著作権侵害の温床は、企業研修である。
大手や中堅と呼ばれる企業では社員教育の専任部署を置いているところが少なくない。
そこで、営業経験をそれほど、もしくはほとんど持たない講師が教えていることがある。
営業は奥深く、10年、20年携わっても、なかなかこれといったセオリーやノウハウをつかめない。
まして、極意は…。
とくに営業分野では、知識よりも知恵が断然重要になる。
いわゆる「経験知」が成績を左右する職種だ。。
また、環境の変化につれ、市場や顧客もどんどん変わっている。
現場から数年遠ざかると営業にうとくなってしまう。
例えば、飛び込みは数カ月やらないと感覚が鈍り、恐怖心が募りやすい。
講師が指導する内容が現実とかい離していく。
ほどなく机上の空論へ。
営業に関わる社員教育は、受講者に教える内容を自ら行える講師でないと不可能である。
少なくとも自ら行う講師。
実際の有効性を検証できず、ゆえに研修の成果を担保できない。
営業は生ものなのだ。
私が以前、コンサルタントとして訪れた企業では、営業の不適格者を講師に回していた。
笑えない笑い話である。
営業がどんどん弱くなる。
先に述べた背景や事情から、営業研修では他人の著作のいいところをチョイスしてコンテンツ(カリキュラム)を構成することがある。
私はNPO法人営業実践大学を主宰しており、営業関係者との交流が多い。
とても親しくしている会員がおり、彼は大手企業に勤める。
そこはグループ企業にHRD(人材開発会社)を持つ。
研修で使われている提案営業のテキスト(教材)を見てほしいと言われたことがある。
彼は内容に疑問を感じていたのだろう。
和田創研では長年、市販図書など営業資料の蓄積を図ってきた。
例の教材は、それらの文章や図版の抜粋に近い状態でつくられていた。
大手企業などは、なぜ簡単なことに気づかないのか。
営業にさんざん勉強を施し、なおかつ数年も業績低迷を抜け出せないとしたら、それは教育の敗北を意味する。
指導が間違っているから、収益が底を這うのだ。
プロ野球チームをイメージすれば分かりやすいが、何年も打撃不振が続けば、バッティングコーチの指導が悪いと考えるのが普通である。
私がコンサルタントとして知る範囲では、業績不振企業の大半は営業職に対して「やってはならないこと」を教えている。
⇒2010年11月22日「『提案営業』著作権侵害につきまして」はこちら。
以下に、「著作権侵害にあきれ返るばかり」と題する2007年9月5日のブログを収める。
◇◆◇
先週、和田創研に匿名での通報があった。
「絶対に許せない」。
かんかんに怒っている。
私の本の読者とのことで、ありがたい…。
先頃、会社が外部から講師を招いて「営業研修」を行った。
そこで使われている教材、ゆえにカリキュラムが、私の著作の内容や図版だった。
しかも、ご丁寧に自分の著作権を表記しているというのだ。
通報者は、講義の途中で耐えられなくなり、幾つかの質問を投げかけたが、怪しげな回答しか得られない。
突っ込むと、講師は「調べてきます」。
自分がつくったコンテンツについて、満足な説明ができないことはありえない。
それ以前に、あまり営業経験がないように見受けられる。
人を指導する資格を欠いているのでは…。
そんな失望と憤怒の念が湧いてきたそうだ。
私の手元に、彼から送られてきた当日の教材のコピーがある。
絶句!
そのまんま!
ただし、私の図版をわざわざ自分で入力している。
誤字だらけで、哀れみさえ覚える…。
今回のケースは、講師の側に問題があった。
だが、研修を実施する企業の側も、講師の人物や経歴、当該テーマに関する見識などを真剣に質すべきでないか。
実は、著作権侵害がもっともひどいのが、企業が“身内”で実施する研修である。
それはコンプライアンスの存在しない世界である。
著作権の無法地帯と呼んでいい。
他人の著作を流用するか、言い訳程度に加工したコンテンツがまかり通っている。
それも一人の本や教材から引っ張ると著作権侵害が発覚しやすいという理由で、数人の本や教材からいいところだけを寄せ集めるやり方でうやむやにしようとする。
要は、コンテンツが継ぎはぎ状態!
ゆえに志や主張がなく、内容に一貫性がない。
おまけに講師が“先生面”をしている…。
最大の被害者は、著作権者でなく受講者である。
Copyright (c)2010 by Sou Wada
←応援、よろしく!
