フィギュアスケートグランプリ(GP)ファイナル。
女子シングルの宮原知子はロシア勢と戦い、2位に食い込みました。
GPファイナル進出の経緯からすれば、私は大健闘だと思いました。
そのフリースケーティング(FS)の演技直後のインタビュー。
記者から、彼女にしては珍しいガッツポーズを問われ、ちょっと口ごもりながら「先生に言われて・・・」と答えました。
先生とは、おそらく濱田美栄コーチ(もしくは出水慎一トレーナー)のこと。
人から奨められて、という返事に私は驚きました。
宮原知子のガッツポーズの映像を振り返ると、確かに不自然でした。
内から湧き出たものでなく、ためらいながらやっていることが見て取れます。
宮原知子はトップアスリートですから、豊かな才能を備えています。
しかし、基本は、とても真面目な「優等生」なのでしょう。
周囲の支えや教えに素直に従い、何事にも努力を惜しみません。
素直というのは優れた性格であり、「練習の虫」とされるわけです。
宮原知子は、本番では「受験問題」を解くように得点を積み重ねていきます。
取りこぼしが出ないように、とにかく慎重に、そして丁寧に・・・。
フィギュアスケートは競技と芸術の要素を合わせ持ちますので、観る人によっては「感情移入」を望みます。
ちなみに、私は演技に魅了されたいほうです。
選手はむろん勝利を目指しているでしょうが、私は感動を味わいたいのです。
とりわけ「美しさ」に触れたい。
⇒2016年12月11日「宮原知子は2位と大健闘も、人工的な演技」はこちら。
・・・その後、私は彼女がガッツポーズの練習をしていたことを知りました。
これには正直、呆れました。
会心の演技で自然に飛び出てしまうのがガッツポーズでしょう。
ガッツポーズの練習をしていたアスリートなど、私は初めて聞きました。
宮原知子に疑問を感じます。
◇
私は四半世紀を超えて、社会人の指導に携わってきました。
覚悟を決めてこの職業に就きましたが、一人前の人材を育てるのは恐ろしく骨が折れます。
とくに企業を牽引していける精鋭をつくるのは・・・。
そして、その現場でずっと戦ってきたのが戦後の「学校教育」の弊害でした。
高学歴の若い世代ほどそうですが自発性、とくに「内発性」を失っています。
教えられたとおりにすればいい成績を収められ、先生はもちろん親にほめられました。
その延長線に「偏差値」を物差しとした大学入試がありました。
いまどきの秀才はすっかり均質化しているのです。
子どもの頃から染みついたこの意識と習性は、ちょっとやそっとでは抜けません。
彼らは言われたことをわりと早くそつなくこなせるようになります。
しかし、そこから先はなかなか殻を破れず、まして突き抜けることができません。
自分ならではの価値を築き、輝きを放つまでに至りません。
よくて人材止まりであり、人物と呼べるのはほんの一握りに限られます。
⇒2016年12月4日「私が宮原知子の演技にストレスを感じるわけ」はこちら。
宮原知子(みやはら・さとこ)。
少しずつ改善が図られてきましたが、彼女の演技には個性と魅力がまだ乏しいように感じます。
私には、最難関入試を突破する優秀な受験生の姿とどこか重なって見えます。
この子は、応援はしても、それ以上の気持ちにはさせてくれません。
演技に彼女の「人間」そのものがもっと前面に出てもいい。
まだ18歳ですので、私が欲張りすぎなのか・・・。
「安定感」という最大の持ち味がこれからの成長そして飛躍を妨げるかもしれません。
2018年平昌五輪の表彰台を狙うなら、痛みをともなう自己否定、リスクをともなう脱皮が不可欠になります。
私は、宮原知子はひょっとして一年後の金メダルに間に合うかもしれないと考えます。
育つとは、変わること。
平昌五輪のその先には2022年北京五輪も控えています。
大勢のフィギュアスケートファンに日本女子のエースと呼ぶにふさわしい新しい「宮原知子」をぜひとも示してください。
楽しみに待っています。
◇◆◇
宮原知子に関するブログは以下のとおり。
⇒2016年12月11日「宮原知子は2位と大健闘も、人工的な演技」はこちら。
⇒2016年12月4日「私が宮原知子の演技にストレスを感じるわけ」はこちら。
⇒2016年12月3日「宮原知子に喝、「いつやるか」「いまでしょ」」はこちら。
⇒2016年12月2日「宮原知子は伸び悩み・・・得意のジャンプで苦労」はこちら。
⇒2016年12月1日「エースのプレッシャー、宮原知子のぐりんこ」はこちら。
⇒2016年10月29日「宮原知子は3連覇・・・2016年全日本選手権」はこちら。
⇒2016年10月27日「宮原知子と安藤美姫・・・ジャンプの美しさ」はこちら。
⇒2016年2月21日「宮原知子はスターになれるか…視聴率」はこちら。
⇒2015年12月13日「宮原知子、京都舞妓の風情が漂う」はこちら。
⇒2015年11月30日「宮原知子はわくわくしない」はこちら。
⇒2013年11月9日「浅田真央と宮原知子の争い…NHK杯」はこちら。
⇒2013年10月17日「宮原知子は面白い存在…ソチ代表選考レース」はこちら。
⇒2012年12月30日「宮原知子はソチ五輪日本代表へ…真央2世」はこちら。
⇒2012年1月13日「浅田真央超え、宮原知子13歳の高得点…世界ジュニア2012新星」はこちら。
Copyright (c)2016 by Sou Wada
