コンサルの引き出し|和田創ブログ

だれの目の前にも可能性の地平は広がる。それを切り拓けるかどうかは自分次第である。「面白くないジョークの会」初代会長が解き明かす経営と人生の奥義とは?

紀平梨花失敗

世界選手権惨敗の紀平梨花に一番大事なこと

トリプルアクセルの得点力に目が眩む
逆転を前提にしたら大舞台で勝てない

紀平梨花が自国開催の世界フィギュアスケート選手権で惨敗を喫しています。
この言葉を4位になった選手に使うのは適切でないかもしれません。
が、今シーズンの国際大会で6戦全勝を記録し、締め括りの試合で圧倒的な優勝候補として名前が挙がっていたにもかかわらず表彰台さえも逃しました。
印象としては惨敗でしょう。

紀平梨花に一番大事なこと。
それはフリースケーティング(FS)最終組の後半3選手のなかで滑ることです。
ショートプログラム(SP)での順位と点差、滑走順を踏まえ、ジャンプ構成を決めます。

最終組の前半、まして最終組の前の組で滑って1位だったといっても、いま一つ説得力に欠けます。
勝利という結果でなく勝ち方という過程(プロセス)を大切にしないと真の世界女王になれません。
追い詰められたFSで開き直り、一か八かでトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を決めて勝つという、結果オーライのパターンを捨ててほしい。

紀平梨花が練習で不調だったトリプルアクセルをSPで跳んだのも、FSで何とか引っ繰り返せるという気持ちがどこかにあったからでしょう。
トップクラスの選手が照準を合わせてくる大舞台で逆転を前提にしていたら優勝を収められないことを今回の世界選手権ははっきりと示しています。

微妙なジャンプというなら直前に判断

紀平梨花はトリプルアクセルを跳ぶことの難しさをたびたび語ってきました。
私はそれが嘘と思いません。
自分の調子はもちろん、スケート靴とのマッチング、さらにリンクの状態などにより成功したり失敗したりするようです。

それくらい微妙なジャンプだというなら、なぜ大会前に3本跳ぶなどと公言する必要があるのでしょう。
ライバルに揺さぶりをかけるつもりだったとしても、本番で変更するのは自由のはずです。
SPもFSもコンディションや試合展開を踏まえ、直前に判断するといえば済みます。

どうして自分をわざわざ精神的に追い詰め、冷静な判断力を奪ってしまうのか不可解です。
それに、緊張でがちがちになると、持ち前のナチュラルでダイナミックなスケーティングの魅力も薄れます。
出来栄え点(GOE)も演技構成点(PCS)も伸ばせません。

世界選手権では自ら「負の悪循環」をつくっており、不本意な成績で終わっています。
結果として、熱心に応援してくれたファンの期待にも応えられませんでした。

紀平梨花はSP対策を勘違いしている

紀平梨花はシーズン後半から「SP対策」の重要性をたびたび口にしてきました。
しかし、SP対策の「意味」を勘違いしています。
トリプルアクセルをきれいに決めることに心を奪われています。
それに越したことはありませんが、最終的な目標はSPとFSを滑って勝利を収めることです。

紀平梨花において、SP対策とは好位置につけること。
「最後の3選手のなかで滑るにはどうするか」と考えてほしい。
大舞台になるほど神経戦であり、とてもデリケートなフィギュアスケートはちょっとしたプレッシャーでジャンプが乱れます。
私がフィギュアスケートに惹かれる理由の一つは、エレガントなスポーツでありながら倒すか倒されるかという格闘技の要素が感じられるからです。

SPで数点差につけることがFSでジャンプ構成の基礎点が一番高いプログラムを滑る紀平梨花にとり最良の戦略(作戦)でした。
(来シーズンにトリプルアクセルや4回転ジャンプを跳ぶ選手が現れると状況は変わってきます。)

そもそもトリプルアクセルを跳ぶために大会に出るわけでありません。
紀平梨花自身もジャンプの種類に好き嫌いはなく、トリプルアクセルにとくにこだわりはないと語っていました。
勝つための手段の一つにすぎないトリプルアクセルがいつの間にか目的に変わっています。
勝利を重ねるうちに敗北が怖くなり、成功したときの「得点力」という魔力に目が眩みました。

