きのうのブログの続き。
全日本空輸(全日空、ANA)は、日本航空(日航、JAL)の破綻処理の行方に気が気でない。
伊東信一郎社長が公平な競争環境の確保を訴え、ダンピング(不当廉売)の歯止めを求める要望書を国土交通省へ手渡した。
折からの大不況で業績が悪化しているのだ。

国の支援により、日航は債権が減免され、公的資金が注入される。
いずれも巨額である。
全日空はこれまで日航をライバルと見なし、キャッチアップを目指した。
ところが、そのために行ってきた懸命の努力がふいになる。
一気に抜き去れるという地点で、日航のはるか後方まで連れ戻される。

全日空が、国が日航に一方的に肩入れしていると焦りを感じるのは当然だろう。
被害者意識が募る。
伊東社長の行動は、首脳陣だけでなく全従業員の思いを代弁している。

                       ◇

日航が3年間で順調に経営再建を果たしたとしても、それと引き換えに全日空が経営危機に沈んでいたとしたら、国は救済を行わなくてならない。
悪い前例をつくったのだから…。

今後、メガ・キャリア2社体制を見直し、1社体制へ移行する機運が高まっていく。
日航が全日空に吸収されるシナリオもゼロでなかろう。

今年、日本はGDPで中国に抜かれ、世界第3位に転落する見通しだ。
長らく経済大国と称賛されてきた。
しかし、いまやさまざまな指標で後退しており、「大国」は過去の話になりつつある。
航空行政も縮んだ身の丈に合わせるべきだ。

                       ◇

以下は、日航問題に関する一連のブログ。
⇒9月16日「日本航空、存続危うし、綱渡り!」はこちら。
⇒9月24日「日本航空は法的整理へ…経営破綻」はこちら。
⇒9月24日「ついに日本航空(JAL)倒産へ」はこちら。
⇒10月3日「GMと日本航空に思う」はこちら。
⇒10月15日「経営破綻日航、救済・再建へ一歩前進」はこちら。
⇒10月19日「自主再建断念か…日航問題」はこちら。
⇒10月30日「税金注入、日航救済に国民感情は?」はこちら。
⇒11月19日「もう空を飛べない…日本航空消滅」はこちら。
⇒2010年1月13日「日航法的整理、稲盛CEOが再建!?」はこちら。
⇒2010年1月19日「日航、会社更生法申請、法的整理へ」はこちら。
⇒2010年1月22日「日本航空、破綻の原因と今後の再建」はこちら。

Copyright (c)2010 by Sou Wada

人気ブログランキング←応援、よろしく!