NHK朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」。
先週土曜日の放送だろうか、「漫画家魂」という言葉が飛び出した。
水木しげる(武良茂。村井茂。向井理)を尊敬している、かつての少女漫画家の卵・河合はるこ(南明奈)が使った(不確か)。
私にも少し分かる。
作家は厳しい仕事であり、それに本気で打ち込むなかでおのずと身につく。

「石の上にも三年」という諺(ことわざ)がある。
しかし、私自身の職業人生を振り返り、年数が短すぎるように思う。
達人なら、一ケタ違うと言うかもしれない。
仕事を究めるとは、その職業ならではのスピリットをつかむことだ。
水木しげるは漫画家魂を置き忘れていたことに気づかされた。

                       ◇

水木しげるは、教員(先生)になった河合はるこから子どもたちに話をしてほしいと持ちかけられ、迷った末に引き受けた。
そして、小学生と遠足へ出かけた。
そこで、自身は「小豆洗い(あずきあらい)」と出会い、会話を交わした。
小豆洗いは「おれたちを描いてくれ」と仕事を発注した。
このままでは妖怪の存在が消えてしまうと、水木しげるに訴えたのだ。
ただし、報酬は払ってくれない。
長くて暗いスランプのトンネルをくぐり抜けた瞬間である。

水木しげるは仕事でなく、自らの使命として、これまで世話になってきた妖怪を一点一点精魂込めて描く決意を固めた。
ライフワークになりそうだ。
出版を引き受けるところがあるかどうか分からない。

マネジャーの村井光男(永岡佑)が、経営の非常事態に注文以外の仕事をやっていられないと案じた。
「何を言っている。こんなときだから、やるのだ…」。

幸い、暇なときは仕込みができる。
いや、暇なときしか仕込みができない。
フリーランスに限らず、ピンチはチャンスである。
松下幸之助は、「好況よし、不況さらによし」と語った。
不況期には、好況期にやれないことが可能になると…。
そのとおりだ。

これが後に『水木しげるの妖怪事典 正・続』『水木しげるの世界妖怪事典』などとして刊行され、仕事の幅をおおいに広げることになった。
そして、水木しげるは「妖怪研究家(者)」としての地位と名声を確立した。

また、創作への意欲が湧いてきたのか、貧乏時代を綴る決意も固めた。
だいぶ前に出版社から依頼が来ており、それを保留していたのだった。
昭和の歴史を生きてきた数奇な人生が知られ、再びブームを巻き起こすきっかけになった。

                      ◇◆◇

人生の教科書「ゲゲゲの女房」に関するブログは以下のとおり。
ドラマの進行と私の半生を重ねたり照らしたりしながら、心の内を綴った。

⇒2010年5月8日「ゲゲゲの女房…蘇る前妻との初デート」はこちら。

⇒2010年5月19日「松下奈緒、ゲゲゲの女房を好演する」はこちら。

⇒2010年5月20日「ゲゲゲの女房、小銭入れが空っぽの極貧」はこちら。

⇒2010年5月30日「ふすま一枚の地獄…ゲゲゲの女房」はこちら。

⇒2010年6月6日「ゲゲゲ原稿料を払ってもらえない」はこちら。

⇒2010年6月8日「松下奈緒と向井理が好演…ゲゲゲの女房」はこちら。

⇒2010年6月12日「松下奈緒 ゲゲゲの女房 人気シーン」はこちら。

⇒2010年6月14日「ゲゲゲゲラが出た…私は初校で校了」はこちら。

⇒2010年6月17日「ゲゲゲ、人気ラーメン店の行列が消えた」はこちら。

⇒2010年7月5日「向井理の好演、村井茂の名言…ゲゲゲの女房」はこちら。

⇒2010年7月15日「ゲゲゲ水木しげる、少年マガジンデビュー」はこちら。

⇒2010年7月17日「ゲゲゲ水木しげる、テレビくん児童漫画賞受賞」はこちら。

⇒2010年7月24日「水木プロダクション旗揚げ…ゲゲゲの女房」はこちら。

⇒2010年7月31日「ボチェッリが歌う吉岡聖恵・ありがとう」はこちら。

⇒2010年8月5日「水木プロダクション異様な活気…ゲゲゲの女房」はこちら。

⇒2010年8月9日「ゲゲゲの鬼太郎へ題名変更…主題歌もヒット」はこちら。

⇒2010年8月11日「水木プロダクション…アシスタント人件費」はこちら。

⇒2010年8月12日「いじめ…有名人の子の苦悩(ゲゲゲの女房)」はこちら。

⇒2010年8月14日「妖怪いそがし、家庭を顧みない水木しげる」はこちら。

⇒2010年8月18日「漫画家・水木しげる、締め切りの地獄と天国」はこちら。

⇒2010年8月20日「職業人生に締め切りを設けよ…水木しげるの教え」はこちら。

⇒2010年8月20日「松下奈緒は号泣、向井理は手料理…ゲゲゲの女房」はこちら。

⇒2010年8月21日「芸術への憧れを捨て、フリーランスのプランナーへ」はこちら。

⇒2010年8月21日「松下奈緒の美しさ…思い出のメロディー司会&演奏」はこちら。

⇒2010年8月22日「苦労人・水木しげる、作品づくりの姿勢と執念」はこちら。

⇒2010年8月23日「松下奈緒、偏差値39の衝撃、バスト86の疑問」はこちら。

⇒2010年8月25日「人生の教科書・ゲゲゲの女房…仕事・夫婦・家族」はこちら。

⇒2010年8月26日「心の太鼓を打ち鳴らせ…ゲゲゲの女房」はこちら。

⇒2010年8月28日「松下奈緒・ゲゲゲの女房・撮影秘話…あさイチ」はこちら。

⇒2010年8月29日「松下奈緒&向井理、ゲゲゲの女房の平均視聴率」はこちら。

⇒2010年8月30日「松下奈緒・ゲゲゲの女房、大ヒットの立役者」はこちら。

⇒2010年8月30日「職業人生、それは長いデコボコ道を行くこと」はこちら。

⇒2010年8月31日「水木しげるプロダクション倒産危機…仕事激減」はこちら。

⇒2010年9月1日「水木しげる大スランプ、自信喪失…仕事がない」はこちら。

⇒2010年9月2日「水木しげるの異変、村井布美枝(武良布枝)の苦悩」はこちら。

⇒2010年9月3日「水木しげるスランプの原因…先生商売の落とし穴」はこちら。

⇒2010年9月3日「水木夫婦ゆかりの地巡り…清水ミチコ、松下奈緒」はこちら。

⇒2010年9月4日「水木しげる作品・自宅・プロダクション…調布名物」はこちら。

⇒2010年9月6日「水木しげる、復活へのノロシ…スランプ脱出」はこちら。

Copyright (c)2010 by Sou Wada

人気ブログランキング←応援、よろしく!