SPにどう臨むか、しっかりと考えを整理しておかないと、来シーズンも同じ失敗を繰り返します。
細くて軽いロシアのジュニア選手がシニアに参戦してくると、なおさら出遅れは致命傷になります。

紀平梨花に足りないのは「考える力」

世界選手権で紀平梨花はシニア1年目の大活躍と日本開催により爆発的に期待が高まりました。
いきなりトップスターに上り詰めた16歳に想像を絶する重圧がかかりました。
精神的にぎりぎりまで追い詰められていることが表情はもちろん全身の気配から伝わってきました。

紀平梨花は負けた悔しさは大きいとして、同時に「終わった」という安堵感も大きいでしょう。
本人にはストーム(嵐)のような1年でしたが、私には日本の女子シングルに久し振りに世界の頂点に立てる選手が現れた1年でした。
フィギュアスケーターとして、オリンピックで金メダルを狙える天性の「資質」に恵まれています。
才能は文句のつけようがありません。

足りないのは「考える力」です。
紀平梨花はおそらく「直観」が並外れて鋭いため、粘り強い思考が苦手です。
それで勝てる大会もありますが、それでは勝てない大会もあります。

続きは、あすのブログにて。

category:紀平梨花ブログはこちら。

◇◆◇

紀平梨花に関するブログは以下のとおり。

⇒2019年3月23日「紀平梨花、プレッシャーとの戦いは始まったばかり」はこちら。

⇒2019年3月22日「歯車が狂った紀平梨花は負けるべくして負ける」はこちら。

⇒2019年3月21日「3Aパンク、紀平梨花が優勝候補筆頭の重圧に負けた!」はこちら。

⇒2019年3月20日「紀平梨花はSP首位なら記録尽くめの世界選手権初制覇」はこちら。

⇒2019年3月16日「紀平梨花専属トレーナー橋本大侍が明かす強さの秘密」はこちら。

Copyright (c)2019 by Sou Wada

紀平梨花はそれでもSPでトリプルアクセルを跳ぶのか

無傷の5連勝、結果だけ見れば敵なし
3Aを跳ばなければだれにも負けない

四大陸フィギュアスケート選手権2019で優勝を収めた紀平梨花が、3月20日にさいたまで開幕する世界フィギュアスケート選手権2019に出場します。
シニア1年目の国際大会は無傷の5連勝を飾っており、結果だけ見れば敵なしの状態です。

しかし、3戦が逆転優勝であり、ショートプログラム(SP)で出遅れ、フリースケーティング(FS)で巻き返すパターンです。
会場でもテレビでも盛りあがりますので、SPの失敗がかき消されます。

ちなみに、FSは全試合で1位と圧倒的な強さを誇っています。

⇒2019年2月10日「逆転優勝の紀平梨花、結果オーライで喜べない」はこちら。

紀平梨花は全試合のSPで冒頭に代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳んでいますが、きちんと着氷して基礎点8点以上を得たのはグランプリ(GP)ファイナルの1試合に留まります。
(ルール改定後の世界最高を記録したSPです。)
GPシリーズ第6戦「フランス杯」と四大陸選手権ではシングルアクセルになって「0点」でした。

四大陸選手権では開幕直前に左手薬指関節を亜脱臼し、欠場も検討したほどです。
それも響いてSPで5位に沈みましたが、FSでトリプルアクセルを1本に絞り込んで成功させ、2位に大差をつけて逆転しています。

FSでの「修正力」が光りますが、強豪が出場する大舞台になるほどSPでの失敗を挽回するのは容易でありません。

⇒2019年2月9日「紀平梨花はSPのトリプルアクセルが敗因」はこちら。

SPスタートポーズで足ががくがく?

トリプルアクセルの成功率がここまで低いのは、精神的な状態に左右されるからです。
翌日に行われたFSであっさりと跳んでいるところを見ても、技術的な問題といえません。

紀平梨花は「試合で緊張しない」と語っています。
それがほんとうだとすれば、集中できていないのでしょう。
(むろん本人も気づかない緊張があるのかもしれません。)

四大陸選手権のSPではスタートポーズで左足ががくがくしていました。
震えのようにも見え、専門家が緊張と指摘していましたが、おそらく無意識で左のスケート靴の感触を確かめていました。
(スタートポーズにつく前に、左のスケート靴を気にする仕草をしていました。)
拳(こぶし)を握れない状態で踏み切るトリプルアクセルのことが頭にあり、集中できていなかったのです。

