時代が変わり、4日間のお盆休みが9連休などの夏休みに変わりました。
年中無休で働く私にとり、デスクワークに打ち込める貴重な期間です。

しかし、私はもともと冬が好きで、しかも年を取るにつれてますます夏が苦手になり、つらくなってきました。
この時期に特有の蒸し暑さに耐えられません。
頑張らなければという気持ちは残っているのですが、集中力が高まらないのです。
もっとも重要となる、知的生産の詰めの作業を行えません。
今夏も仕事がはかどらず、自分にいら立ってきました。

言い訳になりますが、リオデジャネイロ五輪が行われていることも一因です。
デスクトップパソコンの画面の片隅で日本選手が活躍しそうな競技種目の放送を流していました。
いい加減な応援で申し訳ないですが、それでも手が止まり、見入ってしまうこともしばしばです。

かならずしも勝ち負けに対する興味やこだわりだけでありません。
アスリートたちが自らの限界に挑み、それを超えようとする姿に日常では味わえない感動を覚えるからです。
さらに、オリンピックの大舞台に立つまでの死に物狂いの努力にも思いが及びます。
それぞれにヒューマンなストーリーがあり、ドラマがあるはずです。
仕事が進まないのも当たり前ですね。

これは夏季五輪に限らず、冬季五輪でも同じです。
まして開催地の時差が大きいと睡眠不足と体調悪化に陥ります。
毎回、オリンピックが閉幕する頃にはへとへとになっています。
フィギュアスケート女子シングルの浅田真央のように実況放送を見るのが怖くなる選手さえいます。
(私は気の小さいファンですから!残念!!)

さて、私がいつも感じるのは世界大会、なかでも4年の一度のオリンピックで勝つことの大変さです。
金メダルの有力候補が事前の予想や大勢の期待を裏切り、肩を落としたり涙にくれたりする姿を目の当たりにしてきました。
こちらも胸を締めつけられます。

自分に重いプレッシャーや大きいストレスがかかる状況で、普段どおりの実力を発揮するのは恐ろしく難しいことなのでしょう。
世界トップクラスのアスリートは皆、並々ならぬ精神力を備えているはずですが、彼らにしてそうです。
勝負の世界は容赦ないですから、大舞台で緊張や力み、委縮からミスが出てしまってはメダルを獲ることができません。

かく言う私は過酷な機会や場面に身を投じた経験がありません。
65歳の今日まで、それにふさわしい能力に達したことがないからです。
しかし、思うところがありますので記します。

おそらく実力が僅差の選手同士では「運」を味方につけなければ金メダルを獲れません。
それには決勝などの大一番に臨むメンタルが大きく影響します。
選手は成績が認められ、自分が選ばれて五輪に出るからには「思い切り楽しむ」ことを第一にすべきでしょう。
そうでないと「運」が逃げていきます。

コーチなどの関係者、ファンなどの応援者への「恩返し」は結果であり、それを金メダル獲得のモチベーションまして原因にすることに、私はいささか違和感を覚えます。
自分が悲愴や悲痛になるばかりです。

オリンピックを観戦する都度、私は思います。
「勝つべくして勝つ。負けるべくして負ける」。
あるいは、「勝つ人は勝つ。負ける人は負ける」。
勝利の女神は、極限の状況でも心の余裕を持てる選手に対して微笑むのでないでしょうか。

こうすれば勝てるという、シンプルでストレートな「競技哲学」を築いていることが前提になります。
(例えば、「一番練習した人が一番強い」など、自分が納得できるならば何でもいいでしょう。)
後は本番で、それを実践した「己」を心の底から信じられるかどうかです。
負ける選手は結局、自分を信じられず、不安や恐怖に負けているように見受けられます。
そのうえで、「本番を思い切り楽しむ」という楽観性を持てるかどうかです。

金メダルに近いところにいながら金メダルを逃してしまう選手ほどライバルに敗れたわけでないでしょう。
敗因を明らかにするには、試合の分析でなく自己の分析、すなわち「内観」から始めるべきです。
案外、大舞台に立つ前に敗れています。

・・・4年後の2020年に東京五輪を迎えます。
日本は高いメダル獲得数、とくに金メダル獲得数を目標にしています。
私は、多くの日本選手が表彰台の頂点に立ち、会心の笑顔を見せてほしいと願っています。

◆書き加え(8月21日)

この原稿は次の東京五輪で一人でも多くの日本選手に表彰台に上ってほしくてまとめました。
それも、なるべく一番高いところに・・・。

私は、オリンピックはプレッシャーがかかるほうが力を出せる選手の集まりだと思っています。
にもかかわらず、メダル争いで力を出せずに敗れます。
とくに金メダルの有力候補がまま惨敗します。

長年、「なぜだろう」「どうすべきだろう」と考えてきました。

実際に戦うトップアスリート個人にとり、明確かつ具体的な答の一つ、もしくはヒントの一つになってくれればと思います。

ちなみに、私の仕事は経営者が表彰台に立てるようにすることです。
そのためにどうすべきか、評論家でなく当事者の立場で、寝ても覚めても、うだうだと考えています。

余談・・・。
選手を勝たせられるコーチと勝たせられないコーチがいます。
技術水準が高まった今日のオリンピックでは、コーチが選手のメンタルに踏み込めないと金メダルが逃げていきます。

Copyright (c)2016 by Sou Wada

人気ブログランキング←応援、よろしく!