コンサルの引き出し|和田創ブログ

だれの目の前にも可能性の地平は広がる。それを切り拓けるかどうかは自分次第である。「面白くないジョークの会」初代会長が解き明かす経営と人生の奥義とは?

認知症介護

介護の現場は壮絶…特養職員に感謝!

私の父は深刻なアルツハイマーで、特別養護老人ホームにお世話になっている。
先日、妻が言う。
「おじいちゃんは顔が女っぽくなった」。
私が返す。
「人間の顔になったのでは…。
わが人生0619人は人間として生まれる。
そして、成長につれて男と女に分かれ、違いがはっきりとしてくる。
肉体面だけでなく精神面でも…。
いわゆる性差。
それは社会面でも…。
男女の役割意識が芽生え、家庭や職場、地域などに及ぶ。
ところが、子どもが巣立ち、仕事をリタイアし、老いが深まるにつれて男女の役割意識が薄れる。
まして認知症が進むと、それが消える。
だから、最後は人間に戻り、土に帰っていく。
男が人間に戻るから、女っぽくなったという印象を持つのでは…」。
妻は納得した様子。

特別養護老人ホームに行くと、入居者の多くが地味な古着を着ていることもあり、性別をつかみにくい。
とくに90歳前後の高齢者は…。

父は先月、90歳を迎えた。
アルツハイマーが進行し、最後まで覚えていた私のことがついに分からなくなった。
生涯の大半を連れ添った母が亡くなったことさえ知らない。
私と十歳近く年が離れる妹はだいぶ前に分からなくなった。
わが人生0620近い記憶から失われていくので…。
両親が横浜・港北ニュータウンに越して来て懸命に面倒を見た妻のことは真っ先に分からなくなった。
生きていながら、家族や兄弟、友人を失う。
それは自分を失うこと。
アルツハイマー患者は、そうした恐怖に震え、孤独と闘う過程を経る。
しかも、その苦悩をだれにも伝えられない。

妹は、富山・滑川の天望町という立山連峰が望める住宅地に建てられた、かつての両親の実家に暮らす。
遠方なので、見舞いはたまに…。
だが、せっかく訪れても父がまったく反応を示さないので、つらそうにしている。
わが人生0621最近、父はとんちんかんな話はもとより片言も口にしなくなった。
沈黙の時間が流れる…。
やがて妹は肩を落として引き上げる。
父は妹を可愛がっていた。

驚くことに父は痴呆を除き、体に悪いところが一つもない。
虫歯もない。
医者が呆れる。
わが人生0622ただし、脳が体をコントロールできなくなり、衰弱が急速に進んだ。
インフルエンザでなくても風邪を引いたら難しいと言われている。
昨年も心肺停止状態から甦った。

先が長くない。
妻に促され、私は90歳の誕生日祝いに複合商業施設「港北みなも」の「スポーツデポ」へ室内着を買いにいった。
父がお世話になっている特別養護老人ホームでは、入居者の金銭的負担が小さくなるようにと、古着のバーゲンを丹念に当たり、着る物の心配までしてくれる。
わが人生0623私は頭が下がる。
妻と売り場で相談し、ナイキやアディダスなどのブランド物を買うことに意味がないとの結論に達した。
ホームでも浮いてしまう。
それに両親ともそうした贅沢を極端に嫌い、つましく生きてきた。
そこで、スポーツデポのPB(プライベートブランド)を選ぶことに…。
NB(ナショナルブランド)の3〜4割の値段で買える。
室内着は立派な上下で6千円以下。
ソックスは4足で千円以下。
バースデープレゼントなのに、何だかケチっているようで申し訳ない。

特別養護老人ホームで働く方々に、どれだけ感謝しても感謝しきれない。
その気持ちをほかに表しようがないので、安い菓子折を幾度か持っていった。
が、決まりを盾にどうしても受け取らない。
わが人生0624押し付けるように置いてくる。
共働きの私と妻は、とてもアルツハイマーの父の面倒を見られなかった。
私は出張ばかり。
妻は職場から戻り、自宅で深夜まで。ときに休日、祝日も。