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女子シングルの宮原知子はロシア勢と戦い、2位に食い込みました。
GPファイナル進出の経緯からすれば、私は大健闘だと思いました。
そのフリースケーティング(FS)の演技直後のインタビュー。
記者から、彼女にしては珍しいガッツポーズを問われ、ちょっと口ごもりながら「先生に言われて・・・」と答えました。
先生とは、おそらく濱田美栄コーチ(もしくは出水慎一トレーナー)のこと。
人から奨められて、という返事に私は驚きました。
宮原知子のガッツポーズの映像を振り返ると、確かに不自然でした。
内から湧き出たものでなく、ためらいながらやっていることが見て取れます。
宮原知子はトップアスリートですから、豊かな才能を備えています。
しかし、基本は、とても真面目な「優等生」なのでしょう。
周囲の支えや教えに素直に従い、何事にも努力を惜しみません。
素直というのは優れた性格であり、「練習の虫」とされるわけです。
宮原知子は、本番では「受験問題」を解くように得点を積み重ねていきます。
取りこぼしが出ないように、とにかく慎重に、そして丁寧に・・・。
フィギュアスケートは競技と芸術の要素を合わせ持ちますので、観る人によっては「感情移入」を望みます。
ちなみに、私は演技に魅了されたいほうです。
選手はむろん勝利を目指しているでしょうが、私は感動を味わいたいのです。
とりわけ「美しさ」に触れたい。
⇒2016年12月11日「宮原知子は2位と大健闘も、人工的な演技」はこちら。
・・・その後、私は彼女がガッツポーズの練習をしていたことを知りました。
これには正直、呆れました。
会心の演技で自然に飛び出てしまうのがガッツポーズでしょう。
ガッツポーズの練習をしていたアスリートなど、私は初めて聞きました。
宮原知子に疑問を感じます。
◇
私は四半世紀を超えて、社会人の指導に携わってきました。
覚悟を決めてこの職業に就きましたが、一人前の人材を育てるのは恐ろしく骨が折れます。
とくに企業を牽引していける精鋭をつくるのは・・・。
そして、その現場でずっと戦ってきたのが戦後の「学校教育」の弊害でした。
高学歴の若い世代ほどそうですが自発性、とくに「内発性」を失っています。
教えられたとおりにすればいい成績を収められ、先生はもちろん親にほめられました。
その延長線に「偏差値」を物差しとした大学入試がありました。
いまどきの秀才はすっかり均質化しているのです。
子どもの頃から染みついたこの意識と習性は、ちょっとやそっとでは抜けません。
彼らは言われたことをわりと早くそつなくこなせるようになります。
しかし、そこから先はなかなか殻を破れず、まして突き抜けることができません。
自分ならではの価値を築き、輝きを放つまでに至りません。
よくて人材止まりであり、人物と呼べるのはほんの一握りに限られます。
⇒2016年12月4日「私が宮原知子の演技にストレスを感じるわけ」はこちら。
宮原知子(みやはら・さとこ)。
少しずつ改善が図られてきましたが、彼女の演技には個性と魅力がまだ乏しいように感じます。
私には、最難関入試を突破する優秀な受験生の姿とどこか重なって見えます。
この子は、応援はしても、それ以上の気持ちにはさせてくれません。
演技に彼女の「人間」そのものがもっと前面に出てもいい。
まだ18歳ですので、私が欲張りすぎなのか・・・。
「安定感」という最大の持ち味がこれからの成長そして飛躍を妨げるかもしれません。
2018年平昌五輪の表彰台を狙うなら、痛みをともなう自己否定、リスクをともなう脱皮が不可欠になります。
私は、宮原知子はひょっとして一年後の金メダルに間に合うかもしれないと考えます。
育つとは、変わること。
平昌五輪のその先には2022年北京五輪も控えています。
大勢のフィギュアスケートファンに日本女子のエースと呼ぶにふさわしい新しい「宮原知子」をぜひとも示してください。
楽しみに待っています。
◇◆◇
宮原知子に関するブログは以下のとおり。
⇒2016年12月11日「宮原知子は2位と大健闘も、人工的な演技」はこちら。
⇒2016年12月4日「私が宮原知子の演技にストレスを感じるわけ」はこちら。
⇒2016年12月3日「宮原知子に喝、「いつやるか」「いまでしょ」」はこちら。
⇒2016年12月2日「宮原知子は伸び悩み・・・得意のジャンプで苦労」はこちら。
⇒2016年12月1日「エースのプレッシャー、宮原知子のぐりんこ」はこちら。
⇒2016年10月29日「宮原知子は3連覇・・・2016年全日本選手権」はこちら。
⇒2016年10月27日「宮原知子と安藤美姫・・・ジャンプの美しさ」はこちら。
⇒2016年2月21日「宮原知子はスターになれるか…視聴率」はこちら。
⇒2015年12月13日「宮原知子、京都舞妓の風情が漂う」はこちら。
⇒2015年11月30日「宮原知子はわくわくしない」はこちら。
⇒2013年11月9日「浅田真央と宮原知子の争い…NHK杯」はこちら。
⇒2013年10月17日「宮原知子は面白い存在…ソチ代表選考レース」はこちら。
⇒2012年12月30日「宮原知子はソチ五輪日本代表へ…真央2世」はこちら。
⇒2012年1月13日「浅田真央超え、宮原知子13歳の高得点…世界ジュニア2012新星」はこちら。
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