紀平梨花は「総合力」が際立ちますが、本人のなかでは高難度のジャンプが得意との気持ちがどこかに残っているのでしょう。
SPでは3本しか跳ぶことを許されず、1本の失敗、まして最大の得点源となる冒頭のトリプルアクセルにプレッシャーを感じて当然です。
これをしくじった瞬間にSPの首位は遠のきますから。
プレッシャーも感じないとして、少なくとも「神経質」になって集中力を欠いているのは確かです。

SPでの失敗はFSでの成功の踏み台

紀平梨花のトリプルアクセルに対するスタンスは競技人生をかけたといっても過言でない浅田真央と異なります。
本人はリアリストの側面もあり、そこまでの「こだわり」を持っていません。
私は逆転優勝が続くとしたら、SPでトリプルアクセルを跳ぶ必要があるのか疑問に思います。

が、これまでの試合を振り返ると、話はそれほど単純でありません。
紀平梨花は、SPでの失敗をFSでの成功の“踏み台”にしている節があります。
つまり、前者を肥やしにして、後者を咲かせるという因果関係です。
ならば、SPでのトリプルアクセルは成否にかかわらず必須となります。

しかも、紀平梨花は決して失敗を引きずらず、すぐに気持ちを切り替えられます。
(悔しくないはずがありませんが、自信の裏返しなのか、けろっとしています。)
そのうえで、自分の調子やリンクとの相性なども含めて冷静・緻密に失敗を分析し、具体的で明確な対処を行えます。
16歳にして、頭も心(メンタル)も第一級の選手です。

⇒2019年1月20日「紀平梨花は反省しない(本田真凜と大差がついたわけ)」はこちら。

紀平梨花はもちろんSPでつまずこうなどとは考えていません。
世界選手権へ向けて「SPから集中力を出せるようにし、SPとFSを揃えたい」と繰り返し語っています。

この選手はどのような国際大会でもライバルの存在さえ気にする必要がないほど強い。
戦う相手は、自分のほかにいないのです。
「完璧」を求める繊細さが過剰になり、まま集中力を奪っています。

トリプルアクセルを大切にしてほしい

最後に私の率直な気持ちを記します。
紀平梨花には日本女子の「お家芸」をかならず入れてほしいと思っています。
浅田真央のようにかならず挑んでほしい。
もっと得点力の大きい「4回転ジャンプ」をプログラムに組み込むようになってもトリプルアクセルを大切にしてほしい。

しかし、コンディションの問題も関わりますから、大舞台では勝負に徹してください。
四大陸選手権ではSPはダブルアクセルで十分でした。
大事なのは、最終組の後半3人のなかに入ることです。
文句のつけようのないチャンピオンとして、ここで滑ることに自分自身を慣らしたほうがいい。
残念ながら滑走順は選べませんが、SPで首位に立ち、FSで最後を締めて圧勝を収めるイメージを膨らませてください。

それこそが世界女王の紀平梨花にふさわしい。

category:紀平梨花ブログはこちら。

◇◆◇

紀平梨花に関するブログは以下のとおり。

⇒2019年2月13日「紀平梨花、慈愛が息づく深くて静かな華」はこちら。

⇒2019年2月11日「紀平梨花がやばい、リングを嵌める左手薬指関節が腫れる」はこちら。

⇒2019年2月11日「紀平梨花と宇野昌磨はけがも金メダルも仲よし」はこちら。

⇒2019年2月10日「逆転優勝の紀平梨花、結果オーライで喜べない」はこちら。

⇒2019年2月9日「紀平梨花はSPのトリプルアクセルが敗因」はこちら。

Copyright (c)2019 by Sou Wada

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和田創

和田創研代表
シニア起業家
和田 創(わだ・そう)

数字立て直し(伸長)一筋の経営コンサルタント。
教育と指導の年間実績は約百回。対象は社長から役員、管理者、社員まで、テーマは経営から管理、採用、事業、商品、企画まで広範。著書や教材は多数。
2017年、66歳以降はAIやロボット関連の起業に挑むとともに、おもに内需・地場企業から先端分野・成長分野の事業・商品開発を請け負う。

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面白くないジョークの会会長 

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