男女初となるワンツーフィニッシュ

平昌五輪フィギュアスケート男子シングルが江陵アイスアリーナで行われました。
2月16日がショートプログラム(SP)、17日がフリースケーティング(FS)です。

私が期待した宇野昌磨は初出場のオリンピックで絶対王者の羽生結弦に続いて銀メダルを獲得しました。
自己ベストに迫る104.17点を出してSP3位で迎えた決戦のFSは最終滑走というプレッシャーのなかで何とか演技をまとめています。
まだ若い選手ですが、立派です。

しかし、私が気になったのは、金メダル獲得を願ったファンがいるにもかかわらず、本人が心の底から悔しがっていないように見受けられたことでした。
もちろん真のファンはあたたかいですから、どのような結果でも離れていくことはありません。
ましてフィギュアスケートシングルで男女を通じて初となるW表彰台ですし、ワンツーフィニッシュを飾りましたので、国民を熱狂させました。

私もお疲れさま、ありがとうという気持ちですが、宇野昌磨にもっと悔しがってほしいとも思いました。

4回転ループに失敗も大崩れはなし

FSはプッチーニのオペラ「トゥーランドット」の「誰も寝てはならぬ」の荘厳な音楽に合わせて滑りはじめました。

しかし、冒頭の4回転ループでいきなり転倒してしまいました。
この失敗を引きずらず、4回転フリップ、3回転ループを決めています。

後半のトリプルアクセル(3回転半)は態勢を崩しながらも執念でこらえました。
4回転トウループ−2回転トウループはどちらも着氷が乱れました。
4回転トウループはきれいに降りました。
トリプルアクセル−1回転ループ−3回転フリップの3連続ジャンプは決めています。
最後の3回転サルコウ−3回転トウループの連続ジャンプも決めました。

FSが202.73点で306.90点となりましたが、自己ベストに遠く及びませんでした。
4回転ジャンプは3種4本という構成であり、技術点で羽生結弦を上回りました。

ノーミスの演技で金メダルを獲れる

宇野昌磨は朝の公式練習から体が動かず、あまり調子がよくないと自覚していました。
それでも不調を想定した練習を積んでおり、大きな不安を感じることなく試合に臨んでいます。
その成果が表れ、本番でもワンミスで抑えられました。

試合後に最終滑走は嫌だったと明かしました。
全員の演技と点数を見て、自分がノーミスの演技を行えれば1位になるという計算はしていました。
しかし、最初のジャンプを失敗した時点で諦めて、そこからは焦らずに自分のことだけに集中しました。
「笑いが込みあげてきた」と言いますから、冷静だったのでしょう。

五輪の舞台に特有の緊張は感じない

宇野昌磨は表彰台に上がり、樋口美穂子コーチを喜ばせました。
決していい得点でなかったと思いつつ、「自分の演技ができた」「自分に勝てた」ことに納得しました。
団体戦SP、個人戦SP、FSと3回の演技にそれなりの満足を得ています。

五輪の舞台に特有の緊張は感じなかったという言葉にも驚きました。
この選手はもともとオリンピックを特別視していないと語っていました。
「メンタル対策」でそうした発言を繰り返しているのなら驚きませんが、本気でそう考えているように見えます。
ほとんどのアスリートがオリンピック出場を最大の目標に掲げるなかで異例でしょう。

五輪の銀メダルも他の試合の銀メダルも、重み(価値)に違いを感じないとあっけらかんとしています。

GOEがつくジャンプを身につける

宇野昌磨はこのところ主要大会で2位に留まっており、本人はそれを承知しています。
「大崩れもなく爆発もなく」という言葉は自嘲でしょうか?
単に跳ぶだけでなく、GOE(出来栄え点)がつくようなジャンプを身につけたいと課題を挙げました。

「羽生選手をいつまでも追いつづけたい」と目をきらきらさせて語りました。
宇野昌磨は羽生結弦を目標にしているというより、羽生結弦に憧れているように映ります。
ほんわかとした天然な性格なのでしょう。

表彰台の頂点への欲を持ってほしい

私はフィギュアスケートファンとして、世界最高峰に位置する日本人選手が二人いて、同時期に演技を楽しめることにこの上ない喜びと誇りを感じます。

が、宇野昌磨にオリンピックの表彰台の頂点への強い「欲」を持ってほしい。
ライバルとの競争心があるのだろうかと思うほど、つかみどころのない選手です。

樋口美穂子コーチによれば、先を越されても落ち込まずに練習を続けてきました。
だから、真面目なのは確かです。
ただし、自分は自分という考えなのでしょう。

私は、宇野昌磨は「負けず嫌い」と思っていましたが、その気持ちはどうやら他人に対してでなく自分に対して働くようです。

北京五輪よりも世界選手権で頑張る

宇野昌磨は試合後すぐに「世界選手権が残っているので頑張りたい」と3月を見据えています。
2位に留まると引きずるはずですが、けろっとしています。

また、2022年北京五輪は念頭にないと語りました。
これは目指さないという意味でなく、当面の試合もしくは一つひとつのシーズンでしっかりと滑るとの意思でしょう。

宇野昌磨は勝敗を突き抜けた世界へ

宇野昌磨はどこまでもマイペースであり、先の「大崩れもなく爆発もなく」の主因でしょうか。
私は勝負に淡白なアスリートがいることが不思議です。
彼の持ち味でもあり魅力でもある「安定感」はそこからもたらされているように思います。

海外の4回転ジャンパーに感じるような「点取り虫」でなく、繊細さと豊饒性を備えた香気の高い演技が私は大好きです。
ある意味、勝敗を突き抜けた世界で滑っています。
この辺りが大好きだった高橋大輔と通じるところです。

category:宇野昌磨ブログはこちら。

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宇野昌磨に関するブログは以下のとおり。

⇒2018年2月11日「宇野昌磨、五輪の魔物のぬいぐるみに笑顔」はこちら。

⇒2018年2月9日「宇野昌磨が平昌でネイサン・チェンをごくっと飲んだ!」はこちら。

⇒2018年2月7日「宇野昌磨と宇野藤雄が描く平昌五輪金メダル」はこちら。

⇒2018年2月5日「宇野昌磨と樋口美穂子コーチ、朝練なしの平昌五輪」はこちら。

⇒2018年2月1日「宇野昌磨はじゃんけんに負け、平昌五輪で勝つ」はこちら。

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