NHK総合で連続テレビ小説「カーネーション」の総集編が放送される(予定)。
前編は、5月3日(木・祝)午前8時20分〜9時48分。
後編は、5月4日(金・祝)午前8時20分〜9時48分。
私は仕事で見られないので、録画を行う。
◇
朝ドラ「カーネーション」は、ファッションデザイナーの草分け・小篠綾子の生涯を土台としたフィクションである。
尾野真千子の演技がよかった。
子役の二宮星の演技も老け役の夏木マリの演技も…。
が、それも渡辺あやのシナリオ(脚本)が深かったからだ。
が、それも小篠綾子の実人生が豊かだったからだ。
一言でいえば、本格的なドラマとして見応えがあった。
「カーネーション」は、ヒロイン・小原糸子が生きていく苦悩と歓喜を率直に綴った。
同時に、祖母から両親、本人、子ども(コシノ三姉妹)という命のつながりを生っぽく綴った。
こまやかな演出がリアリティを際立たせた。
実在の人物をよりどころしたシナリオは、自由な創作が難しいという側面がある。
しかし、感情などを踏み込んで描けるという側面もある。
まったくのフィクションだと、すべての責任を脚本家が負う。
朝ドラでここまでヒロインに言わせていいのか、やらせていいのかとブレーキをかけやすい。
小篠綾子は自分に正直だった。
ときに暴走し、それに乗っかるようにして脚本家の渡辺あやが暴走し、それに乗っかるようにして主演の尾野真千子が暴走した。
「カーネーション」は茶の間に重い内容と鋭い毒を流し、朝ドラの約束事を粉々に粉砕した。
結果、最高傑作が生まれた。
◇
私は朝ドラに触れると、パソコンにメモを残すようにしている。
ところが、仕事に追われ、それを使い切らないうちに次回作が始まることが多い。
実は、「カーネーション」の最終回に関する素材が残っていた。
記憶はすっかりあいまいになっているが、仕上げた。
◇
小原糸子は、岸和田の店舗兼自宅の2階を家族や知己との交流の場、そしてだんじり祭の鑑賞の場としてゴージャスに改装した。
一角に立派なバーカウンターまで備える
だんじり祭の日、コシノ三姉妹のほか、晩年の小原糸子と関わりを持った人たちが集まった。
そこに、NHKから小原糸子をヒロインにした朝ドラを制作したいとの電話が入った。
長女は早速、次女と三女に相談する。
本人は生前、それを望んでいた。
話の組み立てがいやらしいほどうまい。
「カーネーション」では、ストーリーの節目にだんじり祭がかならず登場した。
その爆発的な熱と生命力を取り込み、小原糸子は人生の車輪を加速させていった。
窓から祭を楽しむ大勢の背景の壁に小原糸子の写真が飾られている。
小原糸子は皆を見守りながら、自らも楽しむ。
ちょっと出来すぎだ。
どこかの大病院のロビー(待合室)に置かれたテレビに、「カーネーション」の第1回の放送が映っていた。
ちょっとやりすぎだ。
最終回の放送を、第1回の放送の冒頭に限定したはずのプレミアム映像で締め括ったのはにくかった。
主演の尾野真千子と二宮星がデュエットする。
物語の循環を連想させる。
母の真っ赤な愛は受け継がれ、枯れることなく生きつづける・・・。
最終回は作意がまさった。
が、それもよし。
渡辺あやは「カーネーション」にふさわしく、あたたかなハッピーエンドとした。
脚本、演出、演技、そしてオープニング映像、主題歌、挿入曲・・・。
どれも完成度が高く、しかもそれらが見事に融合し、芸術作品のような美しさを放っていた。
末永く語り継がれるべき名作である。
以下に、「カーネーションの大きな愛…母・小篠綾子が逝く」と題する2012年3月31日のブログを収める。
◇◆◇
NHK連続テレビ小説「カーネーション」。
小篠綾子の生涯を土台にした本格派ドラマだ。
朝ドラ歴代作品と一線を画する。
プロデューサー、脚本家・渡辺あや、演出家が、無難を取り払い、節度を退けた。
ヒロイン・小原糸子を務めた尾野真千子のキャラクターも味方した。
視聴者の朝ドラに対する固定観念を壊す、掟破りの連続だった。
下品な言葉も飛び出した。
放送はきょう最終回。
私はきのう久し振りに「カーネーション」を見た。
小原糸子が最期を迎えた。
