フィギュアスケート・グランプリ(GP)シリーズ第3戦「中国杯」の女子シングル。
平昌五輪代表2枠を狙う日本勢3人、そしてロシア勢3人、カナダ勢1人の有力選手の表彰台争いは見応えがありました。
意地とプライドがぶつかる白熱の勝負でした。
私は久し振りに画面にくぎづけになり、手に汗を握りました・・・。

それにしてもテレビ局は視聴率が取れないと判断したのでしょうか、「試合を見るな」という時間帯の放送になりました。
フィギュアスケートの人気の維持のためにも「浅田真央」に代わるスターの登場が待たれます。

さて、ショートプログラム(SP)2位の樋口新葉がフリースケーティング(FS)も2位となり、合計212.52点で2位に入りました。
本人に申し訳ないのですが、練習が好調と聞いていましたが、それでも私はこの選手に期待していませんでした。

ロシアの世界ジュニア女王、アリーナ・ザギトワに1.36点及ばなかっただけです。
この選手はジャンプを基礎点が 1.1倍になる後半に持っていき、しかも手を挙げながら回転します。
それを踏まえると樋口新葉が技術も表現もいかに充実した演技を披露したかが分かります。
私はSPもFSも「気迫」に圧倒されました。
ようやく彼女の真の実力を感じ取ることができました。

樋口新葉はSP後も「気は抜けない」と厳しい表情を崩しませんでした。
そして、臨んだFSで直前にアリーナ・ザギトワが高得点を叩き出しました。
しかし、まったく動じることなく、自分の演技に集中しました。

映画007の音楽と一体化し、力感と疾走感にあふれたほぼ完璧な滑りを見せました。
会場全体を巻き込み、演技終了と同時にガッツポーズを取りました。
私が思い込んでいた、好不調の波の激しいジャンプだけの選手でありません。
観客と審判に強烈な「印象」を残したところが、やはりほぼノーミスに近い滑りを見せた三原舞依や本田真凜との決定的な違いでした。
アピールする「力」が素晴らしかった!!!
SPもFSも得点で宿敵の三原舞依を上回っています。

しかも、樋口新葉は演技構成点や出来栄え点(GOE)でまだ上積みを図れそうです。
男子シングルと違ってジャンプ構成の差が極端でありませんので、細かい得点が勝負のカギを握りそうです。



骨格のがっちりした樋口新葉は身体能力が際立つそうです。
全日本フィギュアスケート選手権は2014年が3位、2015年が2位、順序からいえば1位となるはずの2016年が2位でした。
もともと十分な才能も備えていたのです。

しかし、2017年四大陸フィギュアスケート選手権で惨敗を喫し、自信をすっかり喪失しました。
が、この大会で華々しく優勝を飾った1学年上の三原舞依に悔しさがこみ上げ、「負けず嫌い」に火がついています。

直後からトレーナーをつけて食べ物の節制に努め、増減が激しかった体重の安定を図りました。
それにより、練習の質をおおいに高めることもできました。
私は中国杯のSPとFSの演技を見て、別人みたいに生まれ変わった樋口新葉にいったい何が起こったのかと驚きました。
練習はもとより、こうした地道な取り組みがGPシリーズの2戦で実を結んだのでしょう。
何より「心構え」が堅固になった・・・。

私は平昌五輪代表の2枠はおおよそ全日本フィギュアスケート選手権の順位で決まる思います。
しかし、優勝者は無条件で選ばれるとして、もう一人はGPファイナルの成績や国際スケート連盟(ISU)公認の今季最高得点なども考慮されるかもしれません。
樋口新葉はGPシリーズ第1戦「ロシア杯」が3位でしたので、初のGPファイナル出場が叶いそうです(確定に非ず)。
現時点で五輪切符に一番近いところに立ちました。

国民の期待を受けて「プレッシャー」の高まる大会で、樋口新葉ははたして結果を残すことができるでしょうか。

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樋口新葉に関するブログは以下のとおり。

⇒2017年11月6日「樋口新葉が平昌五輪代表選考前哨戦で勝つ」はこちら。

⇒2017年10月22日「樋口新葉と坂本花織のフィギュアGPシリーズ」はこちら。

⇒2017年4月27日「三原舞依と樋口新葉が宮原知子を超える」はこちら。

⇒2017年2月18日「樋口新葉と三原舞依の順位・・・四大陸選手権」はこちら。

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