凄かったなぁ、無謀というより狂気。
テレビ東京の経済ドキュメンタリー番組「ルビコンの決断」。
ドラマ仕立てが異色であり、しかも当人をスタジオに招いてインタビューを交える。

「奇跡のりんご誕生物語 〜不可能といわれた“無農薬”に挑んだ男」。

私が見たのは再放送だった。
といっても、例によりながら視聴。
何もかも中途半端だ。

さて、主人公(ゲスト)は、青森県弘前市でリンゴ農園を営む木村秋則(きむら・あきのり)。
妻の農薬かぶれをきっかけに、無農薬栽培を目指した。
当時、リンゴ農家は農薬なしに経営が成り立たないとされていた。
木村秋則は土が持つ本来の力を取り戻すことで、農薬だけでなく肥料も使わないでリンゴをつくる。
常識への挑戦だったが案の定、失敗を繰り返した。
害虫が湧き、木の病気が出て、近隣農場に睨まれ、村八分状態になった。

その取り組みを中心になって支えたのは、木村秋則が娘婿として入ったリンゴ農家の義父だった。
むろん、義母、妻、子どもたちも…。

収穫がなく、収入がない。
農家なのに食べるものがろくにない。
湯のような薄い粥に雑草を混ぜ、家族全員でいただいた。
子どもは一言も文句を言わない。
また、学校の給食費やPTA会費の徴収袋を自分の手元に留めた。
極貧生活が続いたが、それでも皆が協力を惜しまなかった。

木村秋則はどうにもならなくなると、ときどき実家を頼った。
母は父に言うなと口止めし、わずかな生活費を渡した。
それがばれる。
父は堪らず母とともに先方を訪れ、畳に頭をすりつけて義父と義母に詫びた…。

8年後、壮絶な苦労が実を結んだ。
無農薬・無施肥栽培のリンゴは、一躍世間の脚光を浴びた。
恐らく世界初。

木村秋則は番組で、家族を巻き込んだことがもっとも辛かったと涙をこぼした。
自分を信じてついてきてくれた家族への感謝の気持ちが溢れ出た。

私は胸が熱くなった。
妻に話したら、木村秋則を知っていた。

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