ドラマではそのシーンが描かれていなかったので不明だが、だれも看取れなかったのかもしれない。
長女・小原優子(コシノヒロコ)、次女・小原直子(コシノジュンコ)、三女・小原聡子(コシノミチコ)が棺を囲んでいた。
自宅兼店舗の2階は家族や友人、知人が集まって会話に花を咲かせ、そして祭ではだんじりを眺められるよう、ゴージャスな改装が施されていた。
気兼ねなくドリンクを楽しめるよう、バーコーナーまで設けられていた。
亡くなる前、病室で優子の次女・小原里香(ユマコシノ)が糸子の胸に顔をうずめた。
そこには、カーネーションの大きな愛が息づいていた。
小篠綾子が逝き、彼女の人生は完結したが、それを小篠弘子、小篠順子、小篠美智子の「コシノ三姉妹」がしっかりと受け継いだ。
心のなかに、母はいまも生きつづける・・・。
人気が出た尾野真千子からバトンリレーを受けた夏木マリはベテランとはいえ、プレッシャーややりにくさがあっただろう。
しかし、見事にヒロインを演じきった。
私は尾野真千子に老け役をやってもらいたかったが、夏木マリに違和感を持たなかった。
主演の交代は、「カーネーション」が小原糸子の晩年の描写にかなりの重きを置いていたためか。
◇
「カーネーション」で祖母が孫を抱きしめる病室のシーン。
それを見て、私は末期がんがさらに進行していた前妻を思い出した。
私に痛みや不安を口にしたことがなかった。
二人のときに一度、弱音を吐いた。
「三人の子どもを残して死んでも死にきれない」。
告知をしていなかったので、私は何を言うのかという感じで取り合わなかった。
本人が若く、子どもが幼かったので、私は告知を行わないと決めた。
両方に残酷すぎると考えた。
義理の父にその旨を伝えたら、同じだった。
6〜7年遅ければ、私は違う判断を下したかもしれない。
その妻が亡くなり、20年近くが経った。
私は、それでよかったのかという思いをどこかに引きずっている。
なぜなら、告知を行っていれば、妻は私に自分の気持ちや今後の希望をはっきりとした言葉で残すことができたはずだ。
また、子ども一人ひとりにこれだけはという思いを伝えることができたはずだ。
思い切り抱きしめることだってできた。
私は別れをつくってやれなかった・・・。
別の機会か同じ機会か記憶が曖昧だが、「お父さんの言うとおり、都心で暮らせばよかった」という悔いを吐いた。
やはり取り合わなかった。
私は壮絶な締め切り仕事で自宅に戻れず、家族が仕事場の近くに引っ越してくるように幾度か頼んだ。
が、妻は結婚後数年間に及ぶ、自宅での仕事と生活がごちゃ混ぜになった経験にひどく懲りていた。
私は昼も夜もなく働き詰めの状態で、妻は気の休まる暇がない。
まして、体があまり強くない。
その頃から友人に私のことを「絶対に早死にする」とよく言っていた。
さらに、都心に暮らすことにも大きな抵抗を感じていた。
三鷹を中心に、西荻窪から東小金井にかけての中央線沿線をこよなく愛していた。
一番の友人が見舞いに来たとき、妻は私を見やりながら「こっちのほうが絶対に早死にすると思っていたのに…」と弱々しい笑顔を見せた。
とても賢い妻が、死と向かい合っていたのは間違いない。
それでも、私はわずかばかりの希望を奪うことをためらった。
12月14日、妻は看護婦(当時の呼称)が早朝に巡回したときには熟睡していた。
それから確か2時間後に巡回したときには死亡していた。
手元のナースコールを押していないことから、自分でも知らないうちに亡くなったようだ。
妻は病状の悪化がいくらか鈍り、私は新年を迎えられるかもしれないと思った。
妻が一度も住んだことのない都心の自宅(マンション)で家族と過ごしてよいという許可が医師から下りた。
私は子どもの暮らしぶりと自宅の内外の写真、近隣の地図を貼ったアルバムをつくり、妻に見せた。
冬休みに自宅に戻ることをとても楽しみにしていた・・・。
◇
来週月曜日から次の朝ドラ「梅ちゃん先生」が始まる。
ヒロインは医師とのこと。
ストーリーはどのような展開なのか、楽しみである。
◇◆◇
尾野真千子と朝ドラ「カーネーション」に関するブログは以下のとおり。
⇒2012年3月31日「カーネーションの大きな愛…母・小篠綾子が逝く」はこちら。
