一代でそれなりの会社をつくりあげた創業社長はたいてい「カリスマ性」を持つ。
それは、例えば、社員や取引先が後継者と接したとき、感覚的なものとはいえ、はっきりとした違いとして感じる。

私は指導や相談の機会を通じ、大勢の創業社長、後継者、そして創業社長と後継者と接してきた。
とくに両者を前にすると一目瞭然である。
後継者はたいていカリスマ性を持たない。
本人もそれを自覚しており、私が相談に訪れた二人をあえて交互に眺めると、目を伏せたりする。

後継者はカリスマ性のなさを恥じることはない。
しかし、カリスマ性を備えていれば社員をけん引しやすく、会社を経営しやすいのは事実である。

では、このカリスマ性とは何か。
頭を巡らせても、結局のところはつかめない。
おそらく当人が持つ、いくつかの優れた要素が絡まり合い、強い輝きとして体の内から湧き出たものでなかろうか。
発せられる光は「オーラ」とも呼ばれる。

私みたいな凡人が解き明かそうとしても難しい「カリスマ性」だが、それに「人間的な魅力」が大きく関わっているということくらいは分かる。
後継者には、ここに着目してほしい。
私は、かならずしも先天的な資質でないと考えている。

人間的な魅力を高めるというのは、人生における重大なテーマかもしれない。
そこで、話を思い切り簡素にする。
結論を述べれば、トップセールスを推し進めるのが一番手っ取り早い。
体を張り、至難の「開発営業」に挑む。

社長が会社を伸ばせる売り上げをつくろうとすると、顧客を惹きつけるほかにない。
結局、ここに行き着く。
その失敗の経験を糧に、人間的な魅力が増す。
そして、失敗の経験を土台に深い「感謝」の念は生まれるので、成功の暁にはさらに人間的な魅力が増す。
トップセールスに打ち込むことは、自らにこの好循環をもたらす。

実は、優秀な社員を招き入れるのも、つなぎ止めるのも、社長の営業力にかかる。
顧客をつかもう、社員をつかもうとする本気と根気が、社長の人間的な魅力を高める。
私はこれまでに、業務用の大型掃除機のような凄まじい吸引力を持つ創業社長を見てきた。

なお、私なりにカリスマ性の“源泉”に関する仮説は持っている。
ずばり、「骨折り得」。
経営者に「骨折り損」などありえない。
この世はほとんど「骨折り損」である。
しかし、社長がそちらに頭と心を悩ませているようでは、あまりに未熟・・・。

ところで、立派な創業社長に苦言を呈したい。
子にバトンタッチするとき、自分の成功を誇らしげに語る。
うそばっかり!
そもそもあなたの突出した人間的な魅力は無数の失敗により身についた。
親の都合で苦難を背負わせる子に、それを語ってやれ!

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