な相撲人生にも満たされない何かがあり、心のなかに闇が巣食い、広がっていったのか。
私たちは弱く、ちょっとしたことから崩れやすい。
◇
なお、懸念された名古屋場所は、理事会が特別調査委員会の勧告を受け入れ、開催にこぎつけられそう。
年配者を中心に、根強いファンは胸をなで下ろしている。
大相撲は不祥事が続き、国民の信頼回復は容易でない。
長い歳月がかかるだろう。
日本相撲協会が取り組むべきは、相撲部屋制度のほか、相撲界全体の抜本的な改革である。
21世紀にふさわしい、透明性の高い経営システムを確立しなくては、日本が誇る伝統国技を守れないのでないか…。
協会(理事会)に自浄能力、そして再建能力はない。
公益法人なので、文部科学省は強力に関与すべきだ。
一旦解体が手筋であろう。
◆書き加え1
このブログは2〜3日前に記した。
私は思い出した。
大嶽部屋は、第48代横綱大鵬が起こした「大鵬部屋」が前身だった。
大嶽親方は大鵬の養子なのだ。娘婿。
報道によれば、名誉を汚し、妻との離婚を決めた。
賭け事に興じた代償はあまりに大きい。
大関琴光喜を巻き込んだ罪もきわめて重い。
が、話に不自然なところがあり、大関琴光喜をかばっている可能性も否定できない。
真相が明らかになるには時間がかかりそうだ。
◆書き加え2(7月4日)
日本相撲協会の臨時理事会が開かれ、大嶽親方と大関琴光喜の二人は解雇処分と決まった。
名古屋市内のホテルで行われた緊急記者会見で発表された。
私は元関脇貴闘力が大好きだった。
大相撲から追放されるのはやむをえないが、無念である。
◆書き加え3(7月6日)
NHKは大相撲名古屋場所の生中継を取り止めると発表した。
一場所を通じて生放送を見送るのは初めて。
多くの視聴者から意見が寄せられ、7割近くが否定的だったことを踏まえて判断した。
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異例づくめの開催だった。
横綱白鵬は記者会見で、「千人近くの力士を引っ張っていかなくてならない…」などと語った。
責任感の優勝である。
いや、使命感か。
昭和の大横綱大鵬の45連勝を抜き、47連勝中。
15日制のもとで、初の3場所連続全勝優勝の快挙だ。
一人横綱になった春場所から一度も土がついていない。
横綱白鵬は美しい。
日本の心を持っている。
千秋楽、土俵際の優勝インタビューで涙を見せた。
天皇賜杯を受け取れなかったのだ。
表彰状と優勝旗が授与されたのみ。
九月(秋)場所では、千代の富士の53連勝に挑む。
その先に見据えるのは、双葉山の69連勝…。
以下に「大嶽親方の代償と大相撲の危機…野球賭博」と題する2010年7月1日のブログを収める。
◇◆◇
野球賭博問題が相撲界を揺るがせている。
日本の伝統国技は存亡の危機に立つ。
賭博に関わったのは幕内力士が多く、親方まで含まれる。
情けないかぎり。
相撲界の腐敗は、構造的な問題が大きい。
日本相撲協会もさることながら相撲部屋についても「閉鎖性」が強い。
部屋は親方個人の財産(所有物)となっており、周りから実態を窺い知ることが難しい。
また、その経営は日本相撲協会からの分配とタニマチからの支援により成り立つが、不況で優良なタニマチが減っている。
台所事情が苦しいなど、好ましくない援助が入り込む余地が生じる。
さらに、相撲界はしきたりや慣習が厳しく、力士は「ストレス」が強い。
社会と切り離され、相撲部屋に閉じ込められがちだ。
時代は変化したが、弟子は自由を制限されたまま…。
さて、野球賭博問題でもっとも悪質だったのが、大嶽(おおたけ)親方である。
NHKのインタビューに応じ、日本相撲協会のどのような処分も受け入れると心境を語った。
そして、賭博に関わった力士に再起のチャンスを一度だけ与えてほしいと涙を流した。
大関琴光喜(ことみつき)も“追放”は免れそうにない。
私は大相撲に詳しいわけでないが、第46代横綱朝潮と並んで元関脇貴闘力(大嶽親方)は大好きな力士の一人だった。
愚直かつ不器用な取り口で、ひたすら前へ。
気合十分の仕切り、回転の速い突き押しが特徴。
朝潮と異なるのは、闘志を体全体で表したこと。
そこに熱い人間味も感じられた。
本人が語ったところによれば、もともと賭け事が好きだった。
野球賭博は次第に回数が増え、金額が大きくなった。
順調な相撲人生にも満たされない何かがあり、心のなかに闇が巣食い、広がっていったのか。
私たちは弱く、ちょっとしたことから崩れやすい。
◇
なお、懸念された名古屋場所は、理事会が特別調査委員会の勧告を受け入れ、開催にこぎつけられそう。
年配者を中心に、根強いファンは胸をなで下ろしている。
大相撲は不祥事が続き、国民の信頼回復は容易でない。
長い歳月がかかるだろう。
日本相撲協会が取り組むべきは、相撲部屋制度のほか、相撲界全体の抜本的な改革である。
21世紀にふさわしい、透明性の高い経営システムを確立しなくては、日本が誇る伝統国技を守れないのでないか…。
協会(理事会)に自浄能力、そして再建能力はない。
公益法人なので、文部科学省は強力に関与すべきだ。
一旦解体が手筋であろう。
◆書き加え1
このブログは2〜3日前に記した。
私は思い出した。
大嶽部屋は、第48代横綱大鵬が起こした「大鵬部屋」が前身だった。
大嶽親方は大鵬の養子なのだ。娘婿。
報道によれば、名誉を汚し、妻との離婚を決めた。
賭け事に興じた代償はあまりに大きい。
大関琴光喜を巻き込んだ罪もきわめて重い。
が、話に不自然なところがあり、大関琴光喜をかばっている可能性も否定できない。
真相が明らかになるには時間がかかりそうだ。
◆書き加え2(7月4日)
日本相撲協会の臨時理事会が開かれ、大嶽親方と大関琴光喜の二人は解雇処分と決まった。
名古屋市内のホテルで行われた緊急記者会見で発表された。
私は元関脇貴闘力が大好きだった。
大相撲から追放されるのはやむをえないが、無念である。
◆書き加え3(7月6日)
NHKは大相撲名古屋場所の生中継を取り止めると発表した。
一場所を通じて生放送を見送るのは初めて。
多くの視聴者から意見が寄せられ、7割近くが否定的だったことを踏まえて判断した。
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