大津波が三陸沿岸を襲った。
テレビ各局で、数日後の市街地の惨状が映し出されている。

自宅があった辺りに呆然と立ち尽くす被災者・・・。
建物は壊れ、流されて、集落の瓦礫に覆われている。
生きた痕跡も、暮らした痕跡も見つけられない。
うなだれた肩と背に、うっすらと雪が積もっている。

・・・すべてを失い、命だけが残った。

                       ◇

また、数日振りに再会を果たした家族の様子も映し出されている。
笑顔、抱擁、涙…。
一時は諦めかけていた。
互いの無事を喜び、幸せを噛みしめる。
が、すぐに近所や仲間の安否が気になりはじめる。

避難所の人々にも身内の安否が分かってきた。
朗報に顔が輝いたり、声を上げたりする。
が、すぐに周囲の気持ちをおもんぱかる。

容赦ない明暗である。

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