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先だってNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」というドキュメンタリー番組が、引っ張りダコの工場再建屋の活躍を追いかけていた。
その人の名は、「山田日登志」。生産管理のカリスマコンサルタントである。
当日の内容はこちら
トヨタ生産方式の礎を築いた大野耐一に唯一弟子入りを許されたとか。
徹底した現場経験を積み、今日の名声を築きあげた。

私は番組を見ながら、溜め息ばかりついていた。
彼がうらやましかったからだ。
いや、悔しかったのかもしれない。
私は営業再建屋を自負するが、何という待遇の違いだろう。

彼は毎日、各地の工場を訪れる。
文字どおり東奔西走。1年間に地球4周分の距離を移動するというから驚き。
彼が新幹線の駅に着くと、ホームに社長以下、役員や工場長など大勢の集団が出迎える。
そして、挨拶もそこそこに相手が用意した社用車やハイヤーで現場へ向かう。
この総出というところに、彼への評価や尊敬は当然として、企業の本気度が現れている。

私だって、首都圏の顧客が和田創研のオフィスまで出迎えてくれるとか送り届けてくれることはあった。また、地方の駅での送迎もわずかだが経験した。
待遇の違いとは、こうした次元の話でない。

私どもはトップダウンで営業活動を進めている。
その努力が実り、先方の理解が得られ、つきあいが始まる。
だが、とくにメーカーでは「営業再建」が経営レベルの取り組みにならない。
結局のところ、最重要の経営課題と見なされないのである。

                      ◇

負け惜しみに聞こえるかもしれないが、「工場再建」と営業再建では困難度が比べものにならない。
むろん、工場再建はプロのなせる業である。
まして、工場再建が簡単などと思っていない。
しかし…。

工場は、現場が自社(再建屋にとっての顧客)サイドにある。
しかも、1箇所か数箇所に集約されている。
そのうえ、固定されている。
つまり、再建屋は「自社サイド・集約・固定」の現場で指導を行う。

それに対して営業は、現場が顧客(再建屋にとっての顧客の顧客)サイドにある。
しかも、あちこちに分散している。
そのうえ、変動する。
つまり、再建屋は「顧客サイド・分散・変動」の現場で指導を行う。

私は、企業に関わる再建では「実地指導」を基本とすべきと考えている。
例えば、経営再建―。
究極の実地指導は、コンサルタントが乗り込むのでなく、外部から適任者を社長として招き入れる。

ところが、営業再建では実地指導は成り立ちにくい。
これについても、やはり豪腕の営業役員や営業管理者を雇うのが理想だが、まず見つけられないはず。
「教育」を重んじて再建に当たる理由は、コストパフォーマンスが高く、スピードに勝るからである。
例えば、コンサルタントが現場で営業担当者を鍛えるには、延べで1〜2週間は同行しなければならない。ソリューション系の案件ではこれでも不十分だ。
仮に1日20万円とすると、1人百〜2百万円がかかる。
百人の営業担当者を抱えていたら大変!
顧客は膨大な費用と日数を覚悟せざるをえない。

私どもは実地指導をしばしば受託するが、対象は企業が精鋭として育成したい一握りの若手や管理者に限られる。
したがって、これはその会社の営業を再建するというより、特定の個人の営業力を強化することが狙いになる。

営業再建屋が、現場でストップウオッチ片手の工場再建屋のように1度の指導で目に見える効果を挙げるのは不可能である。
どうしても集合研修を中心に組み立てることになり、おのずと経営層の期待もしぼむ。
悔しいが、営業再建という言葉が実感を持って受け入れられるに至らない。

Copyright ©2008 by Sou Wada

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