私は以前、知人に誘われ、銀座の高級クラブで働くナンバーワン・ホステスの話を聞いた。
店で飲んだわけでない。
ゲストを囲む会のような、社長の勉強会である。
内輪の催し。
会場内は「ロの字」のレイアウト。

さて、彼女は際立った美人でない。
が、実に魅力的である。
第一級のホステスならではのオーラをまとっている。
凛としている。
が、場を和ませ、こちらをくつろがせる。
20年近くクラシックバレーをやっていたとのこと。
私は、かなり裕福な家庭の出という印象を持った。
わざわざ水商売を選ばなくても…。

銀座のホステスでは最低ラインかもしれないが、日本経済新聞を購読している。
ベストセラー本を読むように心がけており、そこにビジネス書も含まれる。
内容が理解できることになる。
私は本を書いていながら本を読んでおらず、恥ずかしくなった。

彼女は会話の材料、すなわち“話材”の仕込みに毎日、相当な時間と労力をかけている。
雑誌とインターネットで情報をかならずチェックする。
客を相手にする営業マンにとり耳が痛い。
爪の垢を煎じて飲むがよい。
パソコンで顧客管理を行うのはそれほど驚かないが、情報が仔細にわたっていそう。
客は“丸裸”にされているのでは…(♂サイズという意味でない、念のため)。
プロフィールや趣味嗜好ならともかく、人格や能力、財力の分析が記されていたりして、ちょっと怖い。

彼女は仕事が好きで、仕事のことを片ときも忘れないという。
睡眠は4時間前後。
肌荒れにならないのが不思議。
結局、何事も究めるには情熱と努力。

ところで、彼女がこの職に就いて実感したのは、世の中に凄い人がいっぱいいるということだ。
マスコミなどに出ている有名人よりもはるかに…。
一番の発見だった。
気配が漂うので、すぐに分かるという。
「そうしたお客さまから学べることは尽きません」。
参りました。

実は、私はろくに話を聞いていない。
彼女自体が気になって仕方がなかった。
うまく言えないが、心をかき立てられた。
よからぬことを空想しているうちに、終了。

眺めていて飽きない。
どんどん気持ちが傾いていった。
つきあいで参加したのだけれど、夢中。

それと、成功者がなぜ「銀座」にこだわるのか分かった気がした。
私が過去に接したいかなるホステスとも、質というか次元というか、全然違う。

                       ◇

私は思った。
銀座の高級クラブのホステスが手に取る本を書かなければならないと…。
頑張るぞ!

そういえば終了後、早速、名刺を差し出している参加者がいた。
絶対、店に行くはずだ。
てかったオデコに書いてある。

社長に言いたい。
「勉強会に留めておきなさいよ、まったく」。

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