年頭に当たり、社長が気づくべきは、もはや「改善は無力」ということ。
私は先月のブログで「改善」について幾度か取りあげた。
改善はその本質から、例えば動かしがたい設備の周辺における習慣性の作業に有効である。
しかし、マネジメントやマーケティングという柔軟性と機動性が生命線となる知的労働にも有効と限らない。
まして環境が大きく変化する今日では、改善が無力なケースさえ出てこよう。
そもそも改善は日常的。
日本はいま非常事態、地方はだいぶ前から非常事態。
改善で難局を乗り越えられるのか、はなはだ怪しい。
環境変化の振幅と速度が激しいとき、ちなみに私はこれを「大変な時代」と呼ぶが、改善は“後退”である。
例えば、改善という鈍行(各駅停車)に乗り、一歩一歩前進を続けている。
そのとき、横を環境変化という超特急が通った。
私は未知のスピードに驚くとともに、後退する自分に気づいた…。
改善では永久に環境変化に追いつかないことを悟る。
実は、これ以外にも改善が無力化する理由がある。
それは仕事が取れない市場環境の出現である。ちなみに私はこれを「売れない時代」と呼ぶ。
製造現場での改善は日本のお家芸。
むろん、その原点は得意の“稲作”。
これがモノづくり日本の基盤に寄与したことは間違いない。
それにより生産性を高め、品質とコスト競争力を磨きあげる。
そう、製造現場での改善は右肩上がりの経済、成長市場のもとでそれなりに仕事があることが前提になっている。
そのうえでメーカーの経営トップの関心が工場に向かい、そして改善に注がれた経緯がある。
製品が利益をもたらすためには顧客と交わり商品にならなければならないが、「営業」はいつだって蚊帳の外。
蚊帳の外とは、投資の対象外という意味。
給料と交通費・接待費を払うくらい。
だが、今日、メーカーが直面しているのは仕事がないという現実である。
販売や受注の低下は、右肩下がりの経済、縮小市場のもとで長期にわたるトレンドとして続く。
実際、ラインの停止や設備の廃棄、工場の閉鎖という局面で改善は効果を発揮しようがない。
やはり製造現場での改善は仕事があるとの条件付きで意味を持つ。
国内は人口減少にともない、仕事が減る。
となると、海外へ飛び出し、仕事を探し当てなければならない。
農耕民族から狩猟民族への転換。
だが、そこには強敵が待ち構える。
経済のグローバリズムのなかで農耕民族と狩猟民族が入り乱れて戦うと、前者は分が悪い。
日本の国際社会における各種指標の低下がそれを物語っている。
何せ日本人は、村社会の平和な住民。
どっしりと構える田畑に作物を育て、毎年その方法に地道な「工夫」を加えてきた。
生産にかける改善の情熱と技術は世界に類を見ない。
営業に飛び回り、顧客を見つけてから農耕を行わなくてよかった。
しかし、いまや顧客をつかまえられない。仕事が得られない。
場所を世界へ移した狩猟では獲物が目まぐるしく動く。しかもそれをライバルと激しく奪い合う。
思い切った「創意」を欠いては仕留められない。ときにライバルを倒すことが先決かもしれない。
改善の努力より戦略的な発想のほうがはるかに有効。
マネジメントやマーケティングという大げさな話を持ち出さなくとも、営業は柔軟性と機動性が決め手となる。
企業にとり、主戦場は工場から市場へ変わった。
製造の現場での改善に留まっては、狩りの現場での勝利を収められない。
飯の食い上げ。
それが日本のメーカーの現状。
2009年、大変な時代と売れない時代にあって、社長自らがどれくらい大胆に変われるか。
経営トップの打ち手が問われている。
とりわけ経営再生と営業見直しが急務。
Copyright ©2008 by Sou Wada
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私は先月のブログで「改善」について幾度か取りあげた。
改善はその本質から、例えば動かしがたい設備の周辺における習慣性の作業に有効である。
しかし、マネジメントやマーケティングという柔軟性と機動性が生命線となる知的労働にも有効と限らない。
まして環境が大きく変化する今日では、改善が無力なケースさえ出てこよう。
そもそも改善は日常的。
日本はいま非常事態、地方はだいぶ前から非常事態。
改善で難局を乗り越えられるのか、はなはだ怪しい。
環境変化の振幅と速度が激しいとき、ちなみに私はこれを「大変な時代」と呼ぶが、改善は“後退”である。
例えば、改善という鈍行(各駅停車)に乗り、一歩一歩前進を続けている。
そのとき、横を環境変化という超特急が通った。
私は未知のスピードに驚くとともに、後退する自分に気づいた…。
改善では永久に環境変化に追いつかないことを悟る。
実は、これ以外にも改善が無力化する理由がある。
それは仕事が取れない市場環境の出現である。ちなみに私はこれを「売れない時代」と呼ぶ。
製造現場での改善は日本のお家芸。
むろん、その原点は得意の“稲作”。
これがモノづくり日本の基盤に寄与したことは間違いない。
それにより生産性を高め、品質とコスト競争力を磨きあげる。
そう、製造現場での改善は右肩上がりの経済、成長市場のもとでそれなりに仕事があることが前提になっている。
そのうえでメーカーの経営トップの関心が工場に向かい、そして改善に注がれた経緯がある。
製品が利益をもたらすためには顧客と交わり商品にならなければならないが、「営業」はいつだって蚊帳の外。
蚊帳の外とは、投資の対象外という意味。
給料と交通費・接待費を払うくらい。
だが、今日、メーカーが直面しているのは仕事がないという現実である。
販売や受注の低下は、右肩下がりの経済、縮小市場のもとで長期にわたるトレンドとして続く。
実際、ラインの停止や設備の廃棄、工場の閉鎖という局面で改善は効果を発揮しようがない。
やはり製造現場での改善は仕事があるとの条件付きで意味を持つ。
国内は人口減少にともない、仕事が減る。
となると、海外へ飛び出し、仕事を探し当てなければならない。
農耕民族から狩猟民族への転換。
だが、そこには強敵が待ち構える。
経済のグローバリズムのなかで農耕民族と狩猟民族が入り乱れて戦うと、前者は分が悪い。
日本の国際社会における各種指標の低下がそれを物語っている。
何せ日本人は、村社会の平和な住民。
どっしりと構える田畑に作物を育て、毎年その方法に地道な「工夫」を加えてきた。
生産にかける改善の情熱と技術は世界に類を見ない。
営業に飛び回り、顧客を見つけてから農耕を行わなくてよかった。
しかし、いまや顧客をつかまえられない。仕事が得られない。
場所を世界へ移した狩猟では獲物が目まぐるしく動く。しかもそれをライバルと激しく奪い合う。
思い切った「創意」を欠いては仕留められない。ときにライバルを倒すことが先決かもしれない。
改善の努力より戦略的な発想のほうがはるかに有効。
マネジメントやマーケティングという大げさな話を持ち出さなくとも、営業は柔軟性と機動性が決め手となる。
企業にとり、主戦場は工場から市場へ変わった。
製造の現場での改善に留まっては、狩りの現場での勝利を収められない。
飯の食い上げ。
それが日本のメーカーの現状。
2009年、大変な時代と売れない時代にあって、社長自らがどれくらい大胆に変われるか。
経営トップの打ち手が問われている。
とりわけ経営再生と営業見直しが急務。
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