⇒2012年3月30日「朝ドラ最高傑作カーネーション…尾野真千子の本音」はこちら。
⇒2012年3月28日「朝ドラ・カーネーションは子育て授業か…渡辺あや脚本」はこちら。
⇒2012年3月24日「夏木マリ・カーネーション視聴率推移…小原糸子最晩年へ」はこちら。
⇒2012年3月6日「夏木マリ・小原糸子老け役は俎板の鯉…気になる視聴率」はこちら。
⇒2012年3月4日「尾野真千子カーネーションの感動…次の朝ドラ主演作品」はこちら。
⇒2012年3月2日「尾野真千子・小篠綾子の見納め…カーネーション視聴率推移」はこちら。
⇒2012年2月28日「尾野真千子と渡辺あやが共謀、いじわるばあさん辛辣版」はこちら。
⇒2012年2月27日「カーネーションは夏木マリ、尾野真千子はサザエさん」はこちら。
⇒2012年2月25日「小篠弘子と小篠順子の衝突、小篠美智子のマイペース」はこちら。
⇒2012年2月18日「朝ドラ・カーネーション、戦後の家庭教育と学校教育を笑う」はこちら。
⇒2012年2月11日「尾野真千子、オーノー、アヒル口…朝ドラヒロイン」はこちら。
⇒2012年2月7日「尾野真千子、朝ドラ再登板…カーネーション最高視聴率記録」はこちら。
⇒2012年2月5日「長女・コシノヒロコと次女・コシノジュンコのライバル心」はこちら。
⇒2012年2月4日「小原ハル⇒小原善作⇒小原糸子⇒コシノ三姉妹の乗り移り」はこちら。
⇒2012年2月1日「尾野真千子・小原糸子の不倫・無断外泊・朝帰り」はこちら。
⇒2011年1月24日「どうした尾野真千子?…カーネーション視聴率と主演降板」はこちら。
⇒2011年1月19日「尾野真千子、修羅場の連続に目をそむける…カーネーション」はこちら。
⇒2011年1月18日「朝ドラ・カーネーション、小篠綾子と夫、コシノ三姉妹」はこちら。
⇒2012年1月15日「尾野真千子の暴走と渡辺あやの復讐…カーネーションの異次元」はこちら。
⇒2011年12月19日「尾野真千子カーネーション1位の見ごたえ…朝ドラ歴代作品」はこちら。
⇒2011年12月17日「尾野真千子、イライラが爆発!…カーネーション主演の剣幕」はこちら。
⇒2011年12月16日「正司照枝…朝ドラ・カーネーションの感動、かしまし娘の芸達者」はこちら。
⇒2011年11月29日「尾野真千子はつくりものでない カーネーション視聴率と評判」はこちら。
⇒2011年11月27日「正司照枝の温かみ、栗山千明のつっけんどん…カーネーション」はこちら。
⇒2011年11月22日「尾野真千子の演技…小原洋裁店開店から結婚へ急展開」はこちら。
⇒2011年11月19日「カーネーション・オープニング映像の出来…辻川幸一郎」はこちら。
⇒2011年11月6日「尾野真千子カーネーション…朝ドラ最高傑作」はこちら。
⇒2011年11月4日「カーネーション視聴率のネックは何か…面白いのになぜ?」はこちら。
⇒2011年10月31日「威張る小林薫、とぼける麻生祐未…朝ドラ・カーネーション」はこちら。
⇒2011年10月28日「尾野真千子がコシノ三姉妹に対面、夢中のオーラを感じる」はこちら。
⇒2011年10月24日「カーネーション・ヒロイン小原糸子のモデル…小篠綾子」はこちら。
⇒2011年10月21日「尾野真千子・小原糸子の演技、朝ドラ・カーネーションの評判」はこちら。
⇒2011年10月18日「松下奈緒・瀧本美織・井上真央・尾野真千子…朝ドラヒロイン素顔」はこちら。
⇒2011年10月12日「松下奈緒、朝ドラ視聴率・朝ドラ人気回復に最大の貢献!」はこちら。
⇒2011年10月8日「二宮星お多福の演技力…カーネーション・朝ドラヒロイン」はこちら。
⇒2011年10月5日「尾野真千子カーネーション視聴率…井上真央おひさまに及ばず」はこちら。
⇒2011年10月3日「尾野真千子、朝ドラオーディション4度目の正直で号泣!」はこちら。
⇒2011年10月1日「おひさま井上真央からカーネーション尾野真千子へ…視聴率20%超連発」はこちら。
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前編は、5月3日(木・祝)午前8時20分〜9時48分。
