樋口新葉は倍返しの誓い
それはそれとして・・・


フィギュアスケートの女子シングル。
平昌五輪代表2枠が発表されました。
宮原知子に次いで名前が呼ばれたのは坂本花織でした。

トップクラスの選手は全員がオリンピック出場を目指して練習を積んできました。
選ばれなければ悔しいのは当然ですが、そのなかでも気持ちの整理をつけるのがもっとも難しかったのが樋口新葉でした。

五輪表彰台も可能な成績だった

樋口新葉はオリンピックシーズンの国際大会の自己ベストが日本勢1位、世界3位でした。
エフゲニア・メドベージェワの231.21点、アリーナ・ザギトワの223.30点に続く217.63点です。
記録で眺めればオリンピックで表彰台に立てます。

しかし、代表選考レースで明確なアドバンテージを持つに至りませんでした。
過去にオリンピックや世界選手権、GPファイナルで表彰台に立った実績を持つ選手のほかは、全日本選手権の順位がおおむね適用されてきました。

樋口新葉は全日本選手権で3位、2位、2位と結果を残してきましたが、勝負のシーズンに途絶えています。
ショートプログラム(SP)4位から巻き返しを狙うフリースケーティング(FS)前日の公式練習で右足首を負傷したこともかなり響いたのでしょう。
痛み止めを服用して滑ったようです。

FSでは金妍児007を演じる

樋口新葉は憧れの韓国のキム・ヨナ(金妍児)がバンクーバー五輪のSPで用いた「007 」のテーマをFSで演じています。
後半の3回転サルコウが2回転になるミスがあり、ほかはまとめたものの4位に留まりました。
彼女を指導する岡島功治コーチが語っていたように、ノーミスの選手が勝っています。
演技後にひざまずいて銀盤を2度叩き、感謝を伝えました。

何といっても表彰台を逃したのが致命的です。
3位に入っていれば代表選考は微妙だったかもしれません。
直接対決で坂本花織に敗れたことも印象を悪くしています。
私自身は日本女子の五輪出場枠がかかった世界フィギュアスケート選手権での出来も引っかかっていました。
(勝負弱いとの記憶はなかなか消えません。)

「運」を呼び込む明るさを!

樋口新葉はジャンプを含めた技術だけでなく表現でも一流になり、トータルなスケーティングで世界と戦えるところまできました。
足りないのは「メンタル」と「」の2要素だと思います。

そして、運を呼び込むには「明るさ」が欠かせません。
キム・ヨナ(金妍児)には内面からこぼれる「笑み」がありました。
それに対し、樋口新葉は緊張に押し潰されているせいか「暗さ」を感じさせます。
(まだ自分を信じきれないのでしょう。)
雰囲気が重く、吹っ切れた表情がほしくなります。

彼女の普段の映像を見たことがありますが、根暗という印象を受けませんでした。
今シーズンは強気の発言を繰り返し、自分にプレッシャーをかけてきました。
が、追い詰めすぎる嫌いがあります。
さじ加減が難しい。

世界選手権で代表枠3確保へ

平昌五輪代表から漏れましたが、樋口新葉は3月にイタリア・ミラノで開かれる世界フィギュアスケート選手権代表に選ばれています。
自身のツイッターに、「悔しいけれど前を向くしかない」「4年かけてじっくり煮込むからきっとおいしくなる」といった書き込みを行っています。
気持ちを切り替え、北京五輪へ歩み始めようとしています。

「倍返し」という勇ましい言葉も使っていますが、まずは世界選手権で宮原知子と力を合わせて代表枠3を確保してください。
宮原知子は欠場し、樋口新葉は惨敗しました。
十代後半の有力選手がひしめく女子シングルに必要なのは、最高峰の舞台で戦う経験です。

江戸っ子の心意気を!

余談。
もう亡くなりましたが、私の母は東京下町で生まれ育ちました。
JR総武線の駅でいえば浅草橋から平井辺りです。
昔は広範囲に使っていたのでしょうか、「日本橋」という言葉を母から聞いています。
私も短い期間でしたが、都立墨田川高校に在籍したことがあります。

そこから花火大会で有名な隅田川を南下して京葉道路(靖国通り)の両国橋に接近した辺りに樋口新葉が在籍する「日本橋女学院高校」があります。
(正確には隅田川に合流する神田川に面します。)

私は活発な下町の雰囲気が好きでした。
自分の体には「江戸っ子」の血が半分流れています。
(母方の祖父は「酒はやっても煙草はやめられない」と意味不明のことをうれしそうに語ったものでした。)

樋口新葉の表情には猛烈な「負けず嫌い」が表れています。
おおいに結構ですが、からっと突き抜けたところがほしい。
観客を楽しく幸せにするということも採点上で有利に働きます。
審判員も人間ですので・・・。

樋口新葉にはどうか東京代表、下町代表としても心意気を見せてほしい。
(彼女は東京出身ですが、下町出身かどうかは分かりません。)

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樋口新葉に関するブログは以下のとおり。

⇒2017年12月9日「樋口新葉はこの程度で浮かれるわけにいかない」はこちら。

⇒2017年11月30日「樋口新葉はGPファイナルOmg、お歳暮を贈れ」はこちら。

⇒2017年11月8日「樋口新葉は別人、いったい何が起こったのか」はこちら。

⇒2017年11月6日「樋口新葉が平昌五輪代表選考前哨戦で勝つ」はこちら。

⇒2017年10月22日「樋口新葉と坂本花織のフィギュアGPシリーズ」はこちら。

⇒2017年4月27日「三原舞依と樋口新葉が宮原知子を超える」はこちら。

⇒2017年2月18日「樋口新葉と三原舞依の順位・・・四大陸選手権」はこちら。

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