父が特別養護老人ホームに入居したのは、6年前。
妻が駆けずり回り、しばらく待たされた後に空きが出た。
むろん、それまでもいくつかのホームでデイサービスやショートステイを利用してきた。
わが人生0625ガンに侵されていた母は、父の奇行や徘徊が始まり、心身ともに疲れていた。
父は入居時、かなり体力があり、自由に動けた。
職員は非常に大変だったに違いない。
それと、父はホームに響き渡る大声でよく怒鳴り散らしていた。
職員は言葉を含めた暴力で傷ついたのでないか…。
介護の現場は壮絶だ。

私たちはホームにバースデープレゼントの室内着を届けた。
やはり父は無反応…。
私たちが帰るとき、振り返ると、父の担当者は袋から室内着を取り出し、何も分からないはずの父に一生懸命に説明を行っているでないか。
わが人生0626胸が熱く…。
職員は凄いな。
お世話になります。
ありがとう。

長門裕之と南田洋子。
芸能界の“おしどり夫婦”として有名。
認知症の妻を、夫は最後までつきっきりで介護。
わが人生0627素晴らしい。
深い、深い、深い愛情が伝わってきた。
先頃、訃報に接した。
ご冥福をお祈りする。

このブログは、先日のブログ「人として死んでいく。」(人生の寺子屋)に関連して述べた。

                       ◇

ところで、日本経済新聞によれば「老い支度」をする人が増えている。
すでに本格的な高齢社会に突入しており、当然か。
生前に自分の墓や葬儀を準備しておくだけでない。
わが人生0628何と「遺影」を撮影しておく。
縁起でもないという意識が薄れ、家族はもとより本人が希望するらしい。

先日のブログで、認知症に備えて思い出をつづる取り組みが始まっていることを伝えた。
⇒9月29日「認知症は大丈夫か?」はこちら。

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認知症は大丈夫か?

以前の日本経済新聞夕刊によれば、認知症に備え、思い出をつづる取り組みが始まっているのだとか…。
わが人生0566そのツールとして、すでに「上手に老いるための自己点検ノート」が6百円で販売されている。
これに自分の性格や行動、生活や習慣、趣味など、多岐にわたる事柄を、頭がしっかりしているうちに記しておく。
要は、生い立ちや暮らし振りを含めたプロフィール。

そうした記録が残されていれば、認知症になった人は少しでもフィットしたケアを受けられる。
また、周囲の人はいくらか介護の手がかりを得られる。
わが人生0567何せ痴呆が進むと、本人は家族はもとより自分のことさえ分からない。
患者が何を思い、何を望んでいるかを的確に理解するのは、認知症では不可能に近い。

私は還暦が迫る。
いまにして思うのだが、父は50代半ばからアルツハイマーが緩やかに進んでいた。
一番気にしていたのは自分がボケることだった。
私にとり認知症は他人事でなく、ここ数年は発症の恐怖と闘っている。
両親ともにボケの家系。

わが人生0568私がブログに力を入れている理由の一つもそれ。
痴呆が始まる前に記憶を書き留めておきたい。
自分のために、そして子どものために…。
すでに頭の働きがかなり衰えている。

◆書き加え1
このブログはかなり前の執筆。
両親は富山・滑川の田舎暮らしだった。
日常の買い物でさえクルマ(ケイ)が欠かせない。
私も妹も、そして母も、父の運転が気が気でなかった。
とくに同乗する母は怖かったろう。
結局、私は両親を横浜に呼び寄せた。
同じ心配を持つ家族は非常に多いのでないか。

運転技能の低下もさることながら、軽微な痴呆により高齢者が引き起こす重大事故が増えている。
大半は単純な操作ミス。
今後、行政が中心となり、運転免許の返納を促す制度を充実させていかなくてはならないだろう。

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プロフィール
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和田創

和田創研代表
シニア起業家
和田 創(わだ・そう)

数字立て直し(伸長)一筋の経営コンサルタント。
教育と指導の年間実績は約百回。対象は社長から役員、管理者、社員まで、テーマは経営から管理、採用、事業、商品、企画まで広範。著書や教材は多数。
2017年、66歳以降はAIやロボット関連の起業に挑むとともに、おもに内需・地場企業から先端分野・成長分野の事業・商品開発を請け負う。

その他の役職
面白くないジョークの会会長 

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