後編は、5月4日(金・祝)午前8時20分〜9時48分。
私は仕事で見られないので、録画を行う。
◇
朝ドラ「カーネーション」は、ファッションデザイナーの草分け・小篠綾子の生涯を土台としたフィクションである。
尾野真千子の演技がよかった。
子役の二宮星の演技も老け役の夏木マリの演技も…。
が、それも渡辺あやのシナリオ(脚本)が深かったからだ。
が、それも小篠綾子の実人生が豊かだったからだ。
一言でいえば、本格的なドラマとして見応えがあった。
「カーネーション」は、ヒロイン・小原糸子が生きていく苦悩と歓喜を率直に綴った。
同時に、祖母から両親、本人、子ども(コシノ三姉妹)という命のつながりを生っぽく綴った。
こまやかな演出がリアリティを際立たせた。
実在の人物をよりどころしたシナリオは、自由な創作が難しいという側面がある。
しかし、感情などを踏み込んで描けるという側面もある。
まったくのフィクションだと、すべての責任を脚本家が負う。
朝ドラでここまでヒロインに言わせていいのか、やらせていいのかとブレーキをかけやすい。
小篠綾子は自分に正直だった。
ときに暴走し、それに乗っかるようにして脚本家の渡辺あやが暴走し、それに乗っかるようにして主演の尾野真千子が暴走した。
「カーネーション」は茶の間に重い内容と鋭い毒を流し、朝ドラの約束事を粉々に粉砕した。
結果、最高傑作が生まれた。
◇
私は朝ドラに触れると、パソコンにメモを残すようにしている。
ところが、仕事に追われ、それを使い切らないうちに次回作が始まることが多い。
実は、「カーネーション」の最終回に関する素材が残っていた。
記憶はすっかりあいまいになっているが、仕上げた。
◇
小原糸子は、岸和田の店舗兼自宅の2階を家族や知己との交流の場、そしてだんじり祭の鑑賞の場としてゴージャスに改装した。
一角に立派なバーカウンターまで備える
だんじり祭の日、コシノ三姉妹のほか、晩年の小原糸子と関わりを持った人たちが集まった。
そこに、NHKから小原糸子をヒロインにした朝ドラを制作したいとの電話が入った。
長女は早速、次女と三女に相談する。
本人は生前、それを望んでいた。
話の組み立てがいやらしいほどうまい。
「カーネーション」では、ストーリーの節目にだんじり祭がかならず登場した。
その爆発的な熱と生命力を取り込み、小原糸子は人生の車輪を加速させていった。
窓から祭を楽しむ大勢の背景の壁に小原糸子の写真が飾られている。
小原糸子は皆を見守りながら、自らも楽しむ。
ちょっと出来すぎだ。
どこかの大病院のロビー(待合室)に置かれたテレビに、「カーネーション」の第1回の放送が映っていた。
ちょっとやりすぎだ。
最終回の放送を、第1回の放送の冒頭に限定したはずのプレミアム映像で締め括ったのはにくかった。
主演の尾野真千子と二宮星がデュエットする。
物語の循環を連想させる。
母の真っ赤な愛は受け継がれ、枯れることなく生きつづける・・・。
最終回は作意がまさった。
が、それもよし。
渡辺あやは「カーネーション」にふさわしく、あたたかなハッピーエンドとした。
脚本、演出、演技、そしてオープニング映像、主題歌、挿入曲・・・。
どれも完成度が高く、しかもそれらが見事に融合し、芸術作品のような美しさを放っていた。
末永く語り継がれるべき名作である。
以下に、「カーネーションの大きな愛…母・小篠綾子が逝く」と題する2012年3月31日のブログを収める。
◇◆◇
NHK連続テレビ小説「カーネーション」。
小篠綾子の生涯を土台にした本格派ドラマだ。
朝ドラ歴代作品と一線を画する。
プロデューサー、脚本家・渡辺あや、演出家が、無難を取り払い、節度を退けた。
ヒロイン・小原糸子を務めた尾野真千子のキャラクターも味方した。
視聴者の朝ドラに対する固定観念を壊す、掟破りの連続だった。
下品な言葉も飛び出した。
放送はきょう最終回。
私はきのう久し振りに「カーネーション」を見た。
小原糸子が最期を迎えた。
ドラマではそのシーンが描かれていなかったので不明だが、だれも看取れなかったのかもしれない。
