仙谷由人官房長官は先日、参院予算委員会の答弁のなかで「自衛隊は暴力装置」と発言した。
自民党議員の抗議を受け、その場で撤回と謝罪を行った。

内閣官房長官は首相(副首相)に次ぐ権限を持つ。
ナンバー2といってよい。
重大な懸案に関する政府の公式見解を発表する機会が多く、マスコミへの露出も大きい。
いわば内閣の要が、あまりに軽率な発言。
この件に限らないが、配慮を欠く。
首相の懐刀が窮地に陥っている菅直人に刃を突き付ける構図。

なぜ、仙谷由人官房長官はわざわざ野党に攻撃材料を与えるのか。
陳謝で済まないとの声が起こり、問責決議案を提出する動きが広がるのは必定である。
公明党が補正予算の採決が優先と難色を示しているが…。
官房長官が政権の運営に混乱を招き、危機に輪をかけている。
その地位にふさわしくなく、仙谷由人は辞任すべき。

国会軽視の発言により問責決議案の可決が避けられない情勢となり、続投宣言から一転して辞意表明した柳田稔法相といい、私は呆れるばかり。
柳田稔法相は菅直人首相など首脳部のシナリオに沿った辞任であり、つまり罷免(更迭)。

政治家のレベルに達していない人間が内閣の重要ポストに就いている。
柳田稔法相は粗末、仙谷由人官房長官は迂闊。
これは自民党政権の末期から目立つ現象であり、閣僚が言葉の重みを分かっていない。

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「自衛隊は暴力装置」発言が波紋を呼ぶなか、韓国と北朝鮮の間で軍事衝突が起きた。
韓国側が定める海の軍事境界線の付近で、北朝鮮軍が延坪(ヨンピョン)島と周辺の黄海水域に向けて砲撃を行った。
うち数十発が着弾し、多数の民家が炎上した。
これに韓国軍が応戦した。
韓国側は兵士だけでなく、住人(民間人)にも死傷者が出た模様。

北朝鮮は以前、長距離弾道ミサイルを発射し、東北地方の上空を通過させたあげく、「人工衛星」の打ち上げに成功したと発表した。
この国は挑発を繰り返している。

また、日本は沖縄・尖閣諸島付近で中国と衝突した。
漁船(?)が日本領海で違法操業を行ったうえ、海上保安庁の巡視船に体当たりしてきた。
中国政府の意思に沿った実力行使により事件は引き起こされた。
幸い米国政府が、中国が領有権を主張する尖閣諸島は「日米安全保障条約」の適用対象になるとの見解を表明した。
有事の際に米軍が対処することを示唆したのだ。
中国は強大な軍事力を背景に尖閣諸島の領有化、南シナ海の内海化を推し進めている。

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日中間に緊張が高まり、朝鮮半島で緊迫が強まって、民主党政権は国防のあり方を明確にしなくてならない。

仙谷由人官房長官は「自衛隊は日本を守れ」と記者団を前に檄を飛ばすのだろうか。
説得力がまったくない。

このままでは国土も国民も守れない。
仙谷由人官房長官を更迭しなければ、菅直人内閣は有権者の信頼を失い、支持率がさらに下がる。
内外ともに難問山積の時期、民主党政権には緊張感のかけらもない。

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