2008年公開の邦画「うた魂(うたたま)」をhuluで観た。
私は例により夜間から深夜、ときに早朝に及ぶデスクワークの際に、パソコンの画面の片隅にごく小さいサイズで流している。
仕事に没頭していて映像はほとんど見ておらず、音声もところどころ聞こえてくる程度である。
一作品につき、こうした視聴を3〜7回ほど繰り返し、内容がぼんやりつかめる。
「映画鑑賞」と呼べる状態でないので作品の評価は行えないが、とても面白かった。

「うた魂」は高校女子合唱部を舞台にしたユーモラス、ときにコミカルな青春映画である。
歌が苦手という夏帆(かほ)がヒロイン「荻野かすみ」として頑張っている。
冒頭の海岸と最後のステージにおけるソロ(独唱)はうまいといえない。
が、この映画にはこのくらいの出来が似合う。
好感の持てる歌いっぷり・・・。

また、薬師丸ひろこが合唱部の臨時顧問「瀬沼裕子」を演じている。
存在感が際立つ。
大勢の生徒を前にした挨拶では、「私はしがない産休代員にすぎませんが…」と切り出す。

さらに、ガレッジセールのゴリが実年齢の半分ほどの高校男子合唱部の部長「権藤洋」を演じている。
違和感がない。
熱く真っ直ぐに歌うヤンキーがこの映画の面白さと感動を増幅させている。

「うた魂」はストーリーがたわいなく、見る側は頭を使わなくてよい。
特有の緩さやいい加減さを含め、丁寧につくり込まれている。
作品は、誇張の利いた演出や演技が笑いを誘いつつ、クライマックスとなる合唱コンクール地区予選のシーンになだれ込んでいく。
ごくシンプルに歌中心に締め括ったのも作品の意図を引き立てている。

「うた魂」はキャスティングもよかった。
徳永えりがピアノ伴奏担当の「野村ミズキ」、亜希子が合唱部の部長「松本楓」を演じている。
二人はかすみの親友でもある。
また、間寛平がかすみの祖父、木彫りの熊職人「荻野知恵蔵」を演じている。
この人は訳が分からない。

かすみの横で歌う髪の長い女の子は感受性がとても豊かなのだろう、表情が一杯いっぱいだった。

「うた魂」は幅広い年齢層が楽しめる。
私は「歌の力」、さらに「合唱の魅力」を堪能した。
それは「人間の感動」そのものだ。
「うた魂」はいい映画である。

余談・・・。
レコードで聴いたエノケン(榎本健一)の歌唱は格別だった。

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