長女・小原優子(コシノヒロコ)、次女・小原直子(コシノジュンコ)、三女・小原聡子(コシノミチコ)が棺を囲んでいた。
自宅兼店舗の2階は家族や友人、知人が集まって会話に花を咲かせ、そして祭ではだんじりを眺められるよう、ゴージャスな改装が施されていた。
気兼ねなくドリンクを楽しめるよう、バーコーナーまで設けられていた。
亡くなる前、病室で優子の次女・小原里香(ユマコシノ)が糸子の胸に顔をうずめた。
そこには、カーネーションの大きな愛が息づいていた。
小篠綾子が逝き、彼女の人生は完結したが、それを小篠弘子、小篠順子、小篠美智子の「コシノ三姉妹」がしっかりと受け継いだ。
心のなかに、母はいまも生きつづける・・・。
人気が出た尾野真千子からバトンリレーを受けた夏木マリはベテランとはいえ、プレッシャーややりにくさがあっただろう。
しかし、見事にヒロインを演じきった。
私は尾野真千子に老け役をやってもらいたかったが、夏木マリに違和感を持たなかった。
主演の交代は、「カーネーション」が小原糸子の晩年の描写にかなりの重きを置いていたためか。
◇
「カーネーション」で祖母が孫を抱きしめる病室のシーン。
それを見て、私は末期がんがさらに進行していた前妻を思い出した。
私に痛みや不安を口にしたことがなかった。
二人のときに一度、弱音を吐いた。
「三人の子どもを残して死んでも死にきれない」。
告知をしていなかったので、私は何を言うのかという感じで取り合わなかった。
本人が若く、子どもが幼かったので、私は告知を行わないと決めた。
両方に残酷すぎると考えた。
義理の父にその旨を伝えたら、同じだった。
6〜7年遅ければ、私は違う判断を下したかもしれない。
その妻が亡くなり、20年近くが経った。
私は、それでよかったのかという思いをどこかに引きずっている。
なぜなら、告知を行っていれば、妻は私に自分の気持ちや今後の希望をはっきりとした言葉で残すことができたはずだ。
また、子ども一人ひとりにこれだけはという思いを伝えることができたはずだ。
思い切り抱きしめることだってできた。
私は別れをつくってやれなかった・・・。
別の機会か同じ機会か記憶が曖昧だが、「お父さんの言うとおり、都心で暮らせばよかった」という悔いを吐いた。
やはり取り合わなかった。
私は壮絶な締め切り仕事で自宅に戻れず、家族が仕事場の近くに引っ越してくるように幾度か頼んだ。
が、妻は結婚後数年間に及ぶ、自宅での仕事と生活がごちゃ混ぜになった経験にひどく懲りていた。
私は昼も夜もなく働き詰めの状態で、妻は気の休まる暇がない。
まして、体があまり強くない。
その頃から友人に私のことを「絶対に早死にする」とよく言っていた。
さらに、都心に暮らすことにも大きな抵抗を感じていた。
三鷹を中心に、西荻窪から東小金井にかけての中央線沿線をこよなく愛していた。
一番の友人が見舞いに来たとき、妻は私を見やりながら「こっちのほうが絶対に早死にすると思っていたのに…」と弱々しい笑顔を見せた。
とても賢い妻が、死と向かい合っていたのは間違いない。
それでも、私はわずかばかりの希望を奪うことをためらった。
12月14日、妻は看護婦(当時の呼称)が早朝に巡回したときには熟睡していた。
それから確か2時間後に巡回したときには死亡していた。
手元のナースコールを押していないことから、自分でも知らないうちに亡くなったようだ。
妻は病状の悪化がいくらか鈍り、私は新年を迎えられるかもしれないと思った。
妻が一度も住んだことのない都心の自宅(マンション)で家族と過ごしてよいという許可が医師から下りた。
私は子どもの暮らしぶりと自宅の内外の写真、近隣の地図を貼ったアルバムをつくり、妻に見せた。
冬休みに自宅に戻ることをとても楽しみにしていた・・・。
◇
来週月曜日から次の朝ドラ「梅ちゃん先生」が始まる。
ヒロインは医師とのこと。
ストーリーはどのような展開なのか、楽しみである。
◇◆◇
尾野真千子と朝ドラ「カーネーション」に関するブログは以下のとおり。
⇒2012年3月31日「カーネーションの大きな愛…母・小篠綾子が逝く」はこちら。
⇒2012年3月30日「朝ドラ最高傑作カーネーション…尾野真千子の本音」はこちら。