大手や中堅と呼ばれる企業では社員教育の専任部署を置いているところが少なくない。
そこで、営業経験をそれほど、もしくはほとんど持たない講師が教えていることがある。
営業は奥深く、10年、20年携わっても、なかなかこれといったセオリーやノウハウをつかめない。
まして、極意は…。
とくに営業分野では、知識よりも知恵が断然重要になる。
いわゆる「経験知」が成績を左右する職種だ。。
また、環境の変化につれ、市場や顧客もどんどん変わっている。
現場から数年遠ざかると営業にうとくなってしまう。
例えば、飛び込みは数カ月やらないと感覚が鈍り、恐怖心が募りやすい。
講師が指導する内容が現実とかい離していく。
ほどなく机上の空論へ。
営業に関わる社員教育は、受講者に教える内容を自ら行える講師でないと不可能である。
少なくとも自ら行う講師。
実際の有効性を検証できず、ゆえに研修の成果を担保できない。
営業は生ものなのだ。
私が以前、コンサルタントとして訪れた企業では、営業の不適格者を講師に回していた。
笑えない笑い話である。
営業がどんどん弱くなる。
先に述べた背景や事情から、営業研修では他人の著作のいいところをチョイスしてコンテンツ(カリキュラム)を構成することがある。
私はNPO法人営業実践大学を主宰しており、営業関係者との交流が多い。
とても親しくしている会員がおり、彼は大手企業に勤める。
そこはグループ企業にHRD(人材開発会社)を持つ。
研修で使われている提案営業のテキスト(教材)を見てほしいと言われたことがある。
彼は内容に疑問を感じていたのだろう。
和田創研では長年、市販図書など営業資料の蓄積を図ってきた。
例の教材は、それらの文章や図版の抜粋に近い状態でつくられていた。
大手企業などは、なぜ簡単なことに気づかないのか。
営業にさんざん勉強を施し、なおかつ数年も業績低迷を抜け出せないとしたら、それは教育の敗北を意味する。
指導が間違っているから、収益が底を這うのだ。
プロ野球チームをイメージすれば分かりやすいが、何年も打撃不振が続けば、バッティングコーチの指導が悪いと考えるのが普通である。
私がコンサルタントとして知る範囲では、業績不振企業の大半は営業職に対して「やってはならないこと」を教えている。
⇒2010年11月22日「『提案営業』著作権侵害につきまして」はこちら。
以下に、「著作権侵害にあきれ返るばかり」と題する2007年9月5日のブログを収める。
◇◆◇
先週、和田創研に匿名での通報があった。
「絶対に許せない」。
かんかんに怒っている。
私の本の読者とのことで、ありがたい…。
先頃、会社が外部から講師を招いて「営業研修」を行った。
そこで使われている教材、ゆえにカリキュラムが、私の著作の内容や図版だった。
しかも、ご丁寧に自分の著作権を表記しているというのだ。
通報者は、講義の途中で耐えられなくなり、幾つかの質問を投げかけたが、怪しげな回答しか得られない。
突っ込むと、講師は「調べてきます」。
自分がつくったコンテンツについて、満足な説明ができないことはありえない。
それ以前に、あまり営業経験がないように見受けられる。
人を指導する資格を欠いているのでは…。
そんな失望と憤怒の念が湧いてきたそうだ。
私の手元に、彼から送られてきた当日の教材のコピーがある。
絶句!
そのまんま!
ただし、私の図版をわざわざ自分で入力している。
誤字だらけで、哀れみさえ覚える…。
今回のケースは、講師の側に問題があった。
だが、研修を実施する企業の側も、講師の人物や経歴、当該テーマに関する見識などを真剣に質すべきでないか。
実は、著作権侵害がもっともひどいのが、企業が“身内”で実施する研修である。
それはコンプライアンスの存在しない世界である。
著作権の無法地帯と呼んでいい。
他人の著作を流用するか、言い訳程度に加工したコンテンツがまかり通っている。
それも一人の本や教材から引っ張ると著作権侵害が発覚しやすいという理由で、数人の本や教材からいいところだけを寄せ集めるやり方でうやむやにしようとする。
要は、コンテンツが継ぎはぎ状態!
ゆえに志や主張がなく、内容に一貫性がない。
おまけに講師が“先生面”をしている…。
最大の被害者は、著作権者でなく受講者である。
Copyright (c)2010 by Sou Wada
←応援、よろしく!