私が講師の仕事でもっとも多く訪問した地方都市は大阪市でも名古屋市でもなく、福岡市です。
かれこれ20年近く、もっとも多く滞在した年は2か月近く。
生まれ故郷を別にすれば、親しみを一番感じます。
65歳の現在もしょっちゅう。

私は飛行機が大の苦手なので、かならず新幹線に乗ります。
ところが、到着(終着)駅の名前が福岡駅でなく博多駅になります。
たいていは市名がそのまま駅名になるのですが・・・。
それでも私は博多出張と呼ぶことに違和感を覚えませんでした。
昔から、博多どんたくや博多祇園山笠、博多人形や博多明太子などが全国に知れ渡っています。

恥ずかしい話ですが、数年前に乗ったタクシーの運転手に福岡市はなぜ博多駅なのか、そのいわれを聞かされました。
なるほどと感心するとともに、かすかに抱いていた疑問が解消しました。

福岡市は、武士の街の福岡部と商人の街の博多部が明治時代の市制の施行で一緒になって生まれたそうです。
両者を分かつのが、中心部を流れる那珂川でした。
その際、市の名前をどちらにするかで大紛糾しました。
博多市に決まりかけていたのに、福岡県の命令で福岡市に引っ繰り返ったのだとか・・・。
これでは博多市派の不満が収まりません。

同年に九州鉄道が開通し、駅が開業しました。
駅が博多側にあったために博多駅にしました。

が、実際には市名を福岡市とする代わり、駅名を博多駅とすることで双方の面子を保つという政治的な決着が図られたのでしょう。
要は、仲裁案です。
無理やり話をまとめたという印象・・・。

私は、当地の文化や風物に根づいている博多のほうが個人的にしっくりとします。
しかし、よそ者がとやかく口をはさむ問題ではありません。
「博多っ子」は市名をどう考えているのでしょう。

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