⇒2012年3月28日「朝ドラ・カーネーションは子育て授業か…渡辺あや脚本」はこちら。
⇒2012年3月24日「夏木マリ・カーネーション視聴率推移…小原糸子最晩年へ」はこちら。
⇒2012年3月6日「夏木マリ・小原糸子老け役は俎板の鯉…気になる視聴率」はこちら。
⇒2012年3月4日「尾野真千子カーネーションの感動…次の朝ドラ主演作品」はこちら。
⇒2012年3月2日「尾野真千子・小篠綾子の見納め…カーネーション視聴率推移」はこちら。
⇒2012年2月28日「尾野真千子と渡辺あやが共謀、いじわるばあさん辛辣版」はこちら。
⇒2012年2月27日「カーネーションは夏木マリ、尾野真千子はサザエさん」はこちら。
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⇒2012年2月18日「朝ドラ・カーネーション、戦後の家庭教育と学校教育を笑う」はこちら。
⇒2012年2月11日「尾野真千子、オーノー、アヒル口…朝ドラヒロイン」はこちら。
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⇒2012年2月5日「長女・コシノヒロコと次女・コシノジュンコのライバル心」はこちら。
⇒2012年2月4日「小原ハル⇒小原善作⇒小原糸子⇒コシノ三姉妹の乗り移り」はこちら。
⇒2012年2月1日「尾野真千子・小原糸子の不倫・無断外泊・朝帰り」はこちら。
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⇒2011年1月19日「尾野真千子、修羅場の連続に目をそむける…カーネーション」はこちら。
⇒2011年1月18日「朝ドラ・カーネーション、小篠綾子と夫、コシノ三姉妹」はこちら。
⇒2012年1月15日「尾野真千子の暴走と渡辺あやの復讐…カーネーションの異次元」はこちら。
⇒2011年12月19日「尾野真千子カーネーション1位の見ごたえ…朝ドラ歴代作品」はこちら。
⇒2011年12月17日「尾野真千子、イライラが爆発!…カーネーション主演の剣幕」はこちら。
⇒2011年12月16日「正司照枝…朝ドラ・カーネーションの感動、かしまし娘の芸達者」はこちら。
⇒2011年11月29日「尾野真千子はつくりものでない カーネーション視聴率と評判」はこちら。
⇒2011年11月27日「正司照枝の温かみ、栗山千明のつっけんどん…カーネーション」はこちら。
⇒2011年11月22日「尾野真千子の演技…小原洋裁店開店から結婚へ急展開」はこちら。
⇒2011年11月19日「カーネーション・オープニング映像の出来…辻川幸一郎」はこちら。
⇒2011年11月6日「尾野真千子カーネーション…朝ドラ最高傑作」はこちら。
⇒2011年11月4日「カーネーション視聴率のネックは何か…面白いのになぜ?」はこちら。
⇒2011年10月31日「威張る小林薫、とぼける麻生祐未…朝ドラ・カーネーション」はこちら。
⇒2011年10月28日「尾野真千子がコシノ三姉妹に対面、夢中のオーラを感じる」はこちら。
⇒2011年10月24日「カーネーション・ヒロイン小原糸子のモデル…小篠綾子」はこちら。
⇒2011年10月21日「尾野真千子・小原糸子の演技、朝ドラ・カーネーションの評判」はこちら。
⇒2011年10月18日「松下奈緒・瀧本美織・井上真央・尾野真千子…朝ドラヒロイン素顔」はこちら。
⇒2011年10月12日「松下奈緒、朝ドラ視聴率・朝ドラ人気回復に最大の貢献!」はこちら。
⇒2011年10月8日「二宮星お多福の演技力…カーネーション・朝ドラヒロイン」はこちら。
⇒2011年10月5日「尾野真千子カーネーション視聴率…井上真央おひさまに及ばず」はこちら。
⇒2011年10月3日「尾野真千子、朝ドラオーディション4度目の正直で号泣!」はこちら。
⇒2011年10月1日「おひさま井上真央からカーネーション尾野真千子へ…視聴率20%超連発」はこちら。
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