きょうは「勤労感謝の日」。
いまや共働きが普通。
相手へのねぎらいは?
再建屋雑記帳0998子どもからのねぎらいは?
親へのねぎらいは?
ちょっとした一言でもかけたりかけられたりするとうれしいものだ。
働く方、お疲れさまです。

団塊の世代が続々と職業人生のリタイアを迎えている。
定年による退職、高齢による離職が理由(いずれも不況が影を落としている可能性がある)。
団塊の世代とは、敗戦直後の1947年から1949年までの「ベビーブーム」に生まれた人たちを指す。
再建屋雑記帳0999その圧倒的なボリュームゆえに社会形成に大きな影響を及ぼし、人生が戦後日本の歩みと重なる。
私は1951年生まれ、58歳。
団塊の世代に属さないが、それでもベビーブームの余波が続いており、学校ではクラス数も一クラスの人数も多かった。

さて、団塊の世代はとりわけ体を張って「高度経済成長」を支えた。
貧しい時代、家族を食べさせるために、しゃにむに働いた。
仕事にどっぷり漬かり、家庭をほとんど顧みない。
再建屋雑記帳1000当時の先進国からは、働きすぎと批判され、「エコノミックアニマル」と揶揄された。
“仕事人間”だったのは間違いないが、仕事が好きというより、そうしないとやっていけなかった。

私はふと思った。
仕事人間とは「残業人間」のことでないか。
平日は深夜に帰宅し、休日や祝日はしばしば出勤する。
したがって、家族との触れ合いの時間が減ったりなくなったりする。
再建屋雑記帳1001団塊の世代から2年遅れて生まれた私でも仕事人間。
社会への適応性が低く、貧しい時代に会社勤めができなかったため、貧しさでは図抜けていた。
狂ったように働くことに何の疑問も迷いも感じなかった。
そんなことを考えていたら、家族が食いっぱぐれる。

仕事に半生を捧げてきた団塊の世代が仕事から離れてしまったら、腑抜け状態になっても不思議でない。
1社で勤めあげた方が少なくない。
大手企業ならグループ会社で勤め終えた。
再建屋雑記帳1002仕事から離れることもそうだが、慣れ親しんだ会社や職場から去ることはつらい。
私は容易に想像がつく。
心にぽっかりと穴が空いたかのような喪失感。
まして、パートナーを失っていたとしたら…。

その寂しさを埋めたくて、酒を飲む。
徐々に飲む量が増えていく。
さらに飲む頻度が増えていく。
再建屋雑記帳1003毎日、やがて1日中…。
団塊の世代にアルコール依存症が急増している。
いわゆるアル中(アルコール中毒)だ。

仕事を辞めたらのんびりしよう。好きなことをしよう。
現役時代は、そんな気持ちがなかったわけでない。
しかし、実際に毎日が日曜日になってみると、それは孤独、人により地獄だった。
再建屋雑記帳1004小遣い銭稼ぎにしかならなくても、セカンドキャリアなど新たな勤め先を得られた人は救われる。
そうでない人は途方に暮れる。
仕事一筋だったので、近所にも地域社会にも友人がいない。
趣味もやりたいこともない。
会社や職場で生きてきたのだから当然といえる。

私が昨秋来とくに感じるのは、ネットをさまよう団塊の世代が増えたこと。
気の遠くなる時間を持て余すとともに、だれかとの関わりを求めている証だろう。
再建屋雑記帳1005リアルの世界で他者とのつながりをつくれず、自分の生き甲斐を見つけられないのか。
彼らが発する、助けてのサイン…。

こうした情勢を踏まえ、社会が団塊の世代など中高年へのメンタルケアを考えはじめた。
アル中になった中高年が駆け込む「断酒会」があるらしい。
同じ悩みや苦しみを分かち合うことで、自分の心と生活の立て直しを図っていく。
再建屋雑記帳1006ボランティア組織などが運営しており、私は頭が下がる。
だが、もっと大事なのは、中高年がそうした状態に陥らないようにするリタイア直後の取り組みだ。
広い意味での教育、そして新たに身を置くコミュニティが必要なのではないか。
さらに大事なのは、中高年の自助努力を含めたリタイア前の準備だ。

私たちは皆、仕事を離れる時期を迎える。
還暦目前の私も間もなく。
再建屋雑記帳1007実は、その後が思ったよりはるかに長い。
イマジネーションを働かせ、早めに備えを行おう。

Copyright (c)2009 by Sou Wada

人気ブログランキング←